※長いです。4000文字程度。後半は暑さでやられた頭で書いているので多少文がおかしいと思いますが目を瞑ってくださると幸いです。
「乾〜、今大丈夫か?」
授業終わりの休み時間、友達と談笑していたら突然先生に呼び出された。
呼び出してきた先生から察するに生徒会のことだろう。
めんどくさいな、と内心ため息をつきながら先生の方に駆け寄る。
「大丈夫ですよ?」
「あぁ、ありがとう。実は今度の文化祭で使うパンフレットが出来てな。運ぶの手伝ってほしいんだ。悪いな。」
仕事かと思ったらまさかの雑用。
まぁ、こんなことは度々あるんだけど。
はぁ、モチベがまた下がる。悪いと思ってるなら生徒に任せんなよ……
なんて思うだけで言う勇気はないので、そのまま先生について行き階段を降りる。
先生について行き、着いた先は職員室。
先生はちょっと待ってて、と言って奥の方に消えていった。
今はまだ昼休みだというのに先生たちはせわしなく働いている。
そんな光景に社畜だなぁ…と思うだけ。
そう、ぼーっとしていたら突然後ろから声をかけられた。
「あ、ないこやん!どしたん?」
その声を聞いて自然と口角が上がった。
「いふ先生!」
いふ先生_英語担当の先生。そして俺の好きな人。
いふ先生は学校中の人気者。若い先生だからってのもあるけど、一番の理由は顔面が良いから。
「文化祭のパンフレットを運ぶの手伝ってて……!」
あぁ、もうほんま……雑用に来てよかったぁ……
なんて思いながら奥から戻ってきた先生にパンフレットをもらう。
「エラいなぁ!頑張れよ、」
そう言って優しく笑い、頭を撫でてくれたいふ先生。
一方俺は、笑う余裕なんてないし、心臓バクバク。やばい。
「乾〜、行くぞ〜」
ふと聞こえた先生の声で現実に戻される。
急いで教員室を後にした。
後ろを振り返るといふ先生が手を振ってくれていた。
恥ずかしくなって少し俯いてしまったけど、ペコッとお辞儀していふ先生に別れを告げた。
はぁ……ッやばい……っ//
先生の大きな手の感触が残っている。それに重ねるように髪をくしゃりと撫でて顔が綻ぶのが分かる。
やばい、口角が戻る気がしない。
幸せな気持ちで教室に着くと、友達が数人待ってましたとばかりにこちらに近づいてきた。
「え…なになに?」
「よかったな。ないこ、スズキ先生から呼び出しだってよw」
……まじかよ。
俺、雑用までさせられて呼び出し?
なんかしましたっけ!?!?
まあ!?いふ先生に会えたのはよかったけど!?
時計を見ると昼休みは残り10分。
…グッバイの休み時間 (泣)
「はぁ……場所は?どこ行けば良いの?」
「行くんだwさすが?w会長?w」
「うるせっ」
からかってくる友達にチョップを食らわせる。
「いでっ、ごめんってw面談室だってよ」
「遠いじゃん……」
俺らの学校は中高一貫。のくせに面談室とか全然人が使わない教室は一つだけ。
しかもあるのは中等部の棟。
頑張れよー、とからかってくる友達たちを背に教室を出た。
ガンダで向かった結果1分で着いた。
はぁはぁと上がる息を整え、ドアをノックする。
「……っ失礼します…!」
「乾くん、来てくれてありがとう」
ガラッと扉を開けると、そこには優しい笑顔のスズキ先生。
よかった、なんかやらかしたわけじゃなさそう。
「あぁ、座って良いよ。」
促され、先生と向かい合うように用意された椅子に座る。
「急な話で悪いんだけどね、この写真どういうことかな?」
さっきまでの安心とは裏腹に、見せられた写真に絶句する。
先生のスマホに映っていたのは、俺といふ先生が一緒に歩いている写真。
それだけ、と思うかもしれないが、うちの学校では過去にトラブルがあったのか生徒と教師は学校外で会ってはいけない。
偶然会ったとしても、声はかけてはいけない。
「黙っている、と言うことは君と猫宮先生で間違いないんだね。」
何で、何で撮られてしまったのだろうか。
と言うか、なぜあのとき声をかけてしまったのだろうか。
このことが先生方に伝わってしまったら?もう伝わっているなら?
