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神社へと猛ダッシュしながら、あたしは考える。
なんで今まで九弧化しなかったんだろう?
というかなんであたしは九弧として生まれたんだろう?
疑問しか浮かばない。
はぁ…マジでどうしy
「あっ、すみませ…」
「あれ、モモちゃん?どこ行くの?」
…最悪だ。
聞き覚えのある声がして、あたしは顔をあげる。
予想は的中、翠だった。
よりによって急いでるときに…!
「そっちこそなんでこんなとこふらついてんのよ」
「え、散歩」
「誰が散歩で神社にくるのさ」
「俺」
「お前な…」
「ところで、モモちゃんも神社に向かってるんじゃないの?」
「そうだけど。悪い?」
「悪くはないさ。ただ…」
「ただ?」
「…いや、なんでもない。また明日ね」
「一昨日来い」
一昨日来いって、二度と来るなって意味なんだよね。
とりあえずあたしは翠の横を通り抜け、神社の敷地に足を踏み入れた。
そして、掃除をしている神主さんに話しかける。
「か、神主さん!これって九狐化を自分で制御する方法ってありますか!?」
「できなくはないと思います。でも修行が必要です」
「修行ってどれくらいかかりますか!?」
「少なくとも1週間以上は必要ですね。私の知識内ですが」
「\(^o^)/オワタ…」
「きっと大丈夫ですよ、あなたなら」
「ありがとうございます…(´;ω;`)」
「いえいえ、またお待ちしていますね」
あたしはお礼を言って神社を出た。
どうしようーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!
儀式に1週間もかかるなんて!!
しかも儀式って何をすればいいの!?
もう諦めるしかないか…
なんて考えながらアオの家に行こうとした瞬間。
ぼんっ
音で分かる。
九弧化してるわ、これ。
よりによってこのタイミングで…!
慌ててあたしは人気のない路地裏に駆け込んだ。
頭に触れると、ふわっとした感覚。
頭に神経を集中させてみたり、漫画で見た制御の呪文を唱えてみたりしたけど、効果はゼロ。
「はぁ~…」
どうやらその呟きが命取りだったみたい。
路地裏に、何人かの男の人が入ってきた。
あたしの方を見てる。
さっきの呟きで、この路地裏に人がいることがバレちゃった!?
気配で分かる。凶器を持ってる…
今のあたしには(元のあたしにも)攻撃力どころか武器すらない。
凶器持ちの男を相手に、勝てるわけない。
それもぱっと見10人はいる。
しかも九弧化中。
『おーい、そこのお嬢ちゃん』
『オレたちとイイことしな~い?』
「…し、しません」
あたしはとっさにそう答え、後ずさりした。
『そう言わなくても~。オレたちみたいなイケメンに話しかけられて断るわけ?』
「あんたたち翠ほどイケメンじゃないし」
『翠?誰それ、彼氏?』
『いいこと聞いたじゃん、こいつ囮に使えそう』
『お嬢ちゃんお金持ってそうだし~。おい、財布出せよ~』
「嫌です。そういうの、やめてください」
『チッ…テメェ、オレに逆らうの?』
がん
肩に男の持っていたバットが直撃する。
痛い!
『てかこいつ、耳と尻尾ついてるじゃん』
『キモッ』
『さっさと脅して金取ろうぜ』
男たちのがあたしの腕を掴んできた。
力つよっ…!
いや、感心している場合じゃない。
何とかして逃げないと。
「は、離してください!」
『誰が離すかよ、こんな金持ってそうな女!!』
バンッ!
背中から思いっきり壁に激突した。
衝撃で頭がくらくらする。
続けざまに殴られて、あたしは床に座り込んでしまった。
あいにく今は財布持ってないんだよね…
『早く金出せ!!』
「げほっ…今は持ってないです…」
『嘘つくんじゃねぇ!!』
ジャキン
なんで彼は銃持ってんの!?
ここ日本だよね!?
銃刀法違反じゃん!!
男はあたしの胸ぐらを掴んでくる。
『大人しくしろ。痛い目みるぞ』
カチャっていう音がした。
弾が込められている。
火薬の匂いがするから、どうやらもうすでに撃ったことのある経験者だろう。
バンッ!!!!
コンクリートが凹む。
九狐化が初めて役立った。
あたしは素早く動けたおかげで、ギリギリで弾を回避する。
『この野郎!!!』
どうやら今回は逃げれなそうだ。
頭に銃口が当たっている。
あたしはここで終わり?
嫌だよ、まだ彼氏だっていないもん!!
『運が悪かったな、お嬢ちゃん』
あたしはギュッと目を瞑った。