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これからどうすれば?
わからない。
この気持ちは何?
わからない。
どうしてわからない?
わからない。
俺は何がしたいの?
わからない。
ドズル「めんはめんだよ。 」
どういうこと?
ドズル「めんは、自分が何をしたいかわからないって言うけど….。 」
ドズル「僕たちはそうは思わないよ。 」
どうして?
ドズル「めんはちゃんと、ここにいる。」
どういう意味?
ドズル「気づいていないだけで、めんはちゃんとここにいる。」
俺はどこなの?
ドズル「大丈夫だよ。」
ドズル「僕たちがずっと近くにいるから。」
めん「ひゅはっ…..!!」
あれ…..
あぁ、夢か….
あれから3日くらい経つけど、俺は屋上にはほとんど行っていない。
1回だけ行ったけど、ドズさんたちはいなかったから、多分2人も行っていないのだろう。
めん「….近くにいる、か。」
めん「んっ…..」
結局あれから一睡もできなかった。
…..なんとなく、また屋上に来てみた。
相変わらず小汚く、誰もいな….
めん「…..えっ 」
ドズさんたちだ。
ドアに背を向けて空を眺めてるため、こちらに気づいていない。
ドズル「…….。」
ぼん「……..。」
2人とも、ただ空を眺めているだけだった。
……帰ろう。
そう思い、引き返そうとした時だった。
ドズル「…..死にたい。」
ぼん「……はっ?」
めん「……えっ?」
びっくりするくらいハモった。
ドズル「あぁ、ごめん。 」
ドズル「声に出ちゃってたかな。」
ぼん「いや、はっ…..?」
ドズル「なんでもないの。気にしないで。」
ドズさんは、何事もなかったかのように笑った。
いつもの、まるで晴天の空のように晴れ晴れした笑顔で。
なのに。
いつもと違う、どこか少し雲のかかったように見える「それ」に、心がとても痛くなる。
ぼん「どういうことだよ….?」
ドズル「ん?だから、気にしないでって…」
ぼん「死にたいって、どういう意味だよ!」
ドズル「……。」
ドズル「…..ほんとはね。」
ドズル「ずっと前から思ってたの。」
ぼん「なっ…..」
聞きたくないのに、気になって聞いてしまう。
ドズル「自分は愛されてる。」
ドズル「今までずっと、そう思ってきた。」
ド「いや、思おうとしてきた。」
ドズル「でも….」
ドズル「大きくなるにつれて、本当はそんなことないんじゃないかって….」
ドズル「自分は、要らない子なんじゃないかって….」
ドズル「そんなこと考えちゃう自分が嫌で、嫌で嫌でたまらなかった。」
俺はその場で立ち尽くす。
掛けてあげられる声もなければ、権利すらもない。
俺は…..。
俺は、どうすれば….?
ドズル「でも、ぼんさんやめんに出会って。」
ドズル「こんな僕でも、愛してくれる人がいるんだって。」
ドズル「……でも。」
ドズル「でも、僕は、めんに酷いことを言っちゃった。 」
ドズル「….そんな僕が、僕は大っ嫌い。」
珍しく、子供に見えた。
いつも、まるで大人のようなドズさん。
言動や仕草には、ところどころに育ちの良さが滲み出ていた。
そんなドズさんなのに。
めん「そんなこと言わないでよ!」
ぼん「そんなこと言うなよ!」
ドズル「えっ….?!」
ぼん「は、めん…..?!」
めん「あっ…..」
つい…..
ドズル「なっ、なんで….って、盗み聞きしてたの?」
少しムッとした表情でドズさんが言う。
やっぱ、俺の事嫌いに….
ドズル「一緒に話せばよかったのに。」
めん「へっ……?」
さらにムッとするドズさん
どうして?
ドズル「めんがいつ来たかわからないけど、僕たちさっきまでめんについて話してたんだ。」
めん「そ、そう、なんすね…..」
まともに目を見れない。
なんでこんな俺に、話しかけてくれるの?
ぼん「…..で、何しに来たの。」
めん「……..っ。」
冷たい目線。
冷たい声色。
ドズル「まぁまぁ、ぼんさ…..」
ぼん「何しに来たのって聞いてるの。」
ドズル「んぅっ……。」
拗ねているドズルは、まさに子供のようで。
子供の頃にできなかったことを今色々しているようで…..。
少しながらも確実に前に進もうとしているドズルさんに引かれるように、俺らも前へと進んできた。
でも…..。
俺だけ、このまんま…..?
俺だけここでずっと立ち尽くしてなきゃいけないの?
そんなの嫌だ…..。
でも、どうすればっ…..!
ぼ「もう、気づいてるんでしょ?」
め「へぁ…….?」
ぼ「これからどうすればいいのか。」
ぼ「どうしたいのか。」
違う
俺はなにもわからない
ぼ「わかってるのに、わからないフリをしてるだけ。」
ぼ「わからないままでいようとしてるだけでしょ?」
め「そんなっ、こと……!」
ぼ「もうやめなよ。」
ぼ「そんなことしたって意味なんかない。」
ぼ「わかってるんだろ?」
め「……っ!」
俺、はっ…..
