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もたもたとしている間に、俊介さんも戻って来た。私は思い切って送信を押すと、さらに
『初めての新居ごはんです』
と送った。ふーっ……
「えっ…?」
―― 噓でしょ…?
秒でお義母さんからのコメントが入って、私は自分の指が震えたのを感じた。
『素敵ね。でもビタミンAが足りないわ。明日は人参を十分に足して』
「……見るの、早すぎない?」
「母さん、スマホずっと見ているからさ。気にしない気にしない」
―― 気にしない、って言われても……
結婚式よりも、ドッと疲れたやり取りに感じた。お風呂でいつもより丁寧に髪を洗わなければならないことが、面倒でたまらないと思うくらいに、疲れた。
―― ずっと見ているだけでなく、メニューにいろいろと言われるってこと?
初夜だなんて言葉を忘れるくらい、強烈なパンチを放たれた気分だ。俊介さんは、婚前交渉はしない、と言っていたのは、元々の結婚相談所ルールにもよると思っている。
―― 俊介さん…… 気を使ってくれているのかな。でも、今は……
私は疲れと期待と不安を抱えて、シングルベッドがふたつぴったりと並んだ寝室へと戻った。
「疲れたよね、寝ようか」
ベッドの上からそう言った俊介さんは、またスマホを持つ。
「それは…?」
「寝る前に“就寝報告”しないと。母さん心配するから」
「え、そこまで?」
今度は、言葉を飲み込むことが出来なかった。それでも彼は普段と変わりなく
「家族のルールだからさ」
と平然と言う。私は自分の顔が強張るのを感じて、一旦部屋を出る。キッチンで冷たい水を飲んでも、何一つスッキリとはしなかった。
―― 何かが違う
―― 昨日まで夢見ていた新婚生活と、何かが違う
設楽理沙
#不倫
#離婚