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読了しました……。サツキの「あなたの今を見ています」って台詞、ゾッとするほど綺麗で、一番怖かったです。好きだからこそ壊れていく執着の描き方が丁寧で、メバルのツッコミがいい息抜きになってるのも好き。最後の「直接話しましょう」で、次が気になりすぎて夜しか眠れません。続き、静かに待ってます🌙
翌朝、アオノは便箋を持ったままリビングへ下りてきた。
「アオノちゃん、おはよう。朝ごはん食べる?」
「後でいい」
「また機械?」
「昨日の手紙について確認したい」
その言葉に、メバルの手が止まった。
カキがトーストをくわえたまま振り向く。
「手紙? ラブレターか?」
「カキ、口に物を入れたまま話すな」
マサカゲが注意する。
アオノは便箋をテーブルに置いた。
「これが部屋にあった」
全員が紙を覗き込む。
メバルは眉をひそめた。
「『今日もレイカさんと楽しそうに話していましたね』……なにこれ」
「観察記録のように見える」
アオノが淡々と言う。
「ラブレターじゃないのか?」
カキが言うと、ミステーが真面目に首を傾げた。
「恋文とは、もっと紙が熱を持っているものだ」
「紙は熱くならないよ!」
メバルがツッコむ。
レイカは便箋をじっと見ていた。
「アオノ、怖くないの?」
「現時点で危険性は確認できない」
「そういうところが怖いんだよ」
アオノは便箋を封筒に戻した。
「筆跡を確認する。全員、心当たりは?」
誰も答えなかった。
ただ、サツキだけが少し遅れて口を開いた。
「私ではありません」
サツキはいつも穏やかな笑顔を浮かべていた。声も落ち着いている。
「でも、アオノちゃんのことをよく見ている人なら、書ける内容だと思います」
「サツキちゃん、アオノちゃんのこと、よく見てるの?」
メバルが軽く尋ねる。
「好きな人のことなら、普通です」
サツキは笑った。
その笑顔は、自然に見えた。
しかし、マサカゲは少しだけ視線を細めた。
その日から、アオノの部屋には手紙が届くようになった。
『今日は八時十二分に起きましたね』
『朝食はトースト一枚と牛乳でしたね』
『防音室ではレイカさんの隣に座っていましたね』
アオノは最初、記録の正確さに関心を持った。
「時刻の誤差が少ない」
#スクラッチャーズ
K-Takasaka
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K-Takasaka
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「感心するところじゃないよ、アオノちゃん!」
メバルは手紙を取り上げ、封筒を裏返す。
差出人はない。郵便で送られたわけでもない。毎回、アオノの個室に直接置かれている。
しかも、誰かが家の中にいる時間に、誰にも見つからず侵入している。
「これ、普通に怖いよ」
メバルが言う。
サツキはテーブルの向かいで、紅茶を飲んでいた。
「アオノちゃんを一番理解しているのは、私です」
「理解してるなら、こんな手紙を置かないでよ!」
メバルが叫ぶと、サツキは不思議そうに瞬きをした。
「なぜですか?」
「本人が望んでないから!」
「でも、アオノは捨てていません」
サツキの声から、初めて笑みが消えた。
「読んでいます。私の言葉を、毎回」
「それは、置いてあったから読んでるだけだよ」
メバルの言葉に、サツキは返事をしなかった。
防音室では、その後も練習が続いた。
「春とピラミッド~、恋する採掘~♪」
カキが歌い、ミステーが追いかける。
「春とピラミッド~、永遠の地下室~♪」
「なんで地下室に行くの!」
「恋は深い場所にある」
「音程が深すぎる!」
レイカはアオノの隣に座った。
サツキは少し離れた位置から、その二人を見ていた。
アオノがレイカに何かを説明するたび、サツキの指が膝の上でゆっくり握られる。
メバルはそれに気づいた。
だが、声をかける前に、サツキはいつもの笑顔へ戻っていた。
夜。
新しい手紙が届いた。
『レイカさんは、あなたの昔を知っています』
『でも、私はあなたの今を見ています』
『あなたを一番理解しているのは、私です』
アオノは最後の一文を読み、しばらく黙っていた。
部屋の外で、床板が小さく鳴る。
アオノが扉を開けると、廊下には誰もいなかった。
ただ、階段の下にサツキの姿が見えた。
サツキはアオノを見上げ、微笑んだ。
「おやすみなさい、アオノ」
「おやすみ」
扉が閉まる。
サツキはその場に立ち尽くし、閉じた扉を見つめた。
やがて、彼女は手の中の新しい封筒を握りしめる。
封筒の中には、まだ誰にも見せていない文章があった。
『次は、直接話しましょう』