『黒霧さん、ありがとう』
カチャッ
黒霧さんとこのバーで
弔くんと2人、温かいコーヒーを飲む
『わ!おいしい〜!なんかいつもと味が違う!』
黒霧「分かっていただけましたか?
いつもと違ったブレンドにしてみたんです」
『へぇ〜!めちゃくちゃおいしいよ!
ねぇ、弔くん?』
話を振るも
「俺にはあんま分かんない……」
と答える弔くん。
『ええ〜ちゃんと毎回味わおうよ〜』
「だって味が違おうとコーヒーはコーヒーだろ」
『それはそうだけどさぁ〜……』
もっと、香りとか……味とか
いっぱい楽しめることたくさんあるじゃん!
そう!外に出たらもっとさあ!
……弔くん、全然外に出てないし色々考えないのかなぁ
もっとたくさん色んな物に触れて、味わって、知っていけばきっと弔くんだって____
……ほんと、ここに来てから出かけたのは荼毘さんとの1度きりだけ……
「凜、何考え事してんの?」
そう、弔くんは私に問いかける。
『え!?』
私は驚いて弔くんの方を振り返る____
と
ガチャンッ
黒霧「おっと」
「凜、危ない!」
ピシャッッ
コーヒーが零れてしまった____
黒霧さんのワープでコーヒーカップは無事だったけれど____
『わ〜……黒霧さんごめんなさい
せっかく淹れてくれたコーヒーを……』
そう言って近くの布巾で机を拭く
黒霧「いえいえ、大丈夫ですよ
お気になさらず
また淹れ直しますから」
そう黒霧さんはニッコリと目元を緩ませ言ってくれる____
優しい!
なんて優しいの黒霧さんは!
「……凜、」
弔くんがチョンチョンと私の手を引く
そして私の服を指さす
と____
『ええええええ最悪………………』
着ていたお気に入りの白のブラウスがコーヒー色に染まってしまっていた
…………
これ、、取れるのかなぁ
洗濯、、、してとれるの?これ、、、
服を見つめてると
「……凜、これよく着てたもんね」
『うん……』
しょんぼりとしながら私は____
あ
弔くんと一緒に外に出て買い物に行けるチャンスかも!?
『あ……ねぇ、弔くん』
「ん?何」
『さっきの考え事の話なんだけど……』
「……」
そう言うと弔くんは構えたように私の方を見る
『ここに来てから全然外に出てなくてずっと嫌だったの!
弔くんと一緒に外にお出かけしたいですっ!』
したいですっ
たいですっ
ですっ
声がバー中に響き渡る
弔くんは
さっきの構えてた真剣な顔とは程遠く
はぁ?とは言わんばかりに口を開け
眉間に皺を寄せ____
カチャッ
黒霧「凜さん、どうぞ」
『わ〜ほんとありがとう、ごめんなさい黒霧さん』
「いえいえ、とんでもない」
新しいコーヒーが目の前に____
チラッと弔くんの方を見ると
弔くんは私と目が合ったかと思えば
すぐに逸らし
「なんだ、そんな事なら早く言ってくれればよかったのに。」
とムスゥとして
コーヒーをズズズ……と飲んだ
『え!?一緒に外、行ってくれるの!?』
「だからそう言ってる」
『え!嬉しい〜!!』
「よかったね」
ずっとムスゥとしながら適当に相槌を打つ弔くん。
嫌々我儘に付き合ってくれてるってことかな
『弔くんって優しいんだね』
そう言うと
私の方を向き____
微笑み
「凜にだけ、ね?」
そう言って
頭を撫でた____
コメント
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続きが楽しみすぎて寝れない( ˙-˙ )