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どんどんっ、、、
体育館にドリブルの音が響く。
俺、一ノ瀬裕翔は、全国大会をかけたバスケットの試合の最中だ。
桃香「ラスト1分ー!!」
マネージャーの声を耳に、俺の走るスピードは上がった。
2年「裕翔!行け!」
チームメイトからパスを受け、俺はゴールに向かって全力で走った。
チーム 「「「いけぇっっ!!!」」」
チームの声援を受けながら俺の放ったボールは、空中に軌跡を描きながら、ゴールに吸い込まれていった。
と同時に
試合終了を告げるブザーがなった。
桃香「わあっ———!」
2年「勝った勝った!!全国だぞーっ!」
2年の夏。俺たちのチームは、強豪校の一つとして、数えられるようになった。
顧問「、、、と言うわけで、今年から新入生が入って来た。昨年の全国大会の結果は悔しいものとなったが、出た経験というものに、価値があるものだと、俺は思っている。今年は新入生の教育に力を入れながら、日々の練習に励むように!」
チーム「「「はいっ!!」」」
ミーティングが終わり、俺たちは帰る支度を始めた。
俺も先に荷物をまとめていると、書類を抱えて、一年生の氷室蒼馬が話しかけて来た。
蒼馬「先輩。このファイルって、、、」
裕翔「ああ。そこ置いといて大丈夫。ありがとな。」
俺は今年、バスケ部の部長に立候補した。
大変なこともあるが、副部長がサポートしてくれることもあって、楽しく活動できている。
桃香「いやー。なんか今年の一年生は粒揃いだねぇ。もしかして、今年も全国行けちゃうんじゃない?」
バスケ部マネージャーの沖本桃香がニヤニヤしながら寄ってきた。
今年入って来た一年生は14人。
人数はだいたい例年通りだが、基礎もしっかりしているし、難しい練習にもついてくる。
桃香の言う通り、今年の一年生は優秀だった。
蒼馬「先輩、先帰りますよ?」
裕翔「おう。俺も終わるからちょうどいいや。」
裕翔・蒼馬 「「ありがとうございました!」」
体育館にお辞儀をしてから、俺たちは並んで帰路についた。
蒼馬とは、電車も一緒だし、最寄駅も一緒。
今年になって初めて会ったけど、一緒に帰るうちに、なんとなく話すようになったし、向こうも心を開いてくれた気がする。
裕翔「しっかし、本当に今年の一年は豊作だよ。特に蒼馬。お前のそのねちっこいプレースタイルはどの選手も嫌がるだろうな笑。」
蒼馬「ありがとうございます?」
不思議に語尾が上がった蒼馬を横目に見ながら、俺たちは電車を降りた。
裕翔「じゃあ俺こっちだから。蒼馬も気をつけてな。」
蒼馬「ありがとうございます。さようなら。」
蒼馬と別れてから、俺はふとため息をついた。
裕翔(ありゃあ、次の世代のエースに決まりだなあ。にしても、スポーツもできるし、勉強もできるらしいし、、、付き合ってたりしねえのかな。)
そんなことを考えたら、急に胸がもやっとした。
苦しいような、悲しいような、不思議な気持ちが頭の中をかき混ぜていった。
ぐるぐるするような気持ち悪い感覚を振り解こうと、俺は家に向かう足を早めた。