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「ねえ、涼ちゃんっ。」
「なに?」
「いつもの涼ちゃんじゃないー。」
「…。」
「怒ってるの?」
「怒ってないよ。」
「…拗ねてるの?」
「拗ねてるかも。」
某音楽番組の収録後からずっと様子のおかしい藤澤。
それは仕事が終わり家に帰ってからもで、いつもなら大森と一緒にソファーに座りくつろいでるのに、今日は一人でリビングの椅子に座って、大森と距離を取っていた。
正直言って、今この状況になっている原因について、大森には心当たりがある。
大森は藤澤の足元にしゃがみ、藤澤の両手と顎をちょこんと乗せ、藤澤を見つめる。
「そんな可愛い顔してもダメです。」
…必殺上目遣いは効かないようだ。
「…あれ…気にしてる?」
「僕は二位なんだね。」
大森の心当たりは正解だったようで、どうやら藤澤は、番組収録の際に、大森が好きな四文字熟語で若井滉斗と言った事に関して拗ねているとの事。
「あんなの冗談じゃんー。」
「…分かってるけどさぁ。」
分かっている。
そんなの藤澤も分かってはいるが、藤澤の乙女心センサーに引っかかってしまったのだから仕方がない。
「分かってるけど悲しかったの。」
「もぉ…うそだからっ。涼ちゃんが一位だから!」
「ほんとに?」
「当たり前でしょ!」
「ふーん。 」
今日の藤沢は中々許してはくれないようだ。
「ごめんね。涼ちゃんが一位だよっ。」
「…じゃあ、証明してよ。」
「証明?」
一瞬、藤澤の目がキラリと光ったのは気のせいだろうか?
藤澤は大森に自分が一位だと言う事を証明しろと言う。
大森は、どうやって?と言う顔で藤澤を見つめる。
その方法とは…
「元貴から僕にキスしてくれたら信じてあげる。」
「なにそれ!」
「えー出来ないの?じゃあ、やっぱり若井が一位なんだ。」
動揺する大森に、藤澤はわざとらしくプイッと顔を横に向けて、拗ねてますアピールをする。
普段スキンシップの多い大森だが、キスなどに関しては自分からするのは恥ずかしいらしく、大森からそう言った行為をしてくるのはとても稀な事だった。
なので、これはチャンスとばかりに、藤澤は大森からのキスを要求。
…先程、藤澤の目がキラリと光ったのは見間違いではなかったようだ。
「…キス…するの?ぼくから?」
大森からの問に拗ねてますアピールを続けて無言の圧をかける藤澤。
これはもうしないと許してくれないやつだと覚悟を決め、大森は藤澤の目の前に立ち顔を近づけるように屈む。
「…目、閉じてっ。」
「はい。」
藤澤が目を瞑ったのを確認すると、大森はさらに顔近づけた。
ちゅっ。
大森の唇が触れた瞬間に目を開ける藤澤。
目の前には顔を耳まで赤くした大森がいた。
余程恥ずかしいのか、長いまつ毛がフルフル震えている。
「終わり!…って、あ!目開けてる?!」
ひどい!と言わんばかりに、藤澤を睨む大森。
「だって元貴の可愛い顔見たかったんだもん。」
そう言って、ニコニコ笑う藤澤。
藤澤知っている。
大森が自分の笑顔に弱いことを。
「ぅぅ~…ばかっ!///」
大森はそう言うと、座っている藤澤の足の上に跨り、藤澤の首元のに顔を埋めてギュッと抱きく。
「…信じてくれた?」
「もちろんっ。」
藤澤も大森をギュッと抱きしめる。
「…さみしかった。」
「あははっ、ごめんね。」
くだんの件から、どことなく藤澤に避けられ続けた大森は、その寂しさを埋めるようにさらにギュッと藤澤に抱きついた。
「ねえ、もっと可愛い元貴みたいんだけど、いい?」
「っ///そんなのいちいち聞かないでよっ。」
「も~素直じゃないんだから。」
「うるさいっ。」
悪態をつきながらも離れない大森に笑いそうになる藤澤。
「そのまま抱きついててね。」
大森が頷くのを確認すると、藤澤は ヒョイっと大森を持ち上げた。
「子供みたい。」
そう言って笑う藤澤の首筋に軽くキスをする大森。
「子供じゃないもん。」
「そうなの?楽しみだな~。」
「////」
行き先はもちろんベッドルーム。
-fin-