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# omr _ .
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コメント
1件
うわっ、第10話めちゃくちゃ熱かった…!処刑犬の圧倒的な存在感と、それに立ち向かうモトキたちの連携がかっこよすぎる。特に零号体が「まもる」って言って飛び出したシーン、切なさと強さが混ざって胸にグッときたよ…。爆発後の静けさと雨の描写もグッとくる。続きが気になりすぎる!!
処刑犬は、低い唸り声を漏らした。
ぐるる、と。
地面そのものが震えているみたいだった。
黒い巨体。
異様に発達した牙。
薬液チューブが背中で脈打ち、紫色の液体が流れている。
その目には理性がなかった。
ただ、“命令”だけが残っている。
――捕獲。
――排除。
モトキの顔が強張る。
狼としての本能が理解していた。
勝てないかもしれない、と。
ヒロトは動けなかった。
身体が震える。
怖い。
あまりにも。
処刑犬は一歩踏み出した。
そのだけで、木々が軋む。
兵士達が叫ぶ。
「零号体をぶつけろ!」
「データを回収しろ!!」
「被験体は多少壊れても構わん!」
その言葉に。
零号体の赤い目が、ゆっくり細まった。
『……こわす?』
涼架が息を呑む。
まずい。
刺激したら。
零号体は静かに外へ出る。
裸足のまま、雨の中へ。
モトキが反射的に腕を掴んだ。
「待って」
零号体が振り返る。
モトキは真っ直ぐ見つめた。
「一人で行くな」
その言葉に。
零号体が少し目を丸くする。
“一人”。
さっき覚えたばかりの言葉。
モトキは牙を見せて笑った。
「家族なんだろ、オレ達」
ヒロトが目を見開く。
涼架も、少しだけ息を止めた。
零号体は理解できないみたいに瞬きを繰り返す。
『……かぞく?』
「そ」
モトキは肩を回す。
「だから、一緒に戦う」
零号体の胸の奥が、また変な風に熱くなる。
知らない感覚だった。
怖くない。
痛くない。
でも
妙に苦しい。
処刑犬が咆哮した。
轟音。
窓ガラスが砕け散る。
次の瞬間。
巨大な身体が突進してくる。
「来る!!」
ヒロトが叫ぶ。
モトキが飛び出した。
狼の脚力で側面へ回り込み、処刑犬の首筋へ爪を叩き込む。
だが
硬い。
金属みたいな皮膚。
「っ、硬……!」
処刑犬の尾が振られる。
轟音。
モトキの身体が吹き飛ぶ。
「モトキ!!」
木に叩きつけられる。
息が詰まる。
だが立ち上がる。
その瞬間。
ヒロトが処刑犬の背中へ飛び乗った。
猫獣人特有の軽さ。
素早さ。
薬液チューブへ爪を突き立てる。
「うあぁぁっ!!」
チューブが裂けた。
紫の液体が噴き出す。
処刑犬が暴れる。
咆哮。
ヒロトが振り落とされそうになる。
だが次の瞬間。
零号体が動いた。
消えたように見えた。
一瞬で処刑犬の眼前へ。
そして
片手で、巨大な顎を止める。
空気が止まる。
兵士達の顔から血の気が引いた。
四メートルの怪物を。
痩せた少年が、片腕で止めている。
零号体の赤い目が静かに光る。
『……うるさい』
ミシ、と音がした。
処刑犬の顎骨が軋む。
だが
次の瞬間。
処刑犬の目が赤く点滅した。
涼架の顔色が変わる。
「っ、自爆する……!!」
兵士達が逃げ始める。
「離れろ!!」
「爆発するぞ!!」
処刑犬の身体が膨れ上がる。
薬液が逆流している。
零号体は首を傾げた。
『……?』
涼架が叫ぶ。
「零号体、離れて!!」
だが
処刑犬は零号体へ牙を向けたまま、膨張を続ける。
この距離じゃ全員巻き込まれる。
ヒロトが青ざめる。
モトキが歯を食いしばる。
間に合わない。
その瞬間。
零号体は、ゆっくり涼架を見た。
『……まもる』
「……ぇ…」
涼架の口から情けない声が出た。
次の瞬間。
零号体は処刑犬を抱えたまま、山の崖へ飛んだ。
轟音。
信じられない跳躍。
そして
数秒後。
山奥全体を揺らす爆発が起きた。
閃光。
熱風。
木々が吹き飛ぶ。
ヒロトが目を覆