とある日の昼過ぎ、名前は空厳寺に和菓子を配達に来ていた。名前の実家はナゴヤの中では有名な甘味処で名前はよく配達係として和菓子を届けに回っている
『空却〜届けに来たよ〜 』
『あれ?空却?』
いつも聞こえるはずの空却の声がしない
(とりあえず灼空さんのところに行ってみるか…)
『灼空さーん』
「ああ、名前さんいつもありがとう」
『いえいえ、仕事ですから、それにしても空却またどっかに行ったんですか?』
「…空却はここだよ」
灼空さんが襖を開けるとそこには
『空却…!?』
そう、布団で簀巻きにされている空却がいたのだ
灼空さんが空却の口に巻いていたタオルをスッ…と外すと
「早くこれとりやがれクソ親父!!!」
外した瞬間罵詈雑言だなと思っていたら灼空さんがまたスッ…とタオルを口に巻いた
『グフッ』
さすがにこれには笑ってしまった。
私が笑ったことに腹を立てたのか空却はカッと睨みつけてきたが今空却は簀巻きにされている全くもって覇気がない故にゴロゴロとのたうち回っていて怖くない、
今、 私は最強ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ
『空却、なにかしたんですか?』
笑いを堪えるがために少し想像したらわかるようなことを質問する
「ああ、空却のやつまた掃除をサボってね、」
『なるほど…… 』
可哀想だと言わんばかりに相槌をうつ
「そういえば名前さん、時間は大丈夫かい?他に配達とかは…」
『今日の分はもう終わりです、私は主に午前中の配達なので、あとは兄に任せます』
「そうなのかい、ならもう少し休んでいきなさい、今お茶を用意するよ」
『ありがとうございます』
軽く会釈をするように頭を下げる
お茶を用意しに部屋から出ていった灼空さんを見届け、ふと空却の方を見る
『…』
やはりのたうち回っている
ああ、こいつはしばらく諦めねぇなと思った
私の視線に気づいたのか空却がふと助けやがれと言わんばかりの視線でこちらを見る
『灼空さんの許可が降りるまでダメです』
くっ、視線が痛い…
「お待たせしたね、名前さんが持ってきてくれた和菓子も持ってきたよ、」
『え!?いいんですか!?』
いつも和菓子は自宅で食べているが人のお家で食べる和菓子は別格だ
「名前さんが持ってきてくれたとしても名前さんもお客だからね、菓子を出さない訳にはいかないだろう」
『確かに、そうですね』
やはり灼空さんは大人だ、思考が立派すぎる大人だ…うちの父にも見習って欲しいものだ
「突然だがこの後予定があるから少し寺を留守にしても構わないかい?」
「空却は簀巻き状態だが何かあったらとっても構わないから」
『わかりました』
また笑ってしまいそうになったが空却をこれ以上不機嫌にさせては後々が大変だと思って必死にこらえた
部屋の窓から空厳寺を出る灼空さんを少し見て、すぐに空却の方に目をやる 諦めたのか少し虚ろな目をしていてまたもや笑いそうになった
『空却』
私の声に反応したのかすぐにこちらを見るそしてまた、あの視線を向けてくる
『はいはい、わかったよ』
スッ…と灼空さんがしたようにタオルを外す
「やっととりやがったか」
やはり不機嫌だ
『ごめんって』
タオルを外したらすぐに机の方に向かってジトっと見つめてくる視線に気付かないふりをしてお茶を飲む
「おい…」
『んー?』
「この布団もとりやがれ」
『はいはい』
「…」
簀巻き状態から開放された空却はあぐらをかき、頬ずえをつきながらいかにも不機嫌オーラを出している、実際不機嫌なのだが
空却は何もしないし何も言わない状態だったのでしばらく放置していた、別に気まずくともなんともないし、今日はお天道様がよく出ていて日向ぼっこにはちょうどいい気温だった私が縁側に出てよく空厳寺に来る愛らしい三毛猫と戯れていたら
「おい…」 と突然空却に呼ばれたので
『なにー?』と言い振り返ると
ガバッといきなり空却に布団で巻かれたのだ
しまった完全に油断していた今度は私が簀巻き状態だ ジッと睨みつけながら空却を見ると今まで不機嫌だった空却は楽しそうに、
ヒャハッ!と目を細めながら笑っている、正直腹立つ私は何もしてないのに…と過去の記憶を辿っていると あ、あったしかも全然過去じゃない、幸い口にタオルを巻かれていなかったからまだ口答えができるいやこれは口答えじゃないただ誤解をとこうとしているだけだ
『あ、あのぉ…空却?』
「…」
『空却さん?』
空却はただ何も言わずに次は何をしようかと企んでいるような目でこちらを見ている腹立つ超えてもう怖い…とか考えてると
「拘束プレイみてぇだな」
『は?』
待って待っていくら灼空さんがいないとしてもここは寺、というか簀巻き状態で拘束プレイって何!?またもや色んなことを考えてると
ガバッと音がした、狭い、
『空却?』
「あ?なんだよ?」
『何してんの?』
「見りゃわかんだろ」
うん、わかるわかるけどさ、なんで自分で私の事簀巻きにしたのにその簀巻きの中に入ってきてんの?言いたいことは色々あったでも、それよりも 顔が近い…こんなに顔が近くなったのはいつぶりだろうか…空却とはよく話していた会わない日の方が珍しいんじゃないのかというくらい会っていたでもこんなに顔が近くなったのはほんとに久しい…またまた余計なことを考えてた
「何考えてんだよ」
また不機嫌な声に戻った、しかも急に私を抱き枕のように抱きしめてくるので首締まるがなと思い、私も仕返しで、抱き枕を抱きしめるように力いっぱい空却を抱きしめたそれでも空却は満更でもなさそうに笑った、仕返しをするつもりが逆に喜ばせてしまったと一瞬で理解した、てか狭い!!!!!!!!
