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わあ、七夕回きた~!部員たちの掛け合いがもうほんと微笑ましいし、個性がしっかり立ってるよね。蘭先輩の「気分」で今年が第一回なの、めっちゃ好き(笑)。全体的にゆるくて温かい雰囲気なのに、須千の「見たことあるよ」の一瞬の切なさが刺さる……。あの寂しげな笑顔、何か背景ありそうで気になりすぎる。みんなで星を見上げるラスト、すごく綺麗だったよ。続きが待ち遠しい!
七月七日。
天文部にとって、特別な日がやってきた。
蘭「ということで!」
放課後、屋上に集まった部員たちを前に蘭が高らかに宣言する。
蘭「第一回! 天文部七夕祭を開催します!」
いるま「第一回?」
いるまが首を傾げる。
いるま「去年もやってなかったか?」
尊琴「去年は第二回だよ」
いるま「じゃあなんで今年が第一回なんだ」
蘭「気分」
いるま「なるほど分からん」
即座にツッコミが入る。
そんなやり取りを聞きながら、こさめはくすりと笑った。
屋上には笹が一本立てられている。
色とりどりの短冊が風に揺れていた。
こさめ「願い事書くんだよね?」
蘭「そう!」
蘭が頷く。
蘭「七夕といえば願い事!」
捺「部長は何書くん?」
捺が聞く。
蘭「秘密です」
捺「絶対ろくでもないやつやろ」
蘭「失礼だなぁ」
ろくでもない顔をしていた。
尊琴「らんらん顔に出てるで」
尊琴の一言で全員が吹き出した。
短冊とペンが配られる。
こさめはしばらく悩んだ。
願い事。
何を書こう。
宇宙のことだろうか。
星のことだろうか。
結局、『たくさん星が見られますように』と書いた。
須千「こさめちゃんらしいね」
隣から須千が覗き込む。
『スルメイカがたくさん食べられますように』と悩んだのは内緒にしとこう。
こさめ「すっちーは?」
須千「内緒」
こさめ「ずるい!」
須千「ふふ」
珍しく須千が少しだけ笑った。
捺「できたー!」
捺が勢いよく短冊を掲げる。
いるま「見せろ」
いるまが奪い取る。
そして数秒後。
いるま「お前何書いてんだ」
捺「え?」
捺『一年分のクレープください』
捺「大事な願いやぞ」
いるま「織姫困るだろ」
捺「知らん」
いるま「開き直るな」
屋上が笑いに包まれる。
須千「みこちゃんは?」
尊琴「俺?」
尊琴は少し考える。
尊琴「秘密かなぁ」
こさめ「えー!」
尊琴「願い事は言うと叶わないらしいよ」
蘭「それっぽい」
風が吹く。
笹がさらさらと揺れた。
夕暮れの空には、まだ星は見えない。
けれどもうすぐ夜になる。
天の川も顔を出すだろう。
こさめ「そういえば」
こさめはふと須千を見る。
こさめ「すっちーって前から思ってたけど、星詳しいよね」
須千「そうかな」
捺「そうだよ」
捺も頷く。
捺「なんか知識の量がおかしい」
いるま「確かに」
いるまも同意した。
いるま「星座の話とか、天体の話とか。」
いるま「まるで実際に見てきたみたい」
一瞬だけ。
須千の表情が止まった。
須千「……見たことあるよ。」
小さな声だった。
こさめ「え?」
須千「何でもない。」
須千は微笑む。
いつものように。
でもその笑顔はどこか寂しそうだった。
◇◇◇
その夜。
天文部の六人は屋上に座っていた。
頭上には満天の星空。
そして夏の天の川。
いるま「綺麗だな」
いるまが呟く。
誰も返事をしない。
返事をする必要がなかった。
みんな同じことを思っていたから。
星は遠い。
手を伸ばしても届かない。
それでも見上げてしまう。
その中で須千だけは静かに空を見つめていた。
まるで懐かしい故郷を見るように。
そして誰にも聞こえない声で呟く。
須千「まだ見つからないな……」
ほんとうの幸い。
その答えは、まだ少し先にある。
夜空を流れる天の川は、どこまでも静かに輝いていた。