第5話スタート
剣持side
「お願い…加賀美さん、逃げてッ…!」
お願い、お願いだから
もう、誰も傷ついてほしくない
誰も、死んでほしくない
そんなことが頭の中でグルグル回って
気持ち悪くて、僕は俯いた。
せめて、ガッくんとろふまおだけは守りたい…。
だけど、僕にできることなんて…
そう考えていた時、
僕の体が…何かに包まれた。
加賀美side
剣持さんが、私に逃げてと言った。
どうして?
剣持さんを1人にしたら…きっとまた、彼女から
電話がかかってくるだろう。
そしたら、剣持さんはどうなってしまう?
私は絶対に、誰も傷つけたくない。
それがただのエゴだとしても。
私は、剣持さんを抱きしめた。
ガラス細工のような、その体を包み込む様に抱きしめた
剣持side
「加賀美さん…?なに、して…」
加賀美「剣持さん、少しお話を聞いてくれますか?」
「え、まぁ…」
加賀美「…私は、少し前に大切な人を失いました。
その人は、すごく美しい人でした。
今は…私ともう1人の方以外は、誰もその人
を…覚えていないんですけどね。
剣持さん、貴方もきっと忘れてしまってます
いいとは思いませんけど…
彼女は消えてしまう前に私に言ったんです」
『私は、もう誰も傷つけたくない。
みんなが私のことを忘れちゃっても、私は
みんなのこと、覚えてるから。
だけど…私はしばらくみんなのそばに…隣に、
いることができない。だから…』
『私の代わりに、貴方がみんなを助けてあげて。』
加賀美「彼女はそう言って、消えてしまったんです」
僕も覚えてない人…?
誰、だろう
加賀美「だから、私はその約束を果たしたいんです。
彼女みたいに、消える人がまた現れないように…
なんて、ただの私のエゴなんですけどね(笑)」
「…加賀美さんは、その人のこと、好き?」
加賀美さんは、一瞬驚いたような顔をした。
そしてすぐに、
加賀美「ええ、大好きですよニコッ」
加賀美「きっと貴方も、大好きだったはずです。」
僕も、大好きだったんだ…
なんで、思い出せないんだろう
「いつか僕も…」
『思い出せる日が、来るのかな』
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