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嶽ポチ丸くんはカワイイ美亜タマちゃんがいるのにぃ。一体誰に会うの〜っ???
もらってないニャン 可愛い過ぎでしょฅ^•ﻌ•^ฅ萌え萌え♡ ソフレな関係、健全でいいよ。 今はまだそれで充分かな♡˖꒰ᵕ༚ᵕ⑅꒱
玄関先で抱きついて…和臣とのことを全部話した。
「はぁ…なんで自分より弱い女にそういう恐怖を与えられるのかね…」
女には優しくしてなんぼだろ…と付け加える嶽丸。
…どれくらいそうしてもらってただろう。
嶽丸は足の間に私を挟み込むように抱きしめ、ずっと頭を撫でながら髪を触ってた。
…嶽丸の本音には気づいてる。さっきから密着した私のお腹ににいろいろ当たってるから。
それなのに、余裕。
ちゅっ…とこめかみにキスが落ちてくるくらいに。
「タマ…どっかでご飯もらったのかにゃ?」
「まだ…もらってないニャン…」
タマ呼ばわりされてノッてみれば、瞬間、吹き出す嶽丸。
「…じゃあ、ポチくん特製の美味しいご飯を食べますか?」
自分でポチを認めたのがおかしくて…思わずその顔を見て笑ってしまう。
ニヤリと笑った嶽丸は、整った顔立ちが、本当に綺麗。
裸も、顔も、綺麗な人なんだよね。
だからモテる…って思ってたけど、実は嶽丸って、余裕と包容力が一番の魅力なんじゃない?
「おいで。…望むならあーんして、食べさせてやるぞ?」
「ベタ甘だね…どしたの?」
リビングなんてすぐなのに、ちゃんと手をつないでくれる嶽丸。
私の正面に立って、頬を両手で包んだ。
「だって、傷ついて帰ってきたんだろ?」
「…え」
「毎日外で頑張って仕事して、愚痴ひとつ言わないで朝早くから出勤して…」
嶽丸はそのまま私を抱きしめて、また安心できる胸に閉じ込めてくれた。
「ここんとこ、休んでないだろ?もぅ…家では全部俺に任せてればいいから」
休みが取れないこと…気づいてくれてたんだ。
美容室では、私が毎日いることは当たり前で、何かあれば対応するのが当然だと思われてきた。
店長だから、それが役割って思ってきたけど…
「ホントは、しんどかった…」
ポロっと涙が溢れてくる。
「あ〜ぁ…美亜ちゃん、泣いちゃいまちたね…うんうん…可愛いそうでちゅねぇ…」
低い声で赤ちゃん言葉を話すから、泣きながら笑っちゃう…!
ぎゅうっと抱きしめて、クルッと一回転してパッと緩めて…なんだか本当にあやされてるみたい。
嶽丸は泣き止んだ私をダイニングに座らせると、横に座って本当に食べさせようとしてきた。
「…ちょ、さすがにそれは甘やかしすぎ!…私なんにもできなくなるよ?」
「…本望!」
ニカッと笑う嶽丸。
…ったく、どこまで本気で言ってるんだか。
でもおかげで、和臣とのことを忘れてる私がいた。
癒される…私のポチくん。
………
「いいって。先に寝てな」
泣いてしまったことで、私にはまだ自分の癒しが必要だと力説され、誘われるまま嶽丸の部屋で一緒に眠ることになった。
まだ嶽丸のパソコンは電源が落ちてないみたい。
「仕事終わってなかったの?」
「俺の仕事は24時間365日。急ぎの案件にもなるべく対応する。…ってことで、月2〜3回の出社で済んでるんだよ」
「…出社することもあるんだ…?」
「当然。ちゃんとスーツ着て、満員電車に乗るわけ」
「うわ…スーツ似合わなそ…」
ウソ…。ラフな服装しか見てないから、想像がつかないだけ。
嶽丸みたいな細身の長身なら、どれほどスーツが似合うだろう。
ちょっと片付ける…と言ってパソコンに向かった嶽丸。
そしたらすごかった!
