TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

月も出て、真っ暗になった夜道をひたすら歩く僕らはこの場所さへも不気味に感じていた。時間帯を確認したいけど時計がないから分からないな。お腹も空いているから、おそらく七時くらいだろうか。


野薔薇「はぁ〜…、腹減った〜…。宿なんか全然見つからないじゃないの…。」


最後尾を歩いてお腹が空いてイライラしている野薔薇は、僕らに置いて行かれないように必死につけてくる。それはそうだ、僕達はこの時代に飛ばされてから食べ物を碌に食べていない。それに、ひたすら歩きっぱなしで足も疲れかけてきている。

その時、隣を歩いている風香は立ち止まって野薔薇の方に目を向けて話しかける。


風香「だ、大丈夫、野薔薇ちゃん?コンビニで買ってきたおにぎり食べる?」


そう言うと風香は術式を使って異次元空間に保管してあったおにぎりを取り出した。風香が今使った術式は迚便利なものだ。真希が普段使っている呪具や宿儺の指だって保管が出来て、更にはこの異次元空間に閉じ込められた呪霊を抹殺することだって出来る優れ物なのである。因みに、食べ物を保管してたけど賞味期限を気にせず腐らずに美味しく戴くことが出来るよ!

おにぎりを取り出しているところを見た野薔薇は食べたい気持ちでいっぱいだったようで、


野薔薇「あ!有難う御座います、風香さん!少しだけお腹の足しにはなりそうです!」


野薔薇は風香にお礼を言ってからおにぎりを受け取り、おにぎりを1口齧《かじ》った。余程お腹が空いていたのか、野薔薇は美味しそうにパクパクと食べている。僕は横に居る野薔薇の近くで、悠仁達に泊まる宿のこととさっきから不気味に思っていることを話し始めた。


五条「ねぇ、さっきからずっと宿を探し回ってるけどなかなか見つからないのは可笑しくない?それにこの場所、いくら最強の僕でも何だか薄気味悪いし空気が淀《よど》んでいるようにも見えるけど。」

一同「ゑ…?😨」


僕の最後の発言に皆は驚いて顔を青くした。僕は昔から幾つもの呪霊を相手している為、呪霊が徘徊している音や血の臭いなどに何もかも敏感になっている。この淀んだ空気の正体はおそらく血の臭いであり、最近殺されてしまった人の血だろう。何だろう、呪霊じゃない何かに殺されたような感じだ。殺した犯人は呪霊じゃなくて、浪士か将又《はたまた》動物だろうか。それに今迄ずっと気付かなかったが、薄気味悪い雰囲気さえも消えないし、そこにとどまっているかのようにも感じた。また、僕達が今通っている道からは「行ってはいけない」と自分の本能が警告している。僕はこう思った。怖いのなんてない僕が何故こんなに怯えているのか知りたくて仕方なかった。


風香「あの…、悟さん…、大丈夫ですか?💦」


僕は夜の恐ろしさか何者かの怖さのせいなのか、彼女の声は自分の耳には届いてなかった。風香は何度も僕の名前を呼んでも返事をしてくれなかった為、風香は平手で僕の頬を強くひっぱたいた。


五条「痛っ!!あれ…、僕は何をしていたの…?」


僕は風香に引っぱたかれた衝撃で、先程迄の怖さは何処かに行ってしまった。ぼうっとしていた僕に呆れて、風香は話を続ける。


風香「もう!悟さん、確《しっか》りして下さいよ!早く急いで宿を探しますよ!」


と彼女に怒られてしまった。先程までおにぎりを食べていた野薔薇は既に完食していて、皆は僕の方を見ていた。「早くしろよ」というような目付きで睨まれていることに直ぐに気付いて、再び歩こうとしたその時だった。


グサッ


近くで刀で肉を刺したような生々しい音が聞こえてきて、僕達は細心の注意を払って身構えた。恵は玉犬を出し、何処からか漂ってくる血の臭いを玉犬に嗅がせて、僕達はその後に続いた。右、左、真っ直ぐといった複雑な道を走って進んでいき、血の臭いがする場所に来たところで僕達は目を剥いた。


野薔薇・悠仁「え…。😨」

伏黒「うっ…。」

風香・五条「!?😰」


その光景を目撃した僕達の反応はそれぞれだった。到着した現場で目撃したのは、1人の浪士?が横たわっている死体を何度も何度も突き刺している光景だった。浪士が殺害している死体はおそらく女性の死体だろう。しかも、浪士?に殺されてしまっている女性は、僕の素顔に興奮していた女性だった。彼女の名前は確か、茜と言っていた。まさか、こんな目の前で先程会った人の殺人現場を目撃してしまうだなんて僕は想像もしていなかった。


浪士?「ヒヒヒ、ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!」


次に僕らが驚いたのは、茜の体から流れ出た血を浪士?が吸って狂ったような笑い声を上げていたことだった。その狂った浪士?は、髪は白髪に染まっていて目は血のように紅くギラギラしていた。僕らはこの狂った浪士?は、人ではなくこの世のものとはありえないくらいの悍ましい化け物へと変貌してしまったことを直ぐに理解した。


化け物「ヒャハハハハハハハハハハハ!!!」


その化け物は薄気味悪いくらいに笑った後、僕らの気配に気付き、刀を無造作に振って襲いかかってきた。それと同時に、隣に居た風香はよく分からない呪いの言葉を唱え始めた。ちょっと待ってよ風香、相手は呪霊じゃないからどうやって倒すの!!?僕がそう思っていると、風香は呪いの言葉を唱えている。この場だけ、時間が止まったような感覚だった。唱え終えた彼女の口を見ると、何か名前が書かれた御札のようなものを咥えていた。次に、彼女の回りから強い風が吹き込み、彼女の前に何かが召喚された。召喚されたのは半透明ではあるが、凛々しい剣豪だった。剣豪は刀の鍔を押さえ、刀を構えたその刹那、俊敏な速さで化け物を立ち斬った。化け物は心臓と首を同時に斬られ、雄叫びを上げてその場に倒れ伏した。化け物の体からは血がドクドクと流れ出て、服と地面が真紅に染まった。(化け物)を殺した剣豪は自分の刀に付着した血を払って、煙のように消えていってしまった。


一同「…………。」


僕らはさっきの光景で言葉が出てこなかった。この場の沈黙を飛ばしたのは野薔薇の方だった。


野薔薇「な、なんなのよ、あの化け物…、気味が悪いったらありゃしないわ…。こんな所は嫌よ…、早く私達を現世に帰して頂戴よ…。😢」


と、野薔薇はあの光景を見て怖くなって弱気になってしまい、その場にへたり込んだ。次に風香が何か言おうとした時にそれは起きた。


侍1「てめぇら!をくまなく探せ!絶対に見失うんじゃねえぞ!!」


誰かの甲高い声が聞こえ、その場に居る僕らの耳に響いた。彼が言ったは、おそらく僕らが見た化け物のことだろう。その甲高い声の次に、もう一人の声も聞こえてきた。


侍2「はいはい分かってますよ、は必ず僕がこの手で仕留めますから。」


柔らかそうな声をした若い男の声も聞こえ、彼の足音がこっちに近付いてきていることに気付いた。

ど、どうしよう!?ただでさえ、僕らはこの世界のことなんて全く分からないし、聞かれて事情聴取をされるのなんて嫌なんだけど!!僕たちは逃げようとしたのだが…、金縛りにかかったのか動くことすら出来なかった。

乱れた世界で君に出逢う

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

0

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