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堕ちたseven
ノックの音がした。
少しだけ、顔を上げる。
誰か来たらしい、と思う。
でも、それ以上は考えない。
「出マス禰󠄀」
声がする。
頷く。
全て彼に任せればいい。
足音が遠ざかる。
少しだけ、不安になる。
でも、すぐ戻ってくると分かってる。
だから、大丈夫。
扉が開く音。
知らない声。
いや、違う。
知っている。
どこかで、聞いたことがある。
でも、思い出せない。
必要ないと思った。
少しして、足音が近づく。
二つ。
一つじゃない。
視線を上げる。
そこに、いた。
知らない顔。
いや、
知っている。
「……あ」
口が動く。
名前が出てきそうで、出てこない。
隣に立つ気配。
それで安心する。
ちゃんと、いる。
「……久しぶり」
声が落ちてくる。
低くて、静かで、少しだけ重い。
胸の奥が、ほんの少しだけ引っかかる。
なんでかは、分からない。
「……だれ」
思ったままを口にする。
隠す必要もない。
分からないものは、分からない。
一瞬、空気が止まる。
隣の気配は動かない。
でも、前の人は、少しだけ目を細めた気がした。
「……そっか」
小さく、そう言った。
その声で、何かが引っかかる。
でも、すぐにどうでもよくなる。
隣に、いるから。
「コ血LAに要件ハ¿」
いつも通りの声。
安心する。
「ああ……いや」
少し間があって、
「……もういい」
そう言った。
それだけ。
それ以上、何も言わない。
視線が一瞬だけ、こっちに向く。
何かを探すみたいに。
でも、すぐに逸れる。
足音。
遠ざかっていく。
止めようとは思わない。
だって、止める理由がないから
ただ、見送る。
何も感じない。
……いや、
ほんの少しだけ、
分からない何かが、残る。
でも、
「気ニ氏ナクteイイデスョ」
声がする。
それで、消える。
「……うん」
頷く。
それでいい。
全部、それでいい。
何も考えなくていい。
sevenがnoliに堕ちたお話。
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