『空却、狭い』
「別にいいじゃねえかお前と近くて」
『それはそうだけど、今私たち簀巻き状態だよ、せめて簀巻き状態から解放して、』
「はいはい、」
空却は面倒くさそうに布団と私たちを縛って簀巻き状態にしていた縄をといた、あ、こいつめっちゃゆるゆるに縄しばってやがる、しかも私には解けないくらいの強さで調節してやがる最初から入るつもりで縛ったのか、まあとりあえず空却からも布団からも解放されて、はぁーと一息ついていたらまたもや空却に後ろから私の肩に顎の乗せて抱きしめられた、ほんとに首締まるがな
空却が私の肩に顎を乗せたまま、部屋の棚を漁っていた
「お、Swi○chあんじゃねぇか」
「十四がどこに置いていったか忘れてたわ」
『懐かしい、十四くんのSwitch見たの久しぶりだ、』
「ヒャハッ、お前獄と十四と全く予定合わねぇもんな」
そう、ほんとにそうなのだ私だって獄さんと十四くんと遊びたいのに色々と予定が合わない…もし会えてもBad Ass Templeが揃っている時に会えたことはほんとに片手で数えられるほどしか会えていないのだ、そしてこの十四くんのSwi○chは、Bad Ass Templeが揃っている時に4人で遊んだものだ、そしてそしてなぜここに十四くんのSwi○chがあるのかというとあまりにも空却が楽しそうにしていたため、十四くんの善意で名前さんと2人でお家デートする時に使ってくださいっす!と言って、貸してくれたものだ、十四くんによるとライブやらなんやらであまりする時間が無くなってほぼほぼ使ってなかったらしい、まあBad Ass Templeが集まるとしたらだいたい空厳寺だろうし、空却も十四くんも獄さんも楽しそうにしていたし、正直私も楽しかった、だいぶ話が逸れたが、空却とお家デートといってもSwi○chはほぼほぼしなくて、私たちがすることは修行かお経を読むか、日向ぼっこなのだ今思えばだいぶ渋いような気もするが、
「おい、また余計なこと考えてんだろ」
『あ、ごめんただ少し眠くて、』
「拙僧と一緒に寝るか?拙僧が子守唄歌ってやんよ」
『ああ、うん、』
しまった眠くて適当な相槌を打ってしまったどうしてこんなに眠いのだろう、こいつは布団に睡眠薬でも仕込んであるのか?と疑問に思ったが、とりあえず今日は少し脳を使いすぎてしまった、そういえば最近あまり寝てなかったな、私は空却の子守唄を聞く前に眠りについてしまった
オレンジの光が当たって少し眩しい、ん、?オレンジ?しまった今何時だと思った矢先に5時のチャイムがなる襖の奥からは空却と灼空さんの話し声が聞こえる少しぼーっとしながら少しづつ脳を完全に目覚めさせていく、布団から起き上がろうとしたらちょうど空却が入ってきた
「おー起きたか、」
『ごめん、子守唄聞けなかった』
「ヒャハッ!そこかよ」
確かに、何言ってんだ私は
「まあいい、飯食ってくか?」
『いいの?』
「おう、親父も大歓迎だとよ、」
『ありがと、じゃあ遠慮なくお夕飯食べさせてもうよ?』
「おう、」
空却が優しく笑う、あ〜好きだなぁ
美味しすぎるご飯を食べて、お風呂に入って空却の布団でゴロゴロしていたこの布団の持ち主は現在お風呂に入っているところだ、まぁそんなことはどうでもいいのだが、空却には言っていないが、私はバリバリの腐女子なのである。そして現在ハマっているのは獄さんと空却のカップリング、そう、ひとくうなのである。今日も今日とてひとくう妄想と行きまっか、空却といる時は顔がニヤニヤするorそんな妄想する暇もないので今が絶好のチャンスなのである、なんで空厳寺まできてそんなことするのかというと、ここは空却の匂いが染み付いている、つまりはもっと詳しいところまで妄想できるのだ例えばこの私がゴロゴロしている布団、この布団は空却と獄さんがあんなことやこんなことをした布団、
『は……!!!』
いけないいけない思わず声が出てしまった、こんな神聖な場所で私はゴロゴロしていたのか、、、(?)ふと、空却の足音で我に帰る、いけないいけない私はなんて妄想しているんだ、
「ヒャハッ!!」
『うわっ!』
空却が笑いながら布団に飛び込んでくるので普通に避ける
『おい、なんで避けるんだよ』
「普通に避けるでしょ…」
まぁ、そんなこんなで布団に潜る僧侶さんの朝は早いので寝る時間も早い、もちろんここに泊まりに来ている以上、私もその生活リズムに慣れなければならない別にそこは気にしてはいないが、こいつ思った以上に寝るの早いな…
『ぐへぇ、』
空却が少し寝息をたてながら私に抱きついてくる、いや、これは抱きつくというのだろうか、空却の腕の位置がちょうど首あたりにあってだいぶ苦しい、そっと、空却を起こさないように空却の腕の位置を変えて瞼を閉じる、そういえば彼氏でBL妄想するって他の方はどう思うのだろうか、今度腐友の十四くんに会ったら聞いてみよう、と最後に余計なことを考えて私も眠りにつく、
終
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