テラーノベル
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桜「………」
ベッドのすぐ近くにある窓を見つめる桜。
外に目を輝かす訳でもなく、微動だにせず
もはや外を見ているのか否か分からないレベルで。
突然すくっ、と立ち上がり窓に手を伸ばし出す。
だが柵があるため手は届かない。
右手を固定している布は体と一緒についてくる。
桜「…ぅッ、ぅ~う…」
手を限界まで伸ばすが、柵があって
どうしても届かない。
ガラガラガラッ
病室の扉が開く。
桐生「お昼の時間だよ〜桜ちゃん…って
なーにやってるの」
ご飯を配膳しに来た桐生は、
窓に必死に手を伸ばす桜を見て苦笑いした。
桜「…ぁ、きらきらの…」
桐生「覚えててくれた?嬉しいな」
ご飯だから座ってね〜
と桐生が桜に言うと、桜はそのまま座った。
桐生「よいしょっと。今日は魚だって。
…ひとりで食べれそう?」
桜「コクッ」
小さく頷いた桜は、小さな折りたたみのテーブルに置かれたご飯を
まじまじと見た。
桜「…ぃただきますっ」
桐生「ふふ、どうぞ〜」
小さな手を合わせて、桜はスプーンを持った。
…が、しっかり持てず、
すくい上げるものは
ぼと、ぼととスプーンから逃げていくだけだった。
桐生「あーんしようか。
スプーンかーして」
見かねた桐生がスプーンを代わりに持ち、
少量の米を取って桜の口に運ぶ。
桜「…✨
うま……」
ご飯が口に入った途端、
桜は目を輝かせながら咀嚼した。
桜が飲み込んだことを確認して、次に魚を取る。
再び目を輝かせる桜に桐生は微笑んだ。
朝、子どもとは思えないほど人を警戒していた 彼のキラキラした笑顔は、
子どもそのものだった。
桜「ぁッ、あッ!」
口を開いて『もっとちょうだい』をアピールする。
その姿はまるで
巣で えさ を待つツバメの子供のようだ。
桐生「(可愛い…)」
切実に思う桐生だった。
あっという間にご飯を平らげ、
桐生に促されて水を飲む。
8度の熱が続いていたため食べられるか心配していた桐生は、一安心した。
桐生「(食欲がある…とかじゃなくて
食い意地が張ってる方が正解か)」
桐生「ご飯美味しかった?」
桜「おいしかった」
桐生「よかった」
じゃあ食器片してくるね、と
桐生は病室の扉を閉めた。
桜は朝の回診で、梅宮が言っていたことを思い出した。
さかな
1,622
#WB夢
紅葉 転生
53
『昼では喉の診察を頑張る。』
桜「…ふふっ」
桜の心の扉が、キィ、と開いた。
コメント
1件
第12話、読み終わりました。窓の柵に手を伸ばす桜ちゃんの姿が、すごく切なくて。でも「きらきら」って一言が出たとき、あの朝の警戒が嘘みたいにほぐれていく感じが伝わってきました。桐生さんの「あーん」に目を輝かせる様子、本当にツバメの子そのもの。最後の「心の扉が開いた」という一文に、全てが集約されてる気がします。伏線的な「きらきら」の扱いも、じんわり効いてました。