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「そこの君。突然だけど動物で何が好きかい?」
「…⁉︎誰ですかッ⁉︎」
「そんなことはいいじゃないかい。教えておくれ。」
「(…好きな動物くらいなら…?)えっと、きつねです…」
「そうかいそうかい。、私も同じだよ。あのこは可愛いよねぇ。、」
「はい…(あの子…?)」
「じゃあ、ばいばい。」
「へ…?」
そう男が言い放つと、その女の子は瞬く間に暗闇へと消えていった。
「…ふぅ。犀(さい)、できましたよ。」
「流石です、ご主人様」
「…」
「…?如何なさいました?(雰囲氣が変わった…)」
「よし、氣が変わった。夜、私の部屋に来なさい。
これは命令だよ。」
「あッ…畏まりました…(…怒らせてしまった)」
「なら良い」
そうして、犀は嵡(おう)の3歩後ろでとぼとぼと歩き出した。
このふたりは、妖の中では珍しく公的に指名手配されている。
でも、犀の隠密能力と嵡の戦闘センスで今まで数々の戦場を駆け抜けてきた。
「…これ、如何思いますか?犀。」
「…こんなもの、ご主人様では赤子を笑わせるより簡単でしょう。」
「ですよね。完全にこれは侮られてるねぇ。」
「殺しますか?それとも拷問ですか?」
「ううん…一旦放置してみましょう。これは噴飯物ですよ。」
「…ですね。」
嵡が犀に見せたのは、嵡の指名手配情報だった。
正直なところ、犀は主人を貶されるのも軽視されるのも、箍されるのもいやなのだ。
それに、鷹が人間が高等的な存在である妖を貶すなど。
明らかに成ってはならない。
「あぁ。早くオクスフォードに帰りたいです、
まだ斜陽を読み切っていないからねぇ。」
「えぇ、そうですね。私ももう少しでドグラ・マグラを読み終えるので」
「おや、まだあれを読んでいたのかい?
私が昔飽きたからあげたものを、よく何年も持っていられるねぇ。」
「ご主人様から頂いたものは墓まで持っていくつもりですよ。」
そんな事を話しているうちに、もうオクスフォードに帰って来れた様だ。
「、ここは人が多すぎて少し苦手です…」
如何やら、犀は人混みがとても苦手な様だ。
「ふむ、ではドーヴァーにでも家を移しますかね。」
「あッいえ、そんなお気遣いをさせようとしたわけじゃ…」
「ふふ、きみは本当に鈍感で私だけにはぽんこつだねぇ。まぁ、そこがかわいいのだけれど(小声)
あ、そうだ。ついでにあそこに寄ってくかい?」
「あぁ、あそこですね。
あれには少し興味があるのです。ご主人様がよいのなら是非行きたいです。」
「なら行こうか。」
そこは、街外れの路地裏だった。
「おーい、猫ちゃーん。何処ですか〜?」
「うわ…吃驚した…嗚呼、主人のお客か。
今は主人は留守だぞ。」
「あら、そうなんですか。では、貴方のお話でも聞きましょうか。」
「ええ…もう、貴方様は主人と同じタイプですねぇ。まぁ良いですが、どうせ溜まらないですよ。」
「良いのですよ。私が聞かせてと望んでいるのですから。」
「じゃあ、お言葉に甘えて…—————————
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「んで、…
「あ、嵡さんきてたんだねぇ。」
「おや、思ったより早めにきましたねぇ」
「いやいや、これの何処が早いんですか…いや、それは人間の感覚か…」
「主人、探してるものはあったのか?」
「うん。あったよぉ。」
「何を買ってきたのですか?」
「ん〜…秘密ぅ。」
「おや、残念です。」
「ふふふ。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「あら、もうこんなに時間が経っていたのですね。
残念なことに私たちは用事があって、ここらでお暇させていただきますね。ここには暇つぶしで来ただけですから。」
「あ、そうなんだね。じゃまたねぇ」
「では、行きますよ。犀。」
「はい。」
犀の尻尾がゆらゆらと揺れた。
さっきまでより尻尾の動きが緩くなった。
犀のチョーカーの雫がちゃり、と鳴る。
それは嵡があげたもので、嵡はその音を聴くと機嫌が良くなる。
犀は黒光りの和服がよく似合う。
それも嵡があげたもので、着ると『かわいい、綺麗』など、とても誉めてくれるので犀はこの和服がお気に入りだ。
犀と嵡は主人と僕であるにも関わらず、お互いに依存している。
犀が誰かと話していると嵡はその相手を殺してしまう。
犀の方も、嵡が自分の知らない人と話していると少し嫉妬してしまう。
そんな事を2人とも考えていると、やっとアビタシオンに帰って来れた様だ。
「はぁ、やっと帰ってこれた…
あ、犀。ヨークシャーティーを飲みますか?
確か好きだったでしょう。」
「欲しいです。」
「今入れますね。」
「有難うございます」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「できましたよ。」
「有難うございます。
…ふー、ふー。
(可愛いですねぇ)
犀は熱いものが苦手で、熱い飲み物を飲む時はこうやって冷ますのだ。
それをいつも嵡か可愛いなと思いながらひっそりとみていた。
だから毎日嵡は犀に魅了されているのだ。
こんなものをみて惚れない奴はいない。
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