静かな日本の家の和室。
綺麗な良い匂いがする日が当たる暖かい和室の畳の上で洋服を着た何故か室内でサングラスを掛けながら雑誌を読むアメリカが居た。
「…………………」
アメリカはつまんなそうに見ている。来たのは良いものののやる事が無いのでそこら辺にあった雑誌を少し拝借して読んでいるのだ。
ペラペラとページをめくり日本では今こんなのが流行ってるのか………と見ている。
たまに携帯を開きメールや時計を見るだけだ。見た後はまた雑誌に視線を戻す。
そして何度目かのメールを開いた時ダンダンと廊下を大きな音で歩いて来る足音に気づく。
今までも何人か通っていたようだが飼っている犬か小さい子の足音だった。
この足音、そしてこのイラつきも混ぜている足音はいつもつっかかって来る奴だろうとアメリカは踏まれない様移動する。
どうせ襖を開けた途端今の場所に居たら踏まれてギャーギャー騒がれるのだから。
あいにくアメリカは今相手をする気分では無い。
今目の前にある雑誌に注意が向いているのだ。
しかもこの雑誌はこの部屋にあった物。
誰かの所有物なのだ。
踏まれて弁償となったら流石にこのアメリカでも無理だ。
そうして移動したすぐに思い切り襖が開かれた。
「アメリカアアアア!!お前!!いつ家に入った!!」
大日本帝国、日帝の双子の弟、軍は海軍のいつもの帝国だ。
今日も今日とてアメリカが居るのが気に食わないらしい。
まぁ無理も無い。
昔お互い殺し合っていたのだから。
いつもは優しいお兄ちゃんと言われているがアメリカには当たりが強い。
昔は「さん」付けで笑顔を振りまいていた可愛さは何処へやら。
今はもう呼び捨てどころか敬語も無くなった。
アメリカは別に気にしてはいないが。
「うんうんごめんなー」
そう言ってアメリカはページをめくっていく。
「聞いてるのか!!!アメリカ!!!」
その態度が気に食わないのか帝国はどんどん声を張り上げる。
「うんうん聞いてる聞いてる」
アメリカは全く目を向けない。
「〜〜っっ!!アメリカ!!!俺は!!いつ!!この家に!!入ったかって聞いてるんだ!!」
「うんうんそうだなー」
アメリカは適当に流す。
「アメリカ!!!」
もう我慢ならんとその場から動いた帝国はアメリカのすぐそこまで来た。
「アメリカ!!人が話している時は普通は本から目を離すもんだろう!!」
「うーーんそうだなぁ…………」
アメリカはちょっとほんのちょっとだけ(うるさいなぁ…………俺今見てるんだけどなぁ…………)と思ってしまった。
「大体お前はいつもいつも………」
帝国のいつも通りの説教タイムだ。
「うんうん」
「聞いてるか!!!」
「聞いてるって」
プンスコする帝国にアメリカは少し静かにして貰う為帝国の顎に手をやる。
「おい…………なんだこの手は………」
「んー気にせずにー」
「お前なっ!!っっ!?」
また帝国が口を開いた途端次に聞こえたのは激昂では無く猫がよく鳴らす落ち着いている時のゴロゴロした声だ。
「くっっ………」
「………………」
アメリカは慣れているかの様に帝国の顎を撫でる。
「くっそ…………」
帝国はどこか悔しそうな顔をしながら喉を鳴らす。
ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ
ずっとこの音が部屋に響く。
何ページかめくった時だろうか不意に隣で小さくポンッと音がした。
その音が鳴った方向を見ると1匹の猫が丸まっていた。
その猫は帝国のあの白い色と細い赤い線が通っている綺麗な小さい猫だ。
「ありゃ、猫になっちった。大丈夫か〜?」
アメリカはその猫を抱き上げ自分の膝に乗せて撫でる。
猫は変わらずずっとゴロゴロと喉を鳴らし甘える様に手に擦り寄る。
「………………ふわぁっ…………あったか……………ねっむ…………」
アメリカはあくびを一つし、サングラスを外し眠たそうに目を擦る。
そして雑誌を置き静かに横向きになり猫を湯たんぽ代わりにし、一緒に寝る事にした。
コメント
2件
あっ…好き(?)