「ここ…何もないな…真っ白だけど…。」
周りを見ていると壁に、片思いしている人を考えながら告白しないと出られない部屋と書かれている紙を見つける。
「先輩ー。これなんですか?」
凛は片思いしている先輩幸人と〇〇しないと出られない部屋に閉じ込められてしまったのだ。
…。
いやあれ?いや待って…?
私しかできないんじゃ…幸人先輩好きな人いないって言ってたよね…?
ただこれ、私が恥ずかしいだけじゃ…。
一方幸人(俺何でもいいから惚れた方がいいか…?凛ちゃん好きな人いるって言ったよな…複雑な気分になっちゃうだろうし…)
と考えている。
「私、こんな世界一複雑な告白したくないです…。何で片思いの人を考えながら…?」
「 同意するよ。これあまりにも複雑な気持ちだよ。する方もされる方もこれどうしたら良いんだろうね。」
幸人は困っているように笑っていたが真剣な顔で言う。
「 本当に好きな人がいるなら早く終わらせた方がいいかもね。ここにいるよりはましだよ。」
暫く二人で見合わせてから凛は覚悟したかのように幸人を見る。
…ぁぁぁぁぁあ!もう!私が恥ずかしい思いするし…絶対聞かれるんだろうな…。
「先輩、私今から片思いの人考えるので待っててください。」
幸人は目を見開いたが凛の覚悟を見て頷く。
まあ、本人目の前にいるけどね!?好きな人…どんな気持ちで告白したらいいんですか先輩…もう本当に目を合わせるのも恥ずかしい…
私の心臓の音うるさい…。
もう…私の気持ちをこの部屋は弄んで…!
怒りを恥ずかしさを抑えながらも告白するが凛の表情はもはや恋する乙女だ。
こんな顔…先輩に見せたくなかった…!
「先輩、好きです…」
幸人はピクリと動いたが凛の告白する姿をじっと見つめる。
すると壁に貼ってあった紙は燃え上がり、灰になって消えてしまった。
「…え、か、火事起きないですよね、出れますよね…!?」
「何これ…?紙だけ燃えた…!?」
暫く二人で落ち着くまで大騒ぎしていました。
「マジック見た気分だね…。部屋燃えたら怖いし、早めに出よう。」
「そうですね、先輩…」
そして扉の鍵が開く音がした。
外に出た後、幸人は凛に向かって言う。
「いや、でもさっきのは何だったんだろう…。急にあの部屋で告白しろって言われて、しかも片思いの相手を考えながらって意味が分からなかったよ…」
凛は外に出た後不思議そうに幸人に話しかける。
「…幸人先輩…何言ってるんですか?そんな所に閉じ込められたりなんかしてませんよー。 」
幸人はその様子を見て焦りと困惑が混じっていく。だってちゃんと、告白された時の記憶も心配数も残っているのだ。
「さ、さっきまであそこで大騒ぎしてたじゃないか。急に真っ白な変な部屋に閉じ込められて…変な紙に変なこと書いてあるし…それで、俺達出ようとして…!」
凛の困惑しているような表情を見て、幸人は自分がおかしいのか…?と感じ始める
「変な夢ですね。好きな人を考えながら告白…。そんなこと、私としてたんですか…? 」
凛は困惑しながらもクスッと笑っている。
(あれ…?可愛い…。 )
その様子を見て幸人は深呼吸をしてから凛の前では落ち着いたフリをする。
「そうだな。変な夢だよな。
でも、一つだけ気になることがあるんだが…お前は誰を考えていたんだろうな…夢の話をするのは変かもだけど…好きな人っているのか…?」
幸人の様子を見て凛は戸惑った様な表情をする。
「夢のことですよね…?まあ、いますけど…」
幸人は夢なのか現実なのか分からないが気になって仕方がない。
あんなに可愛い顔できたのか。誰考えてたんだ…!?俺にあんな顔見せてくれたことあったっけ…。本当に可愛いく見えてきた。
次、片思いしている人に告白とかって出たら俺の気持ちバレるよな…。
早く忘れないと…こんな気持ち…凛ちゃん
凛ちゃんに恋されている人なんか…羨ましいな…その人…とずっと暫く凛のことを考えている。結局答えを聞けずに凛が去った方を見ながら気になってうろうろしているのだった。
一方凛は幸人にちょっと引いていた。
え?今日の先輩様子がおかしい…。何言ってるんだろ…独特だなぁ…夢…。
好きな人も聞いてくるのは…脈あり感あって嬉しいけど…どういう気持ちで聞けばいいんだろ?うん。まあ、私は否定しないです!
そう考えながら、凛は家に帰ってから考えるのをやめて、のんびり過ごしたのだった。
先輩が動揺してる所初めて見たかも…。
明日からかってみようかな…
「先輩が動揺してる所結構面白かったですー」
凛は楽しそうに幸人の頬をつついてからかうが、幸人は内心心臓バクバクなので、全力で平然としているフリをしている。
「あー。もう。からかわないでよ。ほら、勉強教えてあげるからやめなさい。 」
「はい!幸人先輩ー。」
幸人は凛に勉強を教えながらもたまに凛をチラリと見るようになったのだった。
(あ、これ勉強してる時だと、できてるか確認してるみたいになって何も言われないな…。
いや、そんなこと考えちゃ駄目だ。勉強に集中しないと…いやまあ、たまに見るくらいなら…やっぱり可愛いな…)
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