「…よし。」
あれから家にお邪魔してご飯を食べてまったりして、今は夜中の1時過ぎくらい。舘さんのご好意で俺はベッドに寝かせてもらい、リビングのソファで舘さんが寝るというかたちになった。そろそろ寝ただろうと思いそっと寝室を抜け出し、リビングに行く。ソファで寝ている舘さんの肩が不規則に揺れているのを見て起こさないように近くに寄る。やっぱり舘さんは泣いていて、でも眠っていた。
「…舘さん、舘さん。」
「…っんぅ…は、ぇ…ラ、ウ…?」
「どうしたの?怖い夢みた?」
「…や、…ぇ…なん、で…?」
「泣いてるから、ずっと。」
「…ぇ?…あれ…?…あ、ぇ…止まんな…っ」
やっぱり舘さんは自分が寝ながら泣いているのに気付いてなかった。
「とりあえず深呼吸しよ。」
「ひっ、く…ん…すぅ…は、ぁ…」
「うん。上手。」
暫く深呼吸を続けていると落ち着いてきたようだった。
「ラウ、も、大丈夫…」
「よかったぁ。…何かあったの?」
「っ、隠せないかぁ…」
諦めたように笑った舘さんはソファから起き上がった。
「…俺さ、舞台やらせてもらったじゃん。」
「うん。」
「義賢がさ病に侵されながらも戦って…だけど平家の軍にやられて死んじゃう場面があるんだけど…」
「…」
「…最近似たようながずっと夢に出てくるの、そのシーンがってことじゃないんだけど。」
「…うん。」
「…俺たちが大切にしているこのグループを俺が守るの。理不尽な世の中から。…かっこいいでしょ 笑 」
「…うん、かっこいい。」
「…冗談だよ。…毎回毎回守れるんだ。嬉しい…はず、なのに…」
「…?」
「…そこに、俺がいることは、許さない、んだよね。」
「…」
「毎回毎回死んで、毎回毎回俺以外のメンバーが輝いてるの。…でも俺だけがいない。俺だけが弱って、死んでいく。」
「…」
「泣いてたとは思ってなかったけど…それが、寂しくて…とても、怖かった。」
「…そっか。」
「うん。…ってこんな話されてもって感じだよね、ごめんね。まだ夜遅いから寝てもいい…」「舘さん。」
「…何?」
「…また我慢するの?」
「…え?」
少し赤い目をまるくして舘さんはこちらを見る。
「また年下だからって、かっこよくいなきゃって我慢するの?」
「…え?我慢…?してないよ、気の所為じゃ…」
「気の所為だとしたらなんで泣いてるの?」
「っ…」
「…何で目が赤いの。」
「…」
「年下とか関係ないじゃん。もう同じグループでメンバーじゃん。俺にも舘さんの悩みを一緒に抱えさせてよ。」
「や、ほんとに、大丈夫、だから…」
「…舘さん…」
頬に涙が伝った感覚がした。そんな俺を見て慌てる舘さんの腕を掴む。
「ねぇ…お願いだから…突き放さないでよ…」
「…ラウール。」
「…」
「本当に大丈夫なんだよ。こうやって心配して泣いてくれるだけで嬉しいんだよ。」
「…」
「話聞いてくれてありがとう。」
「…」
「トイレ行ってくるね。ラウはもう寝てていいからね。」
そう言って舘さんはその場を離れた。涙が収まった頃、中々出てこない舘さんが心配になり、そっとトイレの近くに行って声をかけようとした瞬間だった。
「…っゔ…あ゙ぁ…ゔわあぁぁっっ…」
声をあげて泣いている声が聞こえてきて胸が苦しくなった。リビングに戻ってソファに横になり、また声を押し殺して泣いた。
コメント
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凄い✨めっちゃこの物語大好き♡…
主さんの物語大好きです! これからも応援してます☺️ ありがとうございます😭