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ブクマしつれーい!
注意
ドクターストーン3章~4章あたりのネタバレが含まれます。
羽ゲンです。
羽京とゲンは付き合っているがみんなに隠している、という設定です。
羽京の過去を捏造してます。
お酒を飲んでいる描写があります。
ゲンが愛され不足です。
それでも良い方のみお酒は本性を出すらしい。をお読みください。
帆船ペルセウス号に「バーフランソワ」と言うものが開業した。
そこでは龍水の執事兼シェフのフランソワがお酒を提供していて、陽を筆頭にどんちゃん騒ぎとなっている。
お酒を飲まない人や、お酒に強い人が酔い潰れた人たちを介錯してやったり、酔った勢いで大会が始まったりと、かなり大変なことになっている。
「うへ〜…ドイヒ〜!…あっち行ってもこっち行っててもみーんな酔ってて絡まれるし…」
「あはは、そうだね…飲んでない人たちは基本的にここら辺に集まってるね」
お酒を飲まない人達はみんなフランソワがその人に合わせて作るノンアルコールカクテルを飲んでいる人が多く、ゲンはそれが気に入ったらしい。最初に飲んでいた分と合わせてもう2杯目だ。
「ゲン、それ気に入ってるんだね」
「うん!俺、コーラ好きだからさ〜♪やっぱりテンション上がるよね〜」
ゲンのそんな生き生きとした表情は久しぶりだ。
その表情を見るたびに、自分の心が満たされていくような感覚になる。
思わず抱きしめたくなったがそれを我慢して別の話題を出す。
「あ、そういえば松風…さっきから銀狼に絡まれていたような、大丈夫かな?」
松風の方を見るとさっきまで元気だった銀狼が黙っている。
何かあったのかな、なんて思っていると、フランソワが松風に抹茶ビールを差し出す。
松風がそのビールを受け取り一口飲むと、すぐに倒れてしまった。
起き上がったかと思えば、司に泣きつく。
「私はもっと強くなる必要がある!司殿の胸をお借りしたい!」
「うん…そうだね、俺もちょうど鍛錬が必要だと思っていた頃だ。」
そんな会話をした後、バトルチームと千空はどこかへ行ってしまった。
「わ〜…松風ちゃん、酔うとあんな感じになるんだ…ってか酒弱っ!」
「一口飲んだだけで倒れちゃうなんて…あんなに酒に弱い人は初めて見たかも」
「あ、そういえばゲンはお酒に興味ないの?」
「俺?んー、興味がないと言ったら嘘になるけど、ほら、お酒を飲んだら本性がバレるとか言うじゃん?」
「自分の酒の耐性もわかってないのにみんなの前で飲んだらまずいでしょ、メンタリストとして」
「なるほど、それだったら、みんなが寝た後に僕ら2人だけの状態で飲まない?」
「えー、どうせ飲むなら1人がいいけど…まぁ、何かあって酔い潰れた時に介錯お願いね?羽京ちゃん」
「任せて」
ゲンが初めて飲むお酒の相手は僕になった。
みんなが楽しんでいるのにこんなことを思うのは少し酷いかもしれないが、みんな早く寝ないかな、と少しだけ思った。
「やっぱりこの時間になるとみんな寝ちゃうんだね」
「そーね、みんな脱いだりしてるから風邪には気をつけてほしいけど…」
オシャレなバーの椅子に座り、自分のために作ってもらったカクテルを飲みながら話す。
「じゃあ、そろそろ俺もお酒飲んでみようかな」
「何気に初めてなのよね〜お酒飲むの。メンバト!の打ち上げで飲んでるのは見たことあるくらい?」
「へー、少し意外かも。ちょっとアレだけど、ゲンはフライングで飲んだことあると思ってた」
「もし飲んでるそこバレて撮られたりしたら面倒でドイヒーなことになっちゃうから、されそうになった時は適当に誤魔化して回避してた」
こっちを向いてニヤリと笑うゲンは、バーの少し落ち着いた明かりと合わさって妖艶な美しさを感じた。
「こちら、ビールでございます。」
「ありがと〜フランソワちゃん♪それじゃ、飲んでみようかな」
ゲンが少し大きめのジョッキを両手で持ち、一口飲む。
「記念すべき一杯目だね。味の感想はどう?」
「あ、こんな味するんだ。想像よりちょっと美味しいし、結構気に入ったかも」
「へぇー、いいね」
「羽京ちゃんも一口飲む?」
「僕はいいや、過去にお酒でちょっと失敗したことがあって…」
「え?何かしたの?羽京ちゃん」
