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ナオト(『第二形態』になった副作用で身長が百三十センチになってしまった主人公)は雲の上で彼が来るのを待っていたドラゴンによって、その場から離れることができなくなっていた。
ナオトと交尾がしたいと言い張るメスドラゴンとそういうことはお互いのことをよく知ってからすべきだと言うナオト。
その間《かん》、チエミ(体長十五センチ)はナオトを助けられそうな仲間を呼びに戻っていた。
「どうしても教えてくれないの?」
「当たり前だ!」
「そう。じゃあ、身体に聞く」
「は? ちょ、ちょっと待て。まだ心の準備が!」
彼は交尾しやすいように擬人化したメスドラゴンに押し倒された。
「心の準備? そんなの体を気持ち良くすれば、自然とできる」
「そ、そんなことあるもんか! 離せ! 離してくれ!」
彼は必死に抵抗するが、関節部分を雲で拘束されているため身動きが取れない。
「あなたは気持ち良くなりたくないの?」
「俺はお前がずっと降らせてる雨を止ませるために、ここに来たんだ! だから、そんな余裕なんてこれっぽっちもないんだよ!」
「嘘。あなたの心臓ドキドキしっぱなし。これはどう説明するの?」
「そ、それは……お前みたいな可愛い女の子に押し倒されたから緊張してるというか、なんというか」
彼女は小首を傾げる。
「可愛い? 私が?」
「あ、ああ、そうだよ」
「私は自分の姿を見たことがないから分からない」
え? 嘘だろ?
湖とかで水浴びしないのか?
その時にいくらでも見られるのに。
「えっと、お前はずっと雲の上にいたのか?」
「ずっとここにいたわけじゃない。たまに飛んでた」
たまに……か。
「そうか。えっと、湖とかで水浴びってしないのか?」
「私は自分の体に雨を降らせた後、風を起こして体を乾かす。だから、湖に行ったことはない」
ないのか。
「えっと、じゃあ、これからお前の姿を見に湖か、うちに来ないか? 鏡を見れば、お前の可愛さがよく分かるぞ」
「かがみ? それは何? 地名?」
「地名じゃなくて、道具……かな? こう光の反射を利用してだな」
説明するのは難しいな。
やっぱり実物がないとダメだな。
「ここで説明しても、よく分からないだろ? だから、これから湖か、うちに来いよ」
「うーん、それが何なのか知りたいような気もするけど、今の私はあなたに夢中だから、あなたのことをよく知ってからにする」
あれ? なんか性欲が勝ったっぽい?
「あなたの体が私なしじゃ生きられなくなるくらい、いじめてあげる」
「そ、そういうのはやめてくれ! だ、誰かー! 助けてくれー!」
彼の声が辺《あた》り一帯に響き渡る。
その声が誰かに届くかは分からない。
けれど、何もしないよりかはマシだと思った彼の最後の足掻《あが》きだった。
「無駄。助けなんて来ない」
「こらー! 今すぐナオトから離れなさーい!」
「こ、この声は!」
助けは……来た。