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それから数か月後、ウエディングドレスに身を包んだ麻里は自分の母親と美咲に見守られて最後の準備をしていた。
麻里の母親が言う。
「本当にいいんだね? ごめんね、こんな苦労をさせて」
美咲も涙をこらえながら声をかける。
「幸せになってね。せめてもの償いはするわ」
涙ぐむ二人の手をそれぞれ取って麻里は明るく笑いながら言った。
「二人とも何謝ってるの。あたしは自分を不幸だとは思わない。むしろラッキーな人間よ。だってあたしには実の母親が二人もいるのよ。お腹を痛めて産んで育ててくれた魂のお母さん。そしてあたしの命の元になった遺伝子のお母さん。お母さんが二倍、いえ、お母さんの二乗だね」