風神「……ちょっと奥見てくるね。冬乃ちゃんはちょっと待ってて。」
冬乃「……はい」
回復を終え、風神は奥へ進んで行った。4人も意識が戻り、無事に帰れそうであった。
冬乃「……来て」
冬乃がそう呟いた。
魔法使い「ん?」
冬乃「来て」
盗賊「はぁ……?」
恐る恐る4人が近づく。
冬乃「もっと。近く」
壁に背を預けて、正座の姿勢でいる冬乃の足にほとんど乗る形になった時、不意に4人まとめて抱きついた。
冬乃「良かったよぉーー!みんな生きてるぅーー!風神さんから話聞いた時には血の気引いたよー!」
泣きながらそう言う冬乃。
巫女「……心配かけてすみませんでした」
盗賊「まあまあ、俺ら生きてるんだしさ、そう泣くなって」
冬乃「うぅ……子供に慰められてる……」
魔法使い「私達には早かったのかな、やっぱり」
狩人「まさかあんなこと出来るなんて、見た時は怖かったなぁ……あれ?いない……」
魔法使い「ん?ほんとだ」
見ると、ジャンプの姿が消えていた。
巫女「いつの間に……?」
冬乃「でもさ。逃げるっていうのも考えた方が良いと思うよ。」
4人は一斉に振り返った。
冬乃「私は戦いのこととかよくわからないけどさ、逃げることって負けじゃないと思うんだ。だって逃げてももう一回行けばもう一回戦えるでしょ?負ければ命まで取られるなら、負けたらリベンジも出来ないじゃん。これは戦い以外でもそうだけどさ、逃げるって言うのは戦略の一つだと思う。だから」
そこで冬乃は1度言葉を切り、続けた。
冬乃「いつでもこっちに逃げておいで。リベンジ、手伝ってくれる人がいるはずだから。」
風神が奥のアイテムを取って戻って来て、ホームに帰ると、剣豪が鬼の形相で待っていた。
剣豪「分かってるな?ちょっと来い」
そのまま4人は連れていかれてしまった。
魔法少女「あぁーちょっと私今書いてる魔方陣の続き書かなきゃだから!じゃあねー!」
魔法少女が逃げるように去っていった。
冬乃「あーちょっと!あれ?ジェネラルさんは……」
雷神「逃げたよ。依頼受けに行っちゃった」
冬乃「あの人なら何とかしてくれると思ったのに……」
雷神「ま、一回怒られといた方が良いんじゃない?」
冬乃「……まあ、元はと言えば悪いのは……まあそっか……」
風神「そうだ、狂戦士ちゃんにこれ。ダンジョンの奥で見つけたんだ。」
狂戦士「ふーん……これって地図!?」
風神「こんなことがあった直後にちょっとアレだけど。狂戦士ちゃん位強ければ行けるでしょ。」
狂戦士「ありがとう風神さん!騎士ー!ダンジョンの地図貰ったぜ!」
狂戦士が騎士の元に走っていく。そこで、剣豪が帰ってきた。
剣豪「ったく、世話の焼ける奴らだ」
4人は珍しくしおらしい様子で、部屋に帰っていった。狂戦士は剣豪を見つけるとすぐに手を振って呼んだ。
狂戦士「師匠!ダンジョンの地図貰ったんだ!一緒に行こうぜ!」
剣豪「ふーん……」
剣豪が地図を広げる。
剣豪「ここ……かつてのプラチナ鉱山か?そう言えばプラチナ鉱山入れなくなってからプラチナの値段上がったって鍛冶屋の奴が言ってたっけか?よし、分かった。考えて……」
そのとたん、剣豪の脳内に声が流れる。
剣豪「おっと。悪ぃ。……」
あからさまに顔をしかめ、剣豪はどこかへ行ってしまった。やがて戻ってくると、
剣豪「狂戦士、悪いがダンジョンは無理だ。他を当たれ。あと、しばらくここには戻らねぇ。」
とだけ言い残し、部屋に戻っていった。
翌日。狂戦士と騎士は剣士と重戦士を連れてプラチナ鉱山にやって来ていた。壁や天井、床にもプラチナが顔を出しており、狂戦士達が持つランタンの光を反射して星のように輝いている。
重戦士「それで私達に話が回って来た訳ですか……言ってた奴がいるかも知れないんですよね?」
剣士「私の剣じゃあ折られてもおかしくないよね……?うわぁ……でもこんな時に師匠はどこ行っちゃったんだろう?」
騎士「さぁ……」
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ありがとうございます✨