カタカタ…どころじゃないスピードでキーボードを打つ。
もう…シュタタタタタ…くらい。
嶽丸の真剣な顔なんて初めて見る…
つい、珍しいものを見るような気持ちでじっと見ていると、次々に画面に謎の記号がダーっと現れ、目にも止まらぬ早さで処理をしていく。
なにこれカッコいい…。
私なんていまだに人差し指でキーボードをちょんちょん打ってるし、フリーズなんてしちゃったら、爆発の前触れかと不安になってしまうのに。
初めて見る嶽丸の姿に、ちょっとキュン…
「よし!終了!」
デスクから離れた嶽丸が、私がいるベッドにゴロンと横になった。
2人で仰向けになって…ふと横を向いた嶽丸が私を見る。
「こういうの、なんていうか知ってる?」
「ん?」
「俺たちみたいな2人のこと」
「…セフレ?」
「まだヤッてない」
「あ…」
「…ソフレって言うんだって。添い寝するフレンドの略な」
「…」
「なに?」
「…キスは、したよ?」
「…あ…」
体ごと私に向いて、嶽丸はじっと視線を注ぐ。
「また、したい?」
何を?…なんて聞いたら野暮?
ちょっと見上げた嶽丸の視線が熱い、なんて思っていたら…
瞬間、唇が重なった。
すぐに深いキスになって、嶽丸の舌が私の唇をくすぐるように侵入してくる。
熱く舌を絡めるキスは音がするほど…私を抱き寄せる腕に、今までにないほどの力がこもった。
一瞬…このままどうなってもいいって思った。
嶽丸に抱かれたいって思ったのは、嘘みたいな本当の話。
…それなのに、キスが次第に優しくなって、それが終わろうとしているのがわかる。
「明日、仕事だろ?」
チュウ…っと長めに押し付けられた唇が離れて、嶽丸に聞かれた。
「うん…」
「じゃあ…寝ないとツライな」
喋ってても、唇が動くたび触れる距離。
自分からもう一度重ねてしまいそうだ…
「安心しな。これ以上はしない」
嶽丸にはそういう相手がたくさんいて、別に困ってるわけじゃないから、わざわざ私に手を出す必要もないってことかな…
その時、嶽丸の携帯が振動した。
着信したのはメッセージだったみたい。
「あー…明日の夜、俺出かけるわ」
携帯を操作しながら言う嶽丸。
…またこの前の女の子かな。それとも別の子?
…茶化しながら聞いてしまえばいいのに、喉の奥に言葉が詰まって出てこない。
これ以上しないのは…明日の約束があるからかも…
なんとなく唇がとんがる…この気持ちはいったいなに?
「楽しんでおいで」
それだけ言って、服越しに嶽丸の胸にキスをする。
そしてその胸にピッタリくっついて、私は静かに目を閉じた。
…………
…翌朝、目の前に壁があって驚いた。
いつの間にか嶽丸に背を向けて寝ていたみたいだ。
でも…ウエストにがっちり腕が絡みついてて、ピクリとも動けない。
背中越しに嶽丸の熱が伝わって…朝からそれが、とても心地よいと思った。
…とはいえ、このままボーッとしていられない。昨日の今日で、ケンゾーと和臣はどんな話をしたのか気になる。
「…それよりなにより…仕事だっちゅーの」
絡みつく重い腕をそっとほどいてスルリと抜け出し、向き直って嶽丸の寝顔を見た。
長い睫毛…そして鼻が高い。
唇は少しだけ開いている…
この唇と、昨日…キスをした。
「そして今日は別の女の子とキスをする…っと」
戒めるように言ってみれば、なんだかストン…と腑に落ちた。
昨日は嫉妬みたいなものを感じたけど、今日はいつもみたいにちょっと俯瞰して見れる自分がいる。
嶽丸にだけ感じる安心感や心地よさは、昨日いろいろあって弱ってたからそう感じただけ。
私はそう結論付けて、嶽丸の部屋を出た。