進路にも影響する。せっかく生徒会長になったのに。
今までの努力が全部パァになる。
そんなの……っ。
「……っ先生…その……あの、……っ」
どうにかして言い訳を述べようにも言葉が出てこない。
すると先生が口を開いた。
「まぁ、僕も学校側の人間として君みたいな優秀な子は簡単に落としたくないんだよ。」
「そこで一つ、僕の出す条件を呑んでくれるならこのことは黙ってあげても良いよ?」
「条件……?なんですかその条け__」
「君のことを抱かせてくれない?」
その条件って。と言いきる前に先生は答えを口にした。
それと同時に立ち上がって、こちらに来るなりするりと頬をなぞる。
「は………っ?」
「元々は猫宮先生への嫌がらせだったけど……、だんだん君自身に興味がわいてきてね?」
頬から肩、背中へと手を滑らせ、腰を抱かれる。
ゾクッと背筋に悪寒が走った。
「っこんな、ことして、先生……っ!」
「ふふ、僕の心配?でも、僕が告発されるときは君も一緒でしょ?」
そう余裕そうに笑い、俺のシャツのボタンに手をかける先生。
「……っや、……ッ」
「……ねえ、ばらされたくないんでしょ?だったら早く抱かれろよ。」
聞いたことのないようなドスのきいた声と、荒くなった口調。
威圧感と恐怖で体が竦む。
「君の選択肢は3つ。先生と会ったことを認めて評価を下げられるか、バラさない代わりに僕に抱かれるか、ここで助けを呼んで一緒に告発されるか。」
「将来を考えれば、2個目が妥当だと思うけどな。」
この身体を選ぶか、将来のことを選ぶか。
それだったら、選ぶのは…、
「……分か、りました……っ、そうすれば……ほんとに、進路に影響……しないんですよね……、?」
「もちろん。乾くんがその気になってくれて嬉しいよ……♡」
そう言って、スズキ先生は顔を近づける。
すぐに唇に何かが触れた感触がした。
好きでもない人とキスをすることがこんなにも嫌だとは。
あぁ、相手がいふ先生だったらな。なんて考えてしまう。
……いふ先生に対しての好意のせいでこんなことになっているのに、懲りずにいふ先生を想ってしまう自分に呆れる。
「んぅ……っふ……ッ…んん……っ」
流石に長くないか?と思い、時計に目をやる。
長針の目盛りは7つほど進んでおり、始業まで僅かな時間しかない。
「んっ、……せんせ、っじかん、……が、ッ…」
俺の声に構わず、スズキ先生はキスを続ける。
それもだんだん激しくなっていく。
息も絶え絶えになり、意識が薄れてきた頃、
唇が離され、今度はカチャカチャっとベルトに手をかけてきた。
「……っ、」
思わず嫌だと言ってしまいそうになるが、スズキ先生の鋭い眼光が、お前の弱みは握っていると訴えかけてきてるようで小さい悲鳴を上げるだけ。
スルリと腰に手が回ってくる、と共にひんやりとした感覚がして、身を捩らせる。
その手が下に下がってこようとしたとき。
__コンコン
ふと、扉がノックされた。
スズキ先生は、チッと舌打ちをし、俺の少し乱れた服を直し、扉を開けた。
そこには、俺の大好きな青髪。
いふ先生。
思わず声が出そうになる。
「どうしたんですか、猫宮先生?」
「ないこって、おります?授業前ギリまでこなかったんですけど。」
「……いますけど、今取り込み中なので、授業には遅れて行くと思います。」
「…、性暴力のどこが取り込みなんですか?」
「……っ、!」
スズキ先生が息を呑む。俺も一緒に。
いふ先生、…気づいてたんだ……。やばい惚れそう。
元から惚れてるけど。
「どういうことですか?性暴力って、僕は何もしてないですよ?」
「というか、如何わしい関係をお持ちなのは猫宮先生でしょう?」
そう言って、スズキ先生はさっきの、俺といふ先生が一緒に歩いている写真を見せる。
「如何わしいとは心外ですね。ただ歩いているだけじゃないですか。」
校則違反をしているはずなのにいふ先生の表情は一切崩れない。
「この学校では生徒と教師が会うのは校則違反__」
「スズキ先生。貴方、ないこにストーカー行為、してますよね?」
「え、……?」
ストーカー行為、…?どういうこと……?
俺が混乱していると、いふ先生は何枚かの写真を見せてきた。
その写真全てに俺と、スズキ先生の姿が写っていた。
「この、俺らの写真をとれたのもスズキ先生、貴方がないこをストーカーしているからでしょう?」
「ストーカーしてる奴に校則どうこう言われる筋合いはないので。」
いふ先生にボロカス言われたスズキ先生はチャイムの音を合図にするかのように教室を出ていった。
くそっ、と捨て台詞を吐いて。
それを見送りながらお前クビだからなー、なんて叫ぶいふ先生にふっ、と吹いてしまった。
「……ないこ!怪我ない?」
見送った後、すぐこちらに向かってくるいふ先生。
「は、はい、!怪我は無いですけど……」
「ほんま!?良かったあ……」
キスはされた……、なんて言ったらいふ先生は上書きでしてくれるのだろうか。
あぁ、でもそれじゃスズキ先生とやってること変わらないな……。
それは嫌だ。
「っあ!いふ先生、さっきの写真!!消さないと……!」
俺といふ先生が一緒に歩いている写真。
あれを消さないと、進路に影響してくるし、
いふ先生も、下手したら移動になってしまう。
「あー…、それなら大丈夫やな。実は、俺、理事長の息子やねん。」
「え゙……ッ」
初耳。でも確かに名字一緒だ。
「俺がなんとか丸め込むから、安心せえよ」
そう言って、また頭をポンポンと撫でてくれるいふ先生。
「ないこみたいに優秀な奴なかなかおらんからなぁ」
その笑顔に胸の鼓動が速くなる。
生徒と教師。この関係がもどかしい。
早くこの気持ちを伝えてしまいたい。
けど、それは卒業まで我慢。
今は、この『好き』を隠して、
「…ありがとうございます、先生。次があったらまた、助けてくださいね?」
おふざけ混じりで、『ありがとう』を伝える。
赤桃版も投稿しております。ぜひそちらも。
➜【空き教室と大事な先生。】
コメント
2件
ななななないこたんっっっっ!!! 待っててね!今濃厚なリップクリームベタ塗りしてあげるね!! それか猫宮せんせのちゅーだよ!!選べよ!2択や!!おすすめは後者!!!!