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⿻ 超特急 秀哉 × 政裕 ⿻
【 第1話 】 秀哉 視点 .
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プロフィール ( profile )
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・ 志村 秀哉 ( 23 )
超人気 男性 モデル
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・ 森次 政裕 ( 24 )
実力派 メイクアップ アーティスト
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「 秀哉さん、おはようございます!」
今日も朝からたくさんの声が飛び交う。
撮影スタジオ。
メイク。
スタイリスト。
カメラマン。
慌ただしく動くスタッフたち。
その中心で、俺はいつものように笑った。
「 おはようございます 」
モデルの仕事は好きだ。
たくさんの服を着られるし。
たくさんの景色を見られるし。
なにより …
「 今日もかっこいいね 」
なんて言われるのは、少しだけ
だけど …
「 秀哉さん! 」
「 はい? 」
「 すみません、大変です! 」
その一言で、
いつもの一日が少しだけ変わった _ 。
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「 すみません、大変です! 」
その一言で、
いつもの一日が少しだけ変わった _ 。
「 ……何かあった? 」
俺が鏡越しに振り返ると、ヘアメイクチーフが息を切らしたまま立っていた。
「 ベースメイク、予定してたブランドのリキッドが……全部 “ 使用不可 ” になりました 」
「 使用不可? 」
嫌な言葉だった。
スタジオの空気が一瞬で静まる。
チーフは続ける。
「 成分に微細な不備が見つかったみたいで、現場使用は禁止って……今、メーカーから連絡が 」
カメラマンが小さく舌打ちする。
スタイリストも動きを止めた。
「 じゃあ今、使えるメイクは? 」
「 最低限のストックだけです。でも……今日のコンセプトには、正直足りません ! 」
“足りない”。
その言葉が重かった。
撮影の世界でそれは、ほぼ“成立しない”に近い。
チーフが俺を見る。
「 秀哉さん……一回、コンセプト変えるしか…… 」
その瞬間、現場の視線がまた俺に集まった。
決定権なんてないはずなのに、
なぜか
少しだけ息を吐いて、俺は言った。
「 ……変えなくていいです 」
「 え? 」
「 あるもので作りましょう。制限ある方が、逆に面白いことあるし 」
一瞬、静止。
そして――
「 ……やってみるか 」
カメラマンがぽつりと呟いた。
チーフが小さく頷く。
「 秀哉さん、10分だけください 」
「 了解 」
鏡の前で、ライトの位置が変わる。
メイクブラシの音が戻ってくる。
止まりかけた現場が、また動き出した。
そのときだった。
控え室の方から、もう一つの足音が近づいてくる。
ゆっくり、迷いのない足音。
「 ……間に合った 」
低い声。
それは初めて聞く知らない声で _ 。
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「 ……間に合った 」
チーフがぱっと顔を上げる。
「 政裕さんッ ! 」
その名前に、現場の何人かが安心したように息を吐いた。
ただ _
俺はまだ、その人を知らない。
鏡越しにちらっと見えたのは、
黒いバッグを肩にかけた、落ち着いた雰囲気の男。
スタッフたちは当然のように彼を迎えている。
でも俺にとっては、
ただの “ 現場に途中参加してきたメイクスタッフの一人 ” だった。
その人は俺の前まで来て、軽く目線を合わせる。
一瞬の間。
そして、何の前置きもなく言った。
「 ……状況、教えて 」
その声は、さっきの “ 低い声 ” そのままだった。
チーフが姿勢を正す。
「 ベースが使えなくなって、今は手持ちのストックでナチュラル寄せに組み直してます。 ただ、コンセプト的にはかなりギリギリで … 」
まーくんは頷きもせず、俺の方に視線を移した。
鏡越し。
目が合う。
一瞬、読まれる感じがした。
「 秀哉 」
名前を呼ばれる。しかも初対面の呼び捨て 。
「 はい 」
「 顔、自分的にどう見えてる ? 」
「 ……どう、って? 」
「 完成形のイメージ 」
急に核心を突かれる。
スタッフじゃなくて、“ モデルの俺 ” に聞いてくる感じだった。
