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主要登場人物一覧
蔵島壱成(19)…2代目主人公 ULTIMATE緊急事案機動処理部隊第1班所属
中島佑紀弥(19)…ULTIMATE緊急事案機動処理部隊所属
松浦風雅(19)…ULTIMATE緊急事案機動処理部隊所属
長内貴也(52)…ULTIMATE中央指令部長
水崎一躍(23)…ULTIMATE緊急事案機動処理部隊所属
柳生敦也(51)…ULTIMATE緊急事案機動処理部隊所属
赤木龍一(33)…ULTIMATE緊急事案機動処理部隊長
室口翔平(42)…ULTIMATE3代目総監
福良啓二(29)…ULTIMATE総監秘書
岸田正龍(25)…警衛局中央監察部首席監察官付き監察官
工藤哲也(45)…警衛局中央監察部首席監察官
「片倉さん、ウイルスは我々ULに任せてください。あなたには家族がいる。大切な人達を置いて死ぬなんてダメです」
蔵島が声を振り絞って言った。すると片倉は涙を拭いながらポケットから小さな瓶を取り出した。
「ここにはIFウイルスの血液が入っている。この血液を接種する事でウイルス化することができる。ウイルス化して俺は柵の外に出る。お前はすぐに柵を閉めてくれ。やれるかわからんがウイルス化してこいつらを倒す」
そう言うと片倉は瓶を握った。
「そんな、そんな事できませんよ。目の前で仲間を見捨てるなんて」叫び続ける蔵島を前に片倉は瓶を口につけた。
「ダメです。ダメだ」止めに入ろうとした蔵島を中島がとめた。
「最後ぐらい自分の正義とやらを見守ってやろうよ」中島が囁くように言った。血液を飲み干した片倉はふらつきながらも柵の外に出た。それを見て中島はすぐに柵を閉めた。
「片倉さん、片倉さん」蔵島は泣きながら柵にしがみついた。
「落ち着け、蔵島」中島は蔵島の背後に回り、羽交い締めにするようにして止めた。その頃警衛局では岸田による西日本方面本部所属警衛官の救出作戦の準備が行われていた。
「岸田、やるからには全員救ってこい。何かあれば責任は全てこの俺がとる」
「工藤さん、首席監察官の座ズット狙ってたんでしょ?UL抜けてから。責任取るようなことさせませんから。俺を信じてください」そう言うと岸田はサングラスをつけた。
午前5時航空隊が用意した救出用大型ヘリは岸田そして本隊のメンバーらを乗せ出発した。西日本方面本部基地内に着くと本隊の警衛官らは銃を構えながら基地内へと流れ込んで行った。
「お疲れ様です」室口は岸田の姿を見るなりすぐに敬礼した。
「お疲れ様。これより西日本方面本部所属警衛官の救出作戦を行います。負傷者などはいますか?」岸田は眠たい目を擦りながら聞いた。
「殉職者1名のみです」
「殉職者?」
「はい。所属は西日本方面本部、役職は本部長、名前は片倉旬です」
「なぜ本部長が殉職?」
「ウイルス制圧に自ら向かったとそう報告を受けています」そう言いながら室口は横たわる蔵島に目をやった。そこには中島の姿もあった。岸田は状況を把握すると無線機を握った。
「全隊員に告ぐ。基地局及び半径10kメートル圏内で片倉旬の捜索を開始せよ。ポイントα地点からCR地点だ。急げ」
「え?捜索をするのですか?」室口が聞いた。「まだ死んでるか不明、死んでいたら遺体を回収し警衛葬の準備を行わないといけません。」警衛葬とは殉職した警衛官の葬式の事だ。「絶対に生きてる」そう呟きながら蔵島はゆっくりと立ち上がった。
「蔵島と言ったな?生きているというのは希望か?それとも真実か?」
「両方です。私は片倉さんを必ず家族のもとへ無事に帰すために探します」
「なるほど。期限は一日だ。一日たって見つからなかったら帰ってこい。捜索隊の指揮はお前に任せる」そう言うと岸田はその場から立ち去って行った。
午前5時30分蔵島主導で急遽、本隊とULTIMATEから編成された捜索隊は西日本方面本部を後にした。捜索隊に入った警衛官達は胸の中で片倉の無事を祈りながら出発した。
「大切な我々の仲間、彼には愛する家族がいる。必ず無事に助け出してこい。大切な仲間を必ずだ。」
無線越しではあったが岸田の熱が全隊員に降り注いだ。