ド「めんは…..」
ド「めんは、僕たちのこと嫌いなの?」
め「は……?」
ド「めんは、僕たちよりご家族の方が好きなの?」
め「………。 」
俺は…..
ド「めんは、僕たちをもう友達と思ってないの?」
め「……..っ。」
俺が、ドズさん達を嫌う…..?
友達と思ってない……?
そんな…..
め「そんなわけない!!」
ド「……..!」
め「俺は……!!」
め「おれ、はっ……!」
め「…..俺は、どうしたらいいの……?」
鼻の奥がツンと痛い。
視界がぼやける。
…..あぁ、俺、泣いてるのか。
ド「めん…….。」
め「……….っ。」
ぼ「……..。」
ぼ「どうしたらいいとか、何が正解とかじゃなくてさ。」
ぼ「めん自身が、どうしたいのかで決めてよ」
め「俺……。」
分からない….
自分の意見なんて、持ったことがない。
持つことも許されなかった。
親が正しかったから。
親の言う通りにしてたら、俺は成功する。
幸せになれる。
そう思ってきたから。
過酷な勉強を耐えて。
いじめに耐えて。
ずっとそうだったのに。
ずっとこれで大丈夫だったのに。
ずっと何も感じなかったのに。
め「……ドズルさんたちのせいです。」
ド「え……?」
め「俺がこんなに変わっちゃったの、ドズルさんたちのせいです…..!」
ぼ「変わっちゃった?」
め「俺はっ…..!」
め「…….ずっと、これでよかったのに。」
め「全部諦めて…..。」
め「全部憧れて…..。」
め「それでっ…..」
め「それでよかったのにっ…..!」
ド「めん…….。」
め「…….責任とってくださいよ。」
ぼ「責任?」
め「俺をこんなに変えて…..。」
め「俺をこんなに苦しめてる責任を…..!」
め「とってくださいよぉっ……!!」
ただの八つ当たり
わかってる
わかってるけど…..!
ド「…..責任、とればいいんでしょ?」
め「えっ…….?」
ド「だから、責任とればいいんでしょ?」
め「え、いゃ…….」
ド「何したら責任とったってなるの?」
め「ぇと……」
め「お、親に説得する……とか?」
ド「わかった。めんの親に説得すればいいんだね?」
め「あぇ、ん……?」
ド「行こ、ぼんさん」
ぼ「ん、あいよ。 」
め「あの、ちょ…..」
ド「ほら、めんも。」
め「え、俺…..?」
ぼ「家案内してもらわないとわかんないでしょ。」
め「ちょ、ちょっと待ってください!」
め「ま、まじで行くんすか…..?」
ド「当たり前でしょ?」
ド「めんが今苦しんでるのは僕らのせいなんでしょ?」
め「いや、あれは…..!」
ド「責任とってって言われたんだから、とらなきゃだめでしょ。」
め「だから、あれはっ…..!」
ぼ「あ〜、うるせぇうるせぇ!」
め「……っ!」
ぼ「お前は俺らに何をしてほしいんだよ!」
め「いや……」
ぼ「俺らはお前のためならなんだって出来る!」
ぼ「なのに!」
ぼ「それを求めず1人で抱え込んだ挙句、八つ当たりしてまた抱え込んでるのはお前だろ!」
め「それ、は……。」
ぼ「お前は俺らに何を望むわけ?」
め「………。」
ド「めんは…..。」
ド「めんは、何に焦っているの?」
め「……….ぇ?」
ド「めんはいつも、何かに焦っているように見える。」
ド「そして、安定していない。」
め「安定……?」
ド「焦るあまりに、ちゃんとした判断ができず、安定した
精神状態にもなれていない。」
め「………。」
ド「1人で歩くのが難しいなら、周りに支えてもらえばいい。」
ド「1人で寂しいなら、周りに頼ってよ。」
め「で、でもっ……!」
ぼ「大丈夫だって。 」
ぼ「俺らはいつでもお前のそばにいる。」
め「………!」
ド「そうだよ。 」
ド「だからさ……」
ド「自分だけが取り残されてる、なんて思わないでよ。」
め「………っ!!」
心が暖かい
こんな感覚も、ドズさん達と出会ってからいっぱい味わった。
それでも、何回でも。
どれだけ感じたって、相変わらず暖かくて。
相変わらず、心地よい。
これが好き
これがいい
家でも、これを感じたい。
感じたことなんてない。
ずっと、この人達と…….
め「……すいませんでした。」
め「八つ当たりして……ドズさん達は何も悪くないのに。」
ド「別に構わないよ。」
ぼ「んで、こっからどうするわけ?」
め「……..。」
まだ、怖い。
でも、進むんだ。
ドズさんもぼんさんも居てくれる。
なら俺は…….
め「…..向き合ってみようと思います。」
め「自分とも…..親とも。」
ぼ「ん、そうか。 」
ド「頑張ってね。」
め「……..!はいっ!」
俺は、柔らかい笑顔を向けてくれるこの2人を信じるだけだ。
長くなりました。
そして、全然更新せずすいません…..。
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