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𝒔𝒑𝒊𝒌𝒂
3,374
꒰১_かお_魂上_かさ_໒꒱
27
mkml
昼休みまで、あと一時間。
三時間目と四時間目の間の十分休み。
教室は次の授業の準備をする人、友達と話す人、廊下へ出る人で賑わっていた。
そんな中。
教室の一番後ろの席。
「……」
mlは静かに机の中へ手を入れた。
ごそごそ。
取り出したのは。
綺麗に包まれた弁当箱。
そして何の躊躇もなく蓋を開ける。
ぱかっ。
唐揚げ。
卵焼き。
ブロッコリー。
白ご飯。
「いただきます」
小さく呟いて箸を持つ。
もぐ。
「……」
もぐもぐ。
まだ三時間目が終わったばかり。
昼休みまで一時間近くある。
完全なる早弁である。
その様子を、一人の男子生徒が目撃していた。
「……は?」
mkだった。
たまたま飲み物を買って教室へ戻ってきたところだった。
「めると」
「ん?」
「何してんの。」
「昼ご飯」
「見れば分かる。」
mkは頭を抱えた。
「いや、今何時間目終わった?」
「三時間目。」
「昼休みは?」
「まだ。」
「じゃあ何で食ってんの。」
「お腹空いた。」
あまりにも当然の顔だった。
「いやいやいや。」
mkはmlの机まで歩いてくる。
「昼まで我慢せぇよ。」
「無理。」
「即答。」
「お腹空いた。」
「知っとるわ。」
「だから食べてる。」
「だからじゃない。」
会話が噛み合わない。
周りのクラスメイトも聞き耳を立て始めていた。
「あ、まためるとくん早弁してる。」
「今日もか」
「毎日やん」
「慣れてるんかい。」
mkは思わず突っ込んだ。
「毎日なん?」
「うん。」
近くの女子が答える。
「三日に二日は早弁してる。」
「先生に見つからんの?」
「見つかったことある。」
「あるんかい。」
「でもまたやる。」
「反省しろよ。」
mlはそんな会話など気にせず唐揚げを食べている。
「美味しい。」
「美味しいじゃない。」
mkは机を軽く叩いた。
「昼休みまで待て。」
「嫌。」
「何で。」
「お腹空いた。」
「さっきからそれしか言わんやん。」
「事実だから。」
「開き直るな。」
するとmlは卵焼きを一つ箸でつまみ。
「食べる?」
「そういう問題じゃねぇ。」
「美味しいよ。」
「誘惑すんな。」
「じゃあ自分で食べる。」
ぱく。
「……」
mkはため息をついた。
「お前朝飯食ってきた?」
「食べた。」
「何時。」
「七時。」
「今十時半。」
「うん。」
「三時間半しか経ってねぇ。」
「もう限界。」
「燃費悪すぎるだろ。」
周りから笑い声が上がる。
「確かに。」
「育ち盛りだからなぁ。」
「いや育ち盛りでも早いって。」
mkはそう言って弁当箱へ手を伸ばした。
「一回閉めるぞ。」
すると。
mlがさっと弁当箱を抱え込む。
「駄目。」
「いや何で。」
「取られる。」
「取らねぇよ。」
「信用できない。」
「何でだよ。」
「閉めようとした。」
「当たり前だ。」
完全防御態勢だった。
弁当箱を胸に抱え。
椅子ごと少し後ろへ下がる。
「……」
「……」
「お前、小動物?」
「違う。」
「餌守るハムスターみたい。」
「違う。」
「めっちゃ似てる。」
「違う。」
口では否定しながらも。
箸だけは離さない。
「なぁ。」
mkはしゃがんでmlと目線を合わせる。
「昼休み何食うん。」
「パン。」
「……。」
「購買。」
「だから今食うなって言ってんだよ!」
教室中が笑った。
「昼飯を昼前に食って、昼にパン食うって何。」
「二回昼。」
「意味分からん。」
「美味しい。」
「その感想いらん。」
結局。
mkが説得しても。
mlは止まらない。
唐揚げを食べ。
ご飯を食べ。
お米を食べ。
野菜を残し。
「ごちそうさま。」
弁当は綺麗になくなった。
野菜以外。
「食い切った……」
「野菜以外……」
mkは呆然とする。
「満足。」
「満足じゃない。」
「幸せ。」
「俺は全然幸せじゃない。」
その時だった。
ガラッ。
教室の扉が開く。
「はい、席着けー。」
四時間目担当の先生だった。
「……」
「……」
先生の視線が。
机の上の空になった弁当箱へ向く。
そして。
mlへ。
「……。」
「……。」
「また早弁か。」
「はい!」
素直だった。
「昼休みまで待てって前も言ったよな。」
「言われました」
「何で食べた。」
「お腹空いたので」
「知ってる。」
先生まで即答した。
「毎回それだな。」
「本当なので。」
「本当でも待ちなさい。」
「はい。」
「その返事も毎回聞いてる。」
クラス全員が笑う。
mkは机に突っ伏した。
「ほらな……。」
「怒られた。」
「当たり前。」
「でも美味しかった。」
「反省ゼロか。」
昼休み。
購買へ走るml。
その後ろを追いかけるmk。
「待て!」
「パンなくなる!」
「お前弁当食ったやろ!」
「別腹!」
「高校生でその理論使うな!」
廊下に二人の声が響く。
その日も結局。
mlはパンを二つ買い、満足そうに食べていた。
それを見たmkは、「こいつの胃袋だけは一生理解できない」と、本気で思うのだった。
コメント
2件
いやメルトくんらし…w
mkml、早弁最高すぎた〜!!😭💕 mlが「お腹空いた」の一点張りで全然止まらないの、まさに小動物すぎてかわいすぎる♡笑 「二回昼」「別腹」とかもう意味わからん理論なのにちゃんと通じる空気感がエモい…! mkのツッコミも毎回的確すぎて、教室中が笑ってるのが目に浮かぶよ〜 先生まで「知ってる」「毎回それ」って即答してるの、日常すぎてじわじわ来る😌🍀 ついでに野菜残すとこも含めてmlのキャラ確立しすぎじゃない??完璧だよ。 でも最後の購買ダッシュ、絶対毎日これやってるんだろうな… 「こいつの胃袋だけは一♡♡♡解できない」、これ名言すぎるから本にしてほしいレベル😭✨ こういうゆるくて笑える日常、大好きだよ!また読みたい!!🌸