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桜瑠璃(3代目)高浮上?
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更新遅くて申し訳ないです!
第2話もお楽しみください
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初めに好きだと伝えたのは俺からだった。
昔から、俺は勇 斗のことが好きだった。
何度も思いに蓋をしようとしてはふとした瞬間に溢れそうになり、必死に抑えていた。
ここ数年になって有難いことに仕事が増え、
慣れないことに挑戦する回数も増えた。
元々インドアで他のメンバーに比べて体力も少なめな俺は、慌ただしい日々の中で少しずつ疲弊していた。
その中でも特にスケジュールが立て込んでいた時
勇 斗はもっと忙しいはずなのに、
俺のことを心配してわざわざ家まで来てくれた。
びっくりして、
でも顔に「めちゃくちゃ心配」って書いてあるような表情の勇 斗が愛おしくて。
ーーー好きだと伝えてしまった。
本当は伝えるつもりなんてなかった。
受け入れてもらえるなんて思っていなかった。
でも、勇 斗は
やってしまった、、と焦る俺を
優しく抱きしめて
「俺も好きだった」と教えてくれた。
その後お付き合いが始まっても、1ヶ月くらいは夢かもしれないと本気で思っていた。
いや、なんなら今も少し思う。
だってあの佐 野 勇 斗だよ?
みんなのアイドル圧倒的センター主人公気質
モテモテ色男の。
流行りのなろう系アニメでも流石にそんなに属性盛らないだろう
だから、時々すごく不安になる。
あいつは俺の隣にいてもいいのだろうか。
元々彼は異性愛者だし、結婚願望もある。
でも勇 斗は優しいから、俺の気持ちを無下にできなくて付き合っているだけなのではないか。
…だから俺を求めてくれないのだろうか。
行為中の彼はいつも優しくて、余裕があって、
その優しさが怖い。
俺はこんなにも勇 斗との繋がりを求めているのに、なんだかずっと一方通行で。
ねえ勇 斗。
いつか俺から離れていく時がくるとしても、
今だけ
もう少しだけお前の傍にいさせて。
ーーーーー撮影当日ーーーーーー
「吉 田さん、こちらにお願いします!」
スタッフに案内され、メイクを終え、衣装に着替える。
撮影は終盤のワンシーンだけだから待ち時間の方が長い。
それでも同じスタジオに勇 斗がいると思うだけで、自然と口元が緩んでしまう。
「佐 野さん、今Bスタジオで撮影中ですよ」
「ありがとうございます」
撮影が押しているらしい。
仁 人は差し入れのコーヒーを二つ持って、楽屋へ向かった。
驚ろかせてやろう。
ーー
彼のいるスタジオまでの廊下は不思議なくらい静かだった。
撮影フロアの賑やかさが嘘みたいに、足音だけが響く。
勇 斗のいるところまであと少しのところで、
人気の無さそうな少し開いた楽屋の扉から
女の人の笑い声が聞こえた。
「あはは、ごめんもう一回!」
聞き覚えのない声。
勇 斗はまだ撮影中じゃなかったのかな、と思いながら邪魔にならないようこっそり覗いた。
そこには
共演者の綺麗な女性が近い距離感で笑いあっている勇 斗がいた。
そうか、さっきの声はこの人か、
と勝手に答え合わせをして、勇 斗に
声をかけようとした。瞬間、
共演者の女性と勇 斗が見つめ合い______
2人の唇が重なる。
まるで世界が自分以外固まったみたいに時間の動きが遅い。
息を吸うことすら忘れて、仁人は扉の前に立ち尽くした。
頭の中は真っ白なのに、胸の奥だけが妙に静かだった。
何秒経っただろう。2人の顔がゆっくりと離れていく。
その様子はどう見ても「お似合いなカップル」であり、こんなものをネットに投稿した日にはすぐさまトレンド入りして滝のように祝福コメントが贈られるだろう。
彼らの幸せに包まれた空気感は、残酷なまでに自分の心を刺してくる。
怒らなきゃ。
問いたださなきゃ。
どういうこと?浮気してたの?って
そう思うのに、力なく息を吐くだけで
口からは何も言葉を紡げない。
段々と視界がぼやけてきて、
これはまずいと思い
仁人はコーヒーを近くの机にそっと置いてその部屋から離れた。
無心で足を動かす
数分前にも歩いてきたはずの廊下が、
終わらない迷宮のように長く感じて怖くなった。
ーーー
外へ出て風に当たると幾分か気持ちは落ち着いた
次に自分を襲うのは、
知りたいようで知りたくなかった今までの問の
答え合わせ。
……そっか。
勇 斗は人を求められるんだ。
月に一度しか触れてくれないのは、
勇 斗が淡白だからじゃない
ただ、彼の欲が向くのが自分じゃなかっただけ。
心のどこかで、勇 斗は自分しか見ていないと期待してた。
そんな訳ないのに。
あいつはモテるから、綺麗な女性にも引っ張りだこだし、真面目で面倒見もいいからいい父親になるだろうし。
勇 斗は俺のことを本当に大事に思ってくれてる。メンバーとして、友達として、人として。
ただ、その愛の形が自分と同じではなかっただけ。
俺との恋人ごっこもきっと、いつ別れを切り出そうか悩んでいたのかもしれない。
だとしたら申し訳ないことをしてしまった。
「……よかった」
小さく漏れた声に、自分で驚く。
これ以上、自惚れなくてよかった。
恥ずかしい勘違いで
彼にみっともないところを
見せるようなことにならなくて。
「もっと俺を見てよ」、とか
「俺のこと本当に好き?」とか口走らなくて。
困らせるようなことにならなくて。
…うん。よかった。
浮気された、というよりこちら側が本命ではなかった可能性もあるが、
こんなことになってもまだ彼に嫌われたくない自分に笑ってしまう。
見上げた青空は、少しずつ夕焼けに染まり始めていた。
たった数分で空の色は変わる。
それなら、二人の関係が終わるのも、案外一瞬なのかもしれなかった。
コメント
2件
心臓がぎゅってなりました。 続きがとても気になります。 幸せになってほしい
うわあ……これは辛い。仁人の心情が細かく描かれていて、胸がぎゅっとなりました。勇斗への「好き」が強すぎて、むしろ自分を責める方向に向かっちゃう感じ、すごくリアルで切ない。「よかった」って呟くシーン、あれが一番痛かったです。廊下が迷宮のように感じる描写も、混乱した心の状態が伝わってきて素敵でした。続き、気になります…!