少しだけ考えて、正直に言った。
「 正直、まだぼやけてます。光次第で化けれる可能性はあるかなって 」
まーくんは、ほんの少しだけ口角を上げる。
「 いいね 」
それだけ。
それから、チーフのポーチをひとつずつ開け始める。
迷いがない動きだった。
「 ベース、今のままでいける。むしろ厚くしない方がいい 」
「 えっ……でも、それだとコンセプトが ッ 」
「 変えない 」
短い一言で、チーフの言葉を切る。
政裕さん ? という方は続ける。
「 “ 崩れかけた美しさ ” に寄せる。今日のトラブル、そのまま使う」
空気が変わる。
さっきまで “ 事故 ” だったものが、 “ テーマ ” に変換されていく。
カメラマンが小さく笑った。
「 ……それ、面白いじゃん 」
チーフが息をのむ。
でも、すぐに頷いた。
「 やります 」
まーくんはそこで初めて、ちゃんと俺を見る。
少しだけ距離を詰めて、低い声で言った。
「秀哉 。今日は “ 完璧に作る日 ” じゃない」
「……じゃあ、何ですか」
その言葉のあと、静かにブラシを手に取る。
「 10分で仕上げる。動ける? 」
鏡の中の自分が、少しだけ変わって見えた。
「 ……動けます 」
そう答えた瞬間、
スタジオの空気が、本当に“撮影の顔”になった。
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… ブラシが肌に触れる。
一筆目で、空気が変わるのが分かった。
「 ……やっぱり 」
まーくんが小さく呟く。
「 この肌 、今日の光に合ってる 」
チーフがすぐに反応して、ライトの位置を微調整する。
カメラマンがセットの奥でレンズを選び直す音がする。
全部が、さっきまでの “ 修正 ” じゃなくて、 “ 完成 ” に向かう動き”になっていた。
俺はただ、鏡の前に座ってるだけなのに。
「 目線、もう少し落とせる ? 」
政裕さんの低い声 。
「 こう ? 」
少しだけ視線を外す。
「 いい 」
即答。 間がない。
「今の、その “ 迷った顔 ” 残して」
迷った顔 … ?
狙って作ったわけじゃないのに、それを “ 使う ” って言う人だった。
政裕さんのブラシが頬をなぞるたびに、
さっきのトラブルの 名残 が、全部デザインに変わっていく。
ふと、政裕さんが言った。
「 秀哉ってさ 」
「 はい … ? 」
「 結構おもしろい 」
「 それ、モデルとしてどうなんですか 」
「 最高の褒め言葉 」
短く笑う。
その笑い方が、妙に落ち着いてた。
最後のパウダーが乗る。
政裕さんが一歩下がる。
「 よし 」
一言。
それだけで、 “ 終わった感 ” が来る。
「 撮れる ! 」
カメラマンが即座にレンズを構える。
ライトが一段階強くなる。
俺が立ち上がると同時に、政裕さんが低く言った。
「 秀哉 」
「 ……はい ? 」
「 今からの顔、全部使われると思って 」
その瞬間、
シャッターが鳴り始めた。
さっきまで “ 止まりかけてた現場 ” は、
もう完全に _
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シャッター音が、途切れない。
「 いい、そのまま 」
「 もう一枚いける? 」
「 目線少し右 」
政裕さんの声だけが、静かに飛んでくる。
でも不思議と急かされてる感じはない。
むしろ _
俺はただ、それに乗るだけ。
動くたびに、フラッシュが切り取っていく。
さっきまでの“迷いの顔”が、
今はもう“表情のパターン”として扱われている。
「 秀哉 」
また 呼ばれる。
「 今の、ちょっと止まって 」
「 ……こう ? 」
ピタッと止まる。
政裕さんが一瞬だけ間を置く。
「 それ 」
「 え ? 」
「 今の “ 止まり方 ” 、いい 」
カメラマンがすぐにシャッターを切る。
パシャ ッ 。
「 今のカット、今日のメイン使える 」
スタジオが少しざわつく。
この人 … なんでも出来るんだ …
“ 事故の日 ” だったはずなのに、
どんどん “ 当たりの日 ” に変わっていく。
俺の中でも、変な感覚があった。
最初はただのトラブルだったのに、
今はそのトラブルごと “ 作品の一部 ” になってる。
そのとき。
政裕さんがふっと言った。
「 秀哉さ 、」
「 はい 」
「 こういう日、嫌いじゃないでしょ 」
一瞬、止まる。
正直、当たってた。
「 ……バレます? 」
「 分かりやすいから 」
短い笑い。
そのあと、少しだけ声のトーンが落ちる。
「 こういう現場ってさ 」
「 はい 」
「その人の “ 本当の強さ ” 出るから」
この人は俺の何を知っているんだ … ?
