テラーノベル
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夏休みが終わっても、まだうりに会いに行った。秋も、冬も。冬は寒いからって言ってうちによく来ていた。春も。
──そして、また夏も。
君が大好きだと言うから、たくさん話したし、君のためにたくさん歩いた、冒険して話を探した。君が笑ってくれる最高の笑顔の瞬間に居合わせるために。
『あー、やっぱ好きだわ、俺この世界が好き。』
「ん?どうしたの急に。」
『人間として生きたいわ。お前以外とも話して、お前のこともっと知りたい。』
「笑、そっか。」
『笑、本気だからな。』
「うん、知ってるよ。」
『いやぁ~本当に、夏って暑いわ。』
「ガチで溶けるよ笑」
──────こんな平凡な会話で終わるのはどうか、どうか。
学校から帰ってきて、いつもの道を曲がると、君が、、、うりが、、
──── 血を流して倒れていた。
なんでなんで、、なんでだよ。
「なんでッ…誰が、、いや今はどうでもいい。」
どうしよう、どうしよう、どうしよう。
── 唾液、傷を治せる、人の体液、
ふと頭に浮かんだ言葉。
「あ、それだ。」
ねこの姿なのは納得がいかないけれど、君にキスをして俺の唾液を君と混ぜるようにした。君の傷が良くなりますように、良くなって、またあの時みたいに話せますようにって。
『あ、、ゆあッ』
「喋んないでッ」
もういっかい、もういっかい、もういっかい
君の傷が和らいでるのが見えて、自分の水分がなくなっても、君を生かすつもりでキスをし続けた。
「大好きだから、生きて欲しいから。」
『ありがと、でもな。俺ねこだから』
『どうせ────あと数年で死んじまうよ。』
「知らないよ、だからここで死んでいいって?バカみたい。なら、、、死ぬんだったら数年後死ねよ。今じゃないだろ。」
『はは笑言うようになったな笑』
随分良くなっていたので口をとめた。
「うり、何があったの。」
『襲われた。クマに。この辺でるだろ?笑』
『それだよ~人間も襲われるあれ!クマの神様に怒っとかないとな笑』
「ッ…泣」
『死なないから。俺、大丈夫。』
「ほんと?」
『俺嘘ついたことある?』
「ない」
『ねー?だから大丈夫。』
「うり、本当だよね?」
『ゆあんくん、伝えたいことがある。ずっと言いたかったんだ。多分ゆあんくんが言うことと同じ泣きがするけどさ、』
『あ、ッ ──────』
「うりッ!?」
うりは、いつも背中に背負っていた小さなねこ用のリュックだけを残して跡形もなく消えてしまった。
うりがここにいたという証明は近くに落ちてるうりの血と、毛繕いで出た毛、くらいだった。
ずるい、うりの存在は嘘だったみたいに、消えちゃうなんて、、、ずるい、最後までうりは馬鹿だ。
リュックの中には俺が前あげたうりの瞳色の石、綺麗な貝殻。
── そして、いつ撮ったか分からない、俺とうりのツーショットの写真だった。
ちゃんとフレームに入れて。
「なんだよそれ、ッ、泣」
ずっと、ずっと、持ってたのかよ。
「馬鹿ッ…、愛してるよ、うり、ッうりぃ、」
満足できるまで泣いた、満足なんて一緒できる気がしなかった。うりが、いない世界が嫌だ。でも、
────君が好きだと言ったこの世界でもう少し生きてみようとは思った。
コメント
3件
見るの遅れた … 一回死んでこよう😇 待って急展開すぎる ⁉︎ そっか 、 urくん猫だからお先長くないのか … 😭 跡形なく消えるのが1番悲しい … 🫠