「嫌な先輩を殴って病院送りにしちゃったんだよね」
「え!?何それバイヤーすぎでしょ!」
ゲンがゲラゲラと笑う。ゲンもお酒に弱いタイプなのか、ツボが浅くなっている。
ゲンはあっという間にビールを飲み干してしまった。
「これ結構スイスイ飲めるかも!フランソワちゃん、もう一杯もらっていい?」
「うーん、でもちょっと危ないんじゃ…」
「大丈夫大丈夫!って言うか、酔ったとしても羽京ちゃんが介錯してくれるでしょ〜?」
これはダメな状態だ。
なんとか飲ませるのをやめさせようと思ったが、ゲンは僕の制止を振り切って飲んでいた。
最初の方は笑いながら飲んでいたゲンだが、いきなり真顔になった かと思えば泣き出してしまった。
「え、ゲ、ゲン?大丈夫」
「…大丈夫じゃないよぉ…」
「俺ね、ずっとずっと、不安で、怖かったの、」
「告白したとき、羽京ちゃんに嫌われるんじゃないかって、怖かった」
「付き合ってるってのを隠すって決めたときも、怖かった」
「初めて手を繋いだときも、抱きしめたときも、キスのときも…」
「羽京ちゃんが嫌な気持ちになるんじゃないかって…怖かった」
「俺ね、お酒を初めて飲むとき、酔って変な姿見せるのが怖かった…」
「羽京ちゃん、全然好きとか言ってくれなくて、本当に好きなのか不安になって」
「ずっと嫌な考えが出てきちゃって…怖…かった…」
そう言い終えると、ゲンは顔をくしゃりとし、声を出して泣いてしまった。
(そういえば、ペルセウス号ができてからあまりこちらから愛を伝えていなかったっけ…)
ずっと周りには秘密にしていたせいで、ゲンにそんな思いをさせていた。
それが申し訳なくて、ゲンを抱きしめた。
「ごめん、ゲン。」
「僕の都合で振り回して、不安な気持ちにさせて」
「これからは、ちゃんと愛を伝える。」
「だから、その証拠になるとはいえないけど…」
「愛してるよ、ゲン」
ゲンは涙を拭いてこちらを向く。
そして涙でぐしゃぐしゃになったまま、頬を赤くしてへらっと笑った。
「よかったぁ…ありがと、羽京ちゃん」
「俺も好きっ、ずっと、一緒にいたい」
今自分たちがどこにいるかも忘れていた僕らは、ずっと近くにいた人に声をかけられる。
「僭越ながら失礼致します。本日のバーフランソワは閉店とさせていただきます。」
そう、僕らはずっと人の前でいちゃついていたのだ。
「あっ、ご、ごめん、わかった」
酔ってフラフラになったゲンを抱えて立ち去ろうとする。
「あ、フランソワ、お願いなんだけど、このことは秘密にしておいてね…?」
「承知いたしました。」
ゲンのベッドにゲンを寝かせ、自分も向かおうとする。
「羽京ちゃん、まってぇ…」
「最後に好きって、言って」
「…ゲン、愛してるよ」
「えへへ、俺も」
こんな風になっているゲンは初めて見る。
酔ったゲンはとても甘えん坊で、ずっと思っていたことを吐き出してくれて、
何より可愛い。だが、飲ませるのは当分やめようと思った。
おまけ
後日、誰かが起きていたらしく、めちゃくちゃ絡まれた。
「聞いたよぅ!羽京とゲン、付き合ってたんだって!?」
「確かに距離が近いことがあったけど、まさか付き合ってたとは思ってなかったなぁ!」
「銀狼…最低過ぎるぞ貴様…!!」
まだ銀狼を含めた数人にしか広まっていなかったらしく、みんなが驚いた表情でこちらを見る。」
「ウエエエイ!?まじかよ!男同士とか!」
「ほう…!めっぽう良いではないか!そう言う話はもっと早く言ってくれればよかったのに…!」
タイミングがいいのか悪いのか、ゲンが騒ぎを聞きつけて起きてくる。
「うぇ〜頭痛い…で、これなんの騒ぎ〜?…」
ゲンが囲まれる。ゲンも状況をよくわかっていないため、え、え、と小さく声が漏れている。
昨日お酒を飲んで泣いていた、羽京と痴話喧嘩のようなことしていたと聞かされると顔を真っ赤にして叫ぶ。
「嘘!?何それ記憶ない!知りたくなかった!!ジーマーで!」
そんなゲンが可愛くて、少しからかってみることにした。
「おはよう、ゲン。今日もかわいいね。」
付き合っているとバレるのが怖くて言うことができなかった言葉。
そして、ゲンがずっと求めていた言葉。
ゲンは「羽京ちゃんまで…!」と顔を赤くして怒っていた。
お酒は本性を出すらしい。だがそれは悪いことだけでもなさそうだ。