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#元カレ
まぁ
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芙月みひろ
442
黒歴史つくーる
77
週明け――【いつも通り】が自分を日常へ戻してくれると感じられたのは、満員電車の中だけだった。隣や前後の人に寄りかかってしまわないように、両足を踏ん張っている時は良かった。
「おはようございます」
席へ着こうとすると、隣の席の西口さんの手に包帯が巻かれている。
「どうしました?ケガ?」
指は出ているけど、右の手にぐるりと包帯がある。
「おはよう、石川さん。これね…ここ、火傷したの」
私より二年先輩の西口さんは照れたように、彼女の定番のポニーテールを左手で撫でたあと、右手の側面……小指の下あたりを指した。
「えぇっ、火傷ですか?」
「そう。慣れない料理をさ……土曜日、彼氏の誕生日だったからやってみたわけ。そしたら、湯気で火傷」
「湯気……」
と聞き直したようで、私の頭には【土曜日】【彼氏の誕生日】という言葉が繰り返される。
「湯気って熱湯よりも温度が高いらしくて。石川さんも料理するでしょ?気を付けて」
コクコク……
私がたいていお弁当を作って持ってくることを知っている西口さんは、そう言ってパソコンに向かう。そこから一日中、仕事をしながらもずっと一人ぼっちの気持ちだった。
夜になっても落ち着かない私は、ドット柄のエプロンをプラスチックの衣装ケースから引っ張り出す。
―― あんまり使わなかったな
徹さんと付き合い始めた頃、可愛いいと思って買ったエプロン。彼がここへ来た時に使おうとか、ワクワクして買ったエプロン。実際には恥ずかしくて、一人の時に数回使ったけれど、どうでもいい部屋着にエプロンの必要を感じなくなっていた。
「はぁ……」
プラスチックの軽い裁縫箱を横に置き、広げたエプロンに12㎝×50㎝の線を引く。最後は40㎝になったけれど問題ない。シュシュのボリューム感が変わるだけだ。
―― 何個出来るの……
「寝よ……」
片付けないまま……今の裁ちばさみの感覚だけを残して、無心のまま眠りたかった。
コメント
2件
西口さん!そうなんですよね!湯気の方が温度が高い😱経験者は語る… じゃなくて! 樋代ちゃん想像以上に傷ついてしまってる…😞 あんな言い方されたら自分は結婚なんて考えてはいけない、未来を思い描いてはいけない人間だと思い込んでしまうよ…😞 シャキシャキって裁ちばさみで切られて小さくなったドッド柄のエプロンのようで辛すぎるよ…😖
読んだよ〜!😭💕 西口さんの「彼氏の誕生日に料理」って何気ない一言が、石川さんにじわじわ効いてるのリアルすぎて胸がギュッてなった…。普段の会話って、そういう小さな気づきで日常がグラつくことあるよね。 夜にエプロン引っ張り出してサイズ測って裁つシーン、何か心の整理みたいで切なかった。何を作ってるのかな…「寝よ」って呟くところも含めて、このモヤモヤした気持ち、すごく共感できるよ。続きが気になる〜!🌸