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十二月の中旬、正源は夕飯の買い物に久しぶりに訪れた地元の商店街で、以前ペットロボットの供養を頼みに来て、自分が追い返してしまった高齢女性の姿を見かけた。
正源の方から声をかけると、女性は最初正源が誰だか分からなかったようだった。正源が伸ばしていた髪をまたツルツルに剃り上げていたせいだろう。
浄源と性風俗用ロボットの供養を行った後、正源は再び文字通りの坊主頭に戻していた。ラウンジバー通いも高級スーパーで高級食材を買いあさる事もやめた。
ようやく正源が誰か思い出した女性は、申し訳なさそうに頭を下げた。
「ああ、あの時のご住職様でしたか。あの時は身分不相応なお願いをしてしまって失礼いたしました」
「いえ、その事なのですが。もしよろしければ、ご供養をさせていただけませんか?」
「いえいえ、二十万円なんて私には大金で、とてもとても」
「おいくらならご用意できますか?」
「年金暮らしですから、せいぜいでも三万円ですねえ」
「分かりました。それでお引き受けしましょう。寺までそのロボットを持って来ていただければ」
「えっ! どうしてまた?」
正源は相手に気を遣わせないように、大げさに笑って頭を掻きながら言った。
「先日、宗門の大先輩からそういう事でお叱りを受けましてね。お布施は無理なくお出しできる金額で結構でございます」
正源はその場で女性と日取りを打ち合わせた。買い物袋を下げた女性は、何度も振り返って頭を下げながら去って行った。
それから師走が過ぎ、正月を迎え、正源一人で取り仕切っている寺もそれなりに多忙な日々が流れて行った。世間も忙しいせいか、しばらくロボットを供養してくれという依頼は来なかった。
久しぶりに電話で依頼が来たのは、年が明けて一月も下旬に入った頃だった。風変わりな依頼には慣れていたつもりの正源も、相手が名乗るのを聞いて思わず大声で訊き返した。
「防衛省?」
コメント
1件
わあ、防衛省からの電話、これは予想外すぎる展開でした! 前回で正源さんが高齢女性の依頼を引き受けるようになった流れ、すごく自然で「ああ、成長したんだな」と感じ入ってたところにこのオチ。宗門の大先輩の話が効いてるんですね。ロボット供養のスケールが急に大きくなりそうな予感で、続きが気になりすぎます。