テラーノベル
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「あ〜〜…俺今、めちゃくちゃ幸せなんですけど」
床に座り、背もたれにしているソファに仰け反った目黒が天井に向けて呟いている。
俺は、後ろから目黒にすっぽりと収まるように抱きすくめられながら、惚けたその呟きを聞いていた。
背中に感じる目黒の体温が暖かくて、ぼんやりとしてしまう。
「ね、舘さん」
「んっ…」
急に耳元に息がかかって、ピクリと身体が震える。
「ちょ…、そこ、くすぐったいから」
「笑 かわいっ」
「可愛くない!」
何度となくこのやりとりをしている。
…飽きないのか?
そもそも可愛いってなんだ。
「目黒って、よくわかんないね」
「どういう意味ですかー?」
だから、そこでしゃべるなってのに。
耳の周辺は、刺激に弱い。
それを知って、わざと耳元で囁く目黒の頬をきゅっと抓ってやる。
「痛いよ、舘さぁん」
「嘘つけ」
あーもー、なに、この甘い空間。
なるほど恋人ってこういうこと?
これは、確かに今までの関係では、できなかっただろうな。
「ねぇ、今日泊まっていってくださいよ」
「いや、今日は帰るって言ったでしょ?」
「…なんで?」
声のトーンを落として、首筋に唇を落としながら目黒が囁く。
「っ…そこ、やめろって…」
「…感じるから?」
「…ばーか」
目黒の頭を掴んで、無理やり引き寄せキスをする。
ちゅっと音を立てて唇を吸うと、少し驚いた顔を見せた。
「…舘さん、ズルい…どんだけ可愛いの…っ」
コイツ相当ヤバいんじゃないかって心配してしまう。
恋は盲目を地で行くタイプだ、コイツは。
「目黒って、1を許したら10持ってくでしょ」
「えー、何すかそれ」
「…当たってるんだけど」
「……バレた?」
腰の辺り、目黒の中心が当たるその辺りに、僅かに主張するソレ。
「…ちゃんと我慢してるでしょ?俺」
「てか、何でそんなになるの…」
「舘さんが可愛いから」
「それもういいって…」
目黒の腕を解いて、くるりと身体を反転させる。
膝をついて向き合うと、目黒の頬を両手で挟んでこちらを向かせた。
「今日は気持ち伝えたかっただけだから。確かめ合えて、良かった」
「…舘さん?」
「…このままじゃ、お前暴走しそうだから今日は帰るよ」
「暴走って……
よく、わかりましたね」
不敵に笑ったと思った瞬間、身体が宙に浮いた。
「ぅわ…っ!?」
腰を抱えられ、もたれていたソファに押し倒される。一瞬のことで、抵抗もできないまま目黒が上から覆いかぶさった。
「…あの態勢からよく俺を抱えたね」
「ぶはっ笑 そこ今感心します?」
少年のような笑顔を見せたと思ったら、すぐにそれは消えて、男の顔になる。
「舘さん、俺の前だと隙だらけだ」
「…恋人にずっと警戒心持ってろっての?」
「そうじゃなくて」
ゆっくりと、唇の形を確かめるようなキスをする。
どこまでも甘いこの空間に、身を置いておきたい気持ちに駆られる。
「ね?このまま、一緒に居て?」
「…甘えん坊めめ発動すな」
「お願い。手ぇ出さないから」
「この状況で?説得力ないなぁ」
「…っだから、我慢してるじゃないスか」
そう言って、首筋に顔を埋めてくる。
熱い吐息と、ぬるりと這う舌先。
「んっ…!」
ピクリと身を捩ると、いたずらっ子のような笑顔で見つめられる。
「…手ぇ出さないって言わなかった今?」
「手は、出してません」
…この野郎
頭を小突くと、てへっと言わんばかりのフニャッとした顔で笑う。
男の顔と子供っぽい笑顔のギャップがズルいなーと思う。
「今度やったら拳でいく」
「オラオラの舘さんもいいかも♡」
「お前ね…。ていうか、俺シャワーもしてないから、ホントどいて?」
「舘さんの匂い俺好きですから♡」
首筋に顔を埋めてすんすんと鼻を鳴らす様子は大型犬そのものだ。
「ん、や…め」
「てか、シャワーしたらしていいの?」
「…そういうことじゃないから」
むぅっと頬を膨らませる目黒を可愛いとか思ってしまう俺も相当ヤバいかもしれない。
膨れた頬を両手で挟むと、ぷふっと息が漏れる。
思わず2人で笑ってしまった。
「目黒…」
そのまま引き寄せキスをする。
唇を軽く喰むと、ちゅっと音を立て離す。
「…舘さんは、何でそんなに俺を煽るの…」
「別に煽ってないけど。キスしたくなっただけ」
「〜〜〜っ俺すごく我慢してるのに…っそんな可愛いこと言うと本当に襲いますよ?」
可愛いはよくわからないし、襲われるのも困る。
「じゃあ俺からはもうしないから」
「…それはやだ」
何なのもう。
「ねぇ目黒、マジでそろそろ離して?」
「えー、だって離したら舘さん帰っちゃうでしょ?」
我儘駄々っ子全開なんだが。
ふぅとため息をついて、観念する。
「もう。…わかった、帰らないから離して、ね?」
「本当?」
ぱっと目黒の顔が綻ぶ。本当に、ワンコみたいだ。
「ホント。じゃなきゃお前離してくれなさそうだし」
「やった!」
「手ぇ出さないって約束は忘れるなよ?」
「………はーい」
不貞腐れてるわ、これ。
シャワーを浴びながら、これまでのことを思い返す。
成り行きといえばそうなのかもしれない。
でも、目黒と過ごすこの時は、確かに心地よくて…
それはただの友達とか仲間とか、それだけではないモノがある。
お互いの何に惹かれたのか、ただ居心地がいいだけなのか。
居心地がいいだけなら、身体の奥に芽生える熱は何なのか…
(…ダメだ。恋愛って、そんな深く考えるものじゃないだろ…)
答えなんて出ないのはわかってる。
けど、考えずにいられない性分で、思考はぐるぐるとループする。
本能に従えば、間違えそうで怖い。
思慮深くなれば、逃しそうで怖い。
…目黒は、ストレートに想いを綴る。
行動も、言動も、全て自分の思ったままに。
そういうのに、憧れたのかもしれない。
そんな彼が側にいたから、少し素直になれたのかもしれない。
シャワーを済ませて、リビングに戻る。
いろんな考えを巡らせていたら、少し遅くなってしまった…
「フロと着替え、ありがと」
「ふはぁっ!風呂上がりの舘さん尊いぃぃっ…♡♡!」
「…………ばか」
いろいろ考えてた俺が、バカみたいだ。
コメント
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はぁ〜良かったですゥ😆舘様、めめに沼ってますね🥰最後めめがちょっと阿部ちゃんぽくなってたの面白かったです‼️