ほう、ベジタリアンというよりヴィーガン的な、それもフルータリアン以上の拘(こだわ)りを持っている様である、言うなればホムスタリアン(腐葉土食)であろうか。
私がそんな風に思っていると、呆気に取られているナッキに向けてランプの言葉が続く。
「そういった食習慣を持つ私から見た時、皆さんの食べ物はどう映ると思いますか? その上で、私がこう言ったらどうですか、『生き物を食べるだってぇ、オエエェー』と…… 良い気分はしないのではないですか?」
「そ、そうかぁ…… 確かに良い気分じゃないね…… まるで僕たちの体は気持ち悪い物で出来てるって言われてしまったように聞こえたよ…… 判ったよランプさん、これからは他人の食べ物にとやかく言わないように気をつけるよ! 教えてくれてありがとう!」
「いえいえ、とんでもないです、それに話の本題はここからですので」
ん、ナッキが納得したというのにここからが本題? なのか?
ランプは先程よりも真剣な口調で言う。
「そんな我々、ニホンザリガニは自分の尿、おしっこを飲みます」
「は?」
「勿論好き好んで飲んでいる訳では有りません、口の上に排泄器官があるので強制的に飲まざる得ないのです…… それに比べれば他の生き物の糞(フン)位どうと言う事はない、そう思いませんか? ナッキ様」
ナッキは思った、
――――それっぽく話してるけど、要はスカトロ行為を容認しろと言っているだけの気もするし…… いずれにしてもこれ以上深入りするのは止めておこう…… 気持ち悪いし
「そうだね、生き物はそれぞれ、てんでバラバラだもんね、色々あるよ」
おためごかしを言って話を終わらせようとしたナッキであったが、ランプの話は終りではないらしく、今度は巨大なゴイサギ、ヘロンに向けて言葉を続けたのである。
「その巨体、アナタは鳥の王ヘロン様ですね、我が主、長老よりの言葉をお伝えする為に私が遣わされました」
「キトラから? 私に伝言?」
ランプは大きく頷いてから答える。
「他の鳥でなくアナタが来ていた場合はこうお伝えしろと言われております」
「ほう、聞こう」
「『ヘロン、お主たちが欲する特別な草とヒルは今の『美しヶ池』では手に入りはせんぞ』だそうです」
「な、何だと!」
ナッキは首を傾げながら思うのであった。
――――話の流れから察するに、ヘロンや鳥達があっさり協力を受け入れてくれた理由には、草とヒルが関わっているみたいだな…… それに特別か、ちゃんとヘロンやランプに話を聞かなくちゃならないな…… よしっ! メダカの|トイレ《ヤゴの住処》作りはティガにでも任せて詳しく聞いてみるとしよう!
「ティガァー! 頼みがあるからちょっと来てぇー!」
「お? 何だよナッキの王様よぉ、改まっちゃってよぉ!」
「ティガにしか任せられない仕事が有るんだよぉ、聞いてくれるかな?」
「俺にしか? 面白いじゃないか、どんな事でも任せておけよ! このティガさんが見事やり遂げて見せるからよっ、大船に乗った気持ちで良いぜっ」
やる気になっているティガの姿に、内心ニヤリとほくそ笑むナッキ。
面倒な仕事は彼に任せて、ヘロンたち鳥族がこの池に加わった本当の理由、それに色々事情通らしい長老に詳しい話を聞くためにヒットとオーリ、他の幹部たちも呼び集めるのであった。
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