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ジワリと肌に纏わりつくような熱気が僕達を包む。息苦しさを覚える程の熱気だ。蒼の髪ゴムで一つに纏めた髪が首に纏わりつき鬱陶しさを覚える。カラン、と音を立ててグラスの中の氷は茶を薄めてしまう。その涼しげな音で、僕はあの夏の日を思い出す。僕たちが出会ったあの日のことを。
一話 邂逅
「暑すぎ!!!!!こんなの溶けちゃうよ!」隣を歩く幼馴染、日野深春はそう言って団扇をバタバタと扇ぎながらゾンビの様に、前をふらふらと歩く。『確かにね。汗が止まらないよ。』そう言うと、「絶対思ってないでしょ!!!乙部、汗全然かいてないじゃん!」と怒られてしまった。そうやって他愛無い会話を楽しんでいると、急に視界が白で埋め尽くされた。どうやら、近くを通った人が書類をぶちまけてしまった様で僕の眼前にまで書類が風で飛んできてしまったらしい。『すいません!!!!拾って頂けませんか!!!』白の次に、僕の目に映ったのは蒼。透き通る、美しい蒼。その瞳の美しさに、つい息を呑む。透き通る様な白皙に、対照的な黒の髪。僕は一瞬で彼の虜にされてしまった。俗に言う、『一目惚れ』というやつだ。
「好きです。」
気づいたら、手を握ってそう言ってしまっていた。