テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
橙桃です。本人様とは関係ありません。
地雷だよって方、通報される方は見ないようにしてください。
何でも許せる人向けです。
土曜日の朝。リビングでゲームをしていると後からげんこつを食らった。
「い”っでぇ……何すんだよ!!」
桃「ゲームしてないで早く朝ご飯食べろ」
「えー今良いところなのに…」
桃「起きてすぐにゲームとかバカだろ」
「お前に言われたくねーよ!!」
『ちょっと、2人とも五月蝿い。朝から騒がないで。兄さん、早くご飯食べたら?』
「そう言うお前だってまだ食ってねぇだろ」
俺の隣で分厚い本を読んでいたそいつに言うと俺を横目で見てはぁ…と溜め息を吐いた。
『僕はもう食べたから。兄さんと一緒にしないで』
「な”っ…!!!」
桃「食べねーならいいよ、その代わりお小遣い無しな」
「食べます!!!」
勢い良く立つと桃に「ならはよ食えw」と笑われた。
おい、今後ろで鼻で笑ったの分かってんだからなこの文系チビ。
朝食を食べているとスタスタと此方に歩いてくる足音が聞こえてきた。
桃「お、大型犬が起きてきたか。おはよ」
橙「ん…はよ…」
『相変わらず朝弱いね』
橙「ぅん……桃…好き……」
桃「はいはいw」
キッチンで橙の朝食を用意していた桃をバックハグするこの家の大型犬。
「他所でやれし。俺らの目の前でバックハグすんなよ」
『何今更、いつもの事じゃん』
桃「お、反抗期の次は思春期かー?」
「ニヤニヤすんなっ!!!////」
桃「おー怖wほら橙、朝ご飯食べちゃいな」
橙「は〜い……」
「あのさ…」
桃「?どした?」
「どした?じゃねぇよ!!距離感バグってんだろ!!!」
『本当にどうしたの兄さん、いつもの事でしょ?』
「う~…////」
橙「あははwお年頃やな〜でもごめんな?俺ら一日中くっついていないと気が済まないんよ」
「仕事のときは離れてるだろ」
桃「仕事でストレスが溜まった分、休みに橙パワーを補充するの」
ね〜と微笑み合う2人。橙パワーって何だよ。それを気にもせずに本のページをめくる弟も変に思えてくる。
何?俺だけがおかしいの?変なのは俺だけ?
俺のことは放っておいて自分たちだけ楽しんでるのか。
俺、この家に必要なのかな。
「俺、家出する」
桃「おー行って来い行って来い」
橙「車に気ぃつけてな〜」
・・・・・
「ッそこは止めろよ!!!」
結局外に出たは良いけど…何処行こう。
友達の家?でも突然行ったら迷惑か?
ゲームセンター…金ねぇしな…
行き先も無く、ただ足を動かしていると前方に見えた青い髪。
「青じゃん」
青「お、どしたの?買い物?」
「家出」
青「家出?!よく分かんないけど家来る?w」
「行く」
「お邪魔します」
青「お邪魔されまーす」
青の家は1番快適だ。沢山ゲームあるし、お菓子とかも割と置いてあるし。金使って漫画喫茶とか行くよりは断然良いな。
青「スマブラでもやる?」
「やる」
青「んで…何で家出したの?」
何回戦かした後、休憩がてら他愛もない話をしていると青に問いただされた。
「………あいつらがイチャイチャしてんの見るのが嫌だったから」
青「恥ずかしくなっちゃったのねw」
「ちげーよ!!!」
青「年頃だねぇwww」
「それ橙にも言われたわ」
青「まぁ気持ちは分かるよ?あの2人ずっとイチャコラしてっからw」
「だろ?!それに……俺のことは放ったらかしでさ…」
青「それは違う」
青は優しい声色のまま、でも何処か真剣な表情でそう言った。
青「少しは認めてあげてよ。色々あったんだ。お前たちがまだ小さい頃、同性愛ってものは余り広く知られて無くて、沢山苦労しながら今の幸せに辿り着いたんだ」
「………」
青「鬱陶しいくらいベタベタしてるし、同じ家に住んでいるなら尚更嫌だと思うかもしれない。でも、否定だけはしないで欲しい。そして、放っていないよ。お前らのこと大好きだから。こうやってお前が家出するって言ってもそれを止めずにお前の意志を尊重してくれる彼らなりの愛情なんだよ。だから、ね?」
色々あったんだ……確かに俺らが小さい頃の話を聞くと少しだけだけど辛そうにしていたな。今の時代は周りだって同性愛は多いし、気にもしなかったけど昔は違ったんだ。
それに……
俺って…愛されてたんだな。
いっつもイチャイチャしてて俺たちのことなんて放ったらかしだと思ってた。
そういえば桃、俺が小学生の頃に雨でずぶ濡れで帰ってきたとき「風引いちゃう」って泣きながら拭いてくれたっけ……。橙は叱ったあと必ず優しく撫でてくれたなぁ…。今思えば沢山愛してくれてたんだ。
「………俺、帰る」
青「うん…」
外に出るともう夕方で空は紅く染まっていた。
『あれ、兄さん』
「…何してたんだ?」
『図書館に本を借りに…兄さんこそどうしたの?家出は?』
「……何か、あいつらに会いたくなっちゃって」
『……何かあった?』
「別に……でも、」
『?』
「あいつらの“息子”で良かったなって…思った」
『……………うん、僕も』
これからも沢山嫌なこと言っちゃうし迷惑かけると思うけど、嫌いにはならないよ。絶対。
愛してくれてありがとう。
でも、イチャイチャは程々にしろよな。
橙桃の長男side
コメント
17件
うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!その息子になりたい!!!!!!
最高です…好きすぎて発狂したいぐらいです…()