※英西、英モブ注意
「兄ちゃん?」
「んぁっ…?ポル…?」
弟の声で終わりを告げられるシエスタの時間
「あ、起きた…何かあった?うなされてたけど?」
「んえぇ…?見てねぇけど…?」
心配そうにする弟の声に段々頭が覚醒してくる
「あ〜…でも、寝る前に嫌な事思い出しはしたな…ふあぁ〜…」
「嫌な事?何それ?」
目をこすりながら布団をどかし、嫌な事について弟に話し始める
「……イギリスの事」
「あぁ……」
嫌な事
それは元彼の事だ
自分でも女々しいなと思う、未だに元彼のことを根に持っているのだから
「元気に…してたよ?」
「あー…弟よ、それ全然フォローになってねぇよ」
元彼のイギリスとはもう3年ほど会っていない
まぁ、弟は同盟関係にある為に何回か会って話をしているようだが
「イギリスも中々だよね、子供できたから別れるなんて」
「…そーだな」
イギリスは俺と付き合ってたくせに女作って、挙句子供も作りやがった
ま、飽きられたって事だろうな、昔結んでいた同盟関係も長くは続かなかったし
「よし、ポル?今日は俺が飯作ってやるよ」
「マジで?助かる」
こんな事考えるのも、こんな事話すのも、全部馬鹿らしいし、未練タラタラなんてダサい
「んじゃ、食料品買ってこい」
「ラジャ、ちゃんと作ってね?」
「当たり前だ、兄ちゃんに任せとけ」
寝室を出る弟を見送り、車のエンジン音が聞こえるまで寝室でじっとしておく
「本当に…アホらし…」
エンジン音がやっとの事聞こえ、弟の前では出さないでいた言葉がポツリと溢れるようにでてきたしまった
「…馬鹿野郎…何…で…俺…じゃ…」
溢れる涙
ダサい、こんなのダサい
必死で涙を拭おうとするが、暴雨のように溢れ出す涙に手が追い付かない
「やだ…やだよぉ…イギリス…やだ…」
3年間、この事で涙を流した回数は数え切れないが、こんなに涙が出たのは初めてだった
全て、全てが頭から流れ出した
初めて手を繋いだ記憶も、告白された記憶も、初めてキスをして記憶も、初めて肌を重ねた記憶も…
何回、何回イギリスが孕ませた女を見つけ出して腹の子ごと殺してやろうと思った事か
確かに弟に遅れをとったりもしたが、俺だって元は覇権国だった。だから、やろうと思えば出来たはずの復讐
でも、それでもやらなかった自分を何度も何度も責めた
きっと、もう3年経っているのだから、子供だって1人じゃなくなっているだろう
簡単じゃなくなった復讐、きっともう出来ない
なら…この感情は…どこにやればいいの……?
「あぁ…本当に…馬鹿らしい…」
もう弟も帰ってくるだろう
なら…何かが壊れたこの体、完全に壊してしまうなら…今しか…