この一瞬で何もかもを知られた気分 。
シャッター音が一瞬だけ遠のく。
政裕さんは俺を見たまま続ける。
「 秀哉 、ちゃんと残る顔してる 」
その言葉のあと、
もう一度カメラが鳴った。
今度は、さっきより少しだけ長く。
まるで “ 決定打 ” みたいに _ 。
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シャッターが鳴り終わったあと、一瞬だけ静かになる。
「 ……OK 。 完璧だ ! 」
カメラマンがレンズを下ろした。
その言葉で、スタジオの空気がふっと緩む。
「 今の、やばいね 」
誰かが小さく言う。
チーフも思わず息を吐いて、肩の力を抜いた。
でも_ 、政裕さんだけは、まだ俺を見ていた。
鏡越しじゃない。
真正面から。
「 秀哉 」
「 ……はい 」
「 今のカット、たぶん今日のメインビジュアルになる 」
さらっと言う。
さらっと言うのに、重い。
俺は思わず笑う。
「 それ、急にプレッシャー強くないですか 」
「 事実 」
即答。
そのやりとりに、スタジオの何人かが小さく笑った。
空気が完全に “ 成功した現場 ” のそれになる。
チーフがメイク道具を片付けながら言う。
「 ほんと助かりました…… 政裕さん来てなかったら、今日は終わってましたね 」
「 終わってたのは “ 予定 ” だけなんで 」
まーくんはそう言って、ポーチを閉じる。
そして少しだけ間を置いてから、俺の方を見る。
「 秀哉 」
「 はい 、? 」
「 今日の撮影、まだ終わりじゃないから 」
「 え ? 」
カメラマンも顔を上げる。
「 ……どういうことですか ? 」
まーくんは短く言った。
「 “ 事故のあと ” って、一番いいの撮れる時間あるんですよ 」
スタジオの空気が、また少しだけ変わる。
さっきの
もう一段、深い方に落ちる感じ。
「 秀哉 、もう一回いける ? 」
その言葉は確認じゃなくて、ほぼ決定だった。
俺は少しだけ息を吸って、
「 ……いけます 」
そう答えた。
まーくんは一瞬だけ目を細める。
「 じゃあ今度は、 “ 素 ” 出して 」
「 さっきより難しいこと言ってません ? 」
「 簡単な方だよ 」
そう言って、ライトの角度を自分で少しだけ動かした。
そして静かに続ける。
「 今の秀哉なら、それが一番いい 」
その瞬間、
スタジオの誰もがもう一回カメラを構え直した。
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NEXT …
「 その顔、たぶん世界で一番きれい 」
コメント
1件
あーーーもうめっちゃ良かった!!😭💕 まず「崩れかけた美しさ」っていう発想、天才すぎるでしょ!事故をそのままテーマにしちゃう政裕さんかっこよすぎるし、呼び捨てで核心突いてくる距離感がもう…エモい!!!✨ 秀哉の「迷った顔、残して」って言われてるところとか、プロにそのままの自分を見透かされてる感じがドキドキしたよ…! しかも「今の秀哉ならそれが一番いい」って言われた瞬間、もう完全に心持ってかれた😭💕 続きの「その顔、たぶん世界で一番きれい」ってタイトルも気になりすぎる!!絶対読む!!🌸
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