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ぴぴぴぴぴとけたたましくアラームが鳴り響いた。時刻は午前6時30分。いつもならまだ寝ているこの時間に俺が起きたのには理由がある。その理由とは__
別に出かけるわけでもないのに髪を整える。寝間着からダル着に着替えて、朝食を食べた。特段変わったことはしていないのに全てがぎこちない。
__ピンポーン
と鳴るインターホン、モニターを見なくても鳴らした相手は分かる。マンションの鍵を開ければ直ぐに玄関まで出迎えに…べ、別にこいつが来るから気合い入れてた訳やないで!?ほんまやからな!
「いらっしゃい、あっきぃ」
俺の部屋の前に着くと同時に開いた玄関のドアに驚いた顔をする相手に思わず笑いながら招き入れた。
「もー、起きてたなら連絡返してよー!」
拗ねた様子で言ってるけど連絡なんて…来てたわ。ちゃんと来てた。気付かへんかった。もう遅いと分かりながら俺は“おはよう”のスタンプをあっきぃに送る。通知に気付いたあっきぃが笑いだしたのは言うまでもないだろう。
俺はあっきぃが好きだ。でも、あっきぃはそうじゃない。だから俺はこの気持ちを隠す。今まで通り、いつも通り。
「早速作戦会議だー!」
張り切るあっきぃと気の乗らない俺。作戦会議の内容はどうしたらあっきぃがまぜ太に振り向いてもらえるか。ちなみにこれでこの会議も5回目だ。
「もう諦めて俺にしたらいいやん」
あっきぃの驚いた顔を見て口走ってしまった言葉に後悔した。
「あいつ鈍感過ぎんねん!」
誤魔化して笑えばあっきぃも安心したように笑い出す。
「そうだよね、この前のは気付いてもよくない!?」
鈍感なのはお前もや、なんて思いながら今日もこの気持ちに蓋をしたままあっきぃと過ごす。まぜ太の話をするあっきぃの笑顔が可愛い。でも、すまん。このまままぜ太に振り向いてもらえなければ…この会議があと何回も続けば…そんなことを思ってしまう俺を許してくれ。