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──────???視点──────

‪✂︎‬——————キリトリ線—————–‪✂︎




──────ノイズ視点──────

いえもんが発狂する。と、同時に。体の主導権が俺へと渡る。先程までいえもんと同じく発狂していた俺だが、体の主導権が変わってしまえば、途端に冷酷な自分へと戻る。

…この肉体にいるのはいいが、あいつの精神状態を色濃く受けるのが難点だ。苦しんでいようが、まだ死んでいないのだからいいでは無いか。正直人の魂の中なんて住み心地がいいなんて言えない。が、いえもんの中に居続けている俺が言えた口ではない。

あいつの代わりに俺が任務を遂行することにした。おそらく、めめさんがいえもんにしたのは実質的に俺にやらせるためだろう。…おそらく、俺が魔族を壊滅させたことを知っている、いや、見ていたのだろう。

まあ、どうでもいい話ではある。


「そーれ♪!そーれ♪!」

「もっともっと♪!」

「我々の分まで苦しめよ♪!」


それにしても、軽快なメロディにしては物騒な内容の歌詞が耳に届く。俺はひとまずこの空間一体を軽く見ることにした。

青い空、植物がのびのびと育ち、この気を中心として花々が咲き乱れている。どれも、花言葉がいいとは言えない内容だが。

大体の状況を理解した。茶子の精神が木として宿っている。その中心の花は茶子の感情に合わせて咲いている花なのだろう。殺すだけなら木を焼くだけで十分のように思える。

…ただ、未練なく死ぬためには話を聞く必要がありそうだ。しかし、この状況だと数体の妖精が邪魔である。ならばどうするか?


「死ね」


俺は素早く魔法陣から魔剣を取り出し、その剣を出した勢いのまま、妖精を切り付ける。3段攻撃だ。妖精が全く俺に関心を向けないでいてくれたおかげでほぼ不意打ちのような形になる。妖精はあっけなく消える。──────花びらとなって。

これから読み取れるのはこの妖精もまた、茶子の感情の一つであるということだった。──────つまり自身で自身を苦しめる。優しい人や、精神的弱い人にありがちなことだ。全て、自分が悪いと思い込む典型的な。人に八つ当たりができないから自身に当たる。俺から見たらバカの所業である。


「どうも、起きてください。」


俺は茶子を貫いているツタをきり、首からロープをとる。幸いと言っていいかは分からないが、ここは精神の空間に近いのでその傷はすぐに治る。


「あ……ぁあ……ッ」


茶子は自由を手に入れてなお絶望したかのように顔を青ざめ、膝から崩れ落ち、両手で体を支える。


「すみません。いえもんです。大丈夫ですか?」


なるべくいえもんに口調を寄せながら茶子に話しかける。そうすると、彼女は涙を流しながら静かに言う。


「…死にたい。」


そんな、短い一言にあらゆる思いが載せられている。自由になりたい、楽になりたい、なんて簡単な文字だけで表すことの出来ない。この世界に対する絶望。自身への軽蔑。勝手に死んでしまった罪悪感。妹を置いて先に死んでは行けないという過剰な正義感。沢山の感情がその一言に詰まっていた。


「…未練は、なんです?」


聞いてみる。本人が自覚しているのか、していないのか。…分かりきっていることではあるが、聞いてみる。このまま黙っていればまた自傷行為を始めるだろうから。


「死にきれなかったこと…です。」

「違う。それは結果。未練があるから死にきれなかっただけ。原因は別…だと思いますよ。」


茶子の言葉に即座に否定する。実際、それは未練では無いからだ。あんな『代償』を残しておいて死にたい、なんてそんなものじゃないはずだからだ。


「未練…菓子を置いていったこと…?それとも…種族長として責任を果たせなかったこと…?あはは…いっぱいあるな…分からないや…」


茶子は疲れきった様子でばたりと芝生の上に転がる。転がった瞬間花がまた、咲く。そして、木が茶子を話さないとばかりに枝で茶子の手首に巻き付く。


「茶子さん、あなたが菓子さんに渡した脳力…。あれの代償をご存知ですか?」


質問してみる。なるべく俺が教えるのではなく、自分で理解して欲しかったから。


「確か…私の存在を世界から抹消する…だったかな?ふふっもう覚えてないやぁ…」

「嘘ですよね。そんな願い、忘れるわけないじゃないですか。」


茶子のふわふわとした返しに俺はそれをバッサリと切り捨てる。結論を急がなければならない。茶子が、菓子の魂を徐々に蝕み始めている。


「…今日は感が鋭いね、いえもんさん…。んん、そうだね…私は、菓子に幸せになって欲しかったの。」


…やっと、未練を引き出せそうで安心する。あとは茶子の話を聞くだけだ。あとは…いえもんに任せよう。しばらく精神状態が不安定だろうが、俺がこの肉体を使い続ける方が負担になるだろうから。


「菓子ね〜…最初、あの子ボロボロの服を着てて。それで『ここで暮らさせてください』、ていったときは驚いたなぁ…。だって、明らかに猫耳が生えてるし、しっぽは2本生えてるしで絶対化け猫だったからな…。」


茶子が話を続ける。相槌を無言で打つ。


「最初は何だこの子?って思ってたけどあの子なりに頑張ってて凄かったなぁ…。真面目だったし、自然を積極的に保護したり、時には買い物にも行ったりして…。それに、人一倍正義について考えてたり…。努力家で、幸せになるべき子だと思う。」


だから、と茶子さんは話を続ける。表情は笑顔だが、引きつっている。強がった笑顔なのだろう。涙は停めることが出来ず、頬をつたい、木に落ちる。木が、少しだけ大きくなる。


「だから、もうあの子には私の存在はいらない。私のことを覚えていたら菓子は絶対に私のせいで…って自分を攻めると思うし、立ち直れないかもしれない。なら、私の存在を世界から消してしまえばいい。そうすれば、菓子は悲しまない。」


歪んだ愛、なんて、俺には言えなかった。愛する人のために辛い決断をする。それは歪んでいる、なんて言えなかった。ただ、その愛が飛躍しすぎてしまっただけなのかもしれない。


「けど──────ダメだなぁッ私…ッッ自分で決めたのに…心配になっちゃって…ッあの子、しっかりしてるのに…ッ私がいないとッダメだからなぁ…ッ後悔…しちゃったぁ…ッ」


もう、声も、表情も取り繕えていない。感情が漏れ出す。木が、大きくなり、根を張り、花々がさらに咲く。これ以上は菓子さんに影響がある。


「茶子ッ!!このままそこに居座り続けたら菓子が危ないッッ!!!」


そう、いえば茶子さんはハッとしたような顔をしてから、諦めたかのように笑顔になり、寝転がるのを辞め、座る。


「そう…だね…私が、代償を願って、存在を消すのに、菓子に忘れられるのが辛いのが未練って…ダメだなぁ…私。…そう!わたすは茶子!!いつでも元気に!!」


…どうやら、覚悟を決めたようだった。


「いえもんさん。私の遺言、というかお願い、2つ聞いてくれない?」


茶子さんはもう涙を見せなかった。


遠くの花が色を失い、花びらを散らした。



























ここで切ります!最近なんか2800文字くらいがデフォになってきて自分自身でも驚いてます…。


報告!私、サブ垢を作ることにしました!ぜひ探してみてください!私から教えるつもりは今のところないです。サブ垢で何かを書くはまだ気分次第だと思います。とりあえずよろしく!

タブレットすごい!画面大きい!イラスト描きやすい!めちゃ便利!!楽しいです!!

テスト期間に入りました。投稿をそろそろ控えると思います。辞める時はご報告します


それでは!おつはる!

一明日を見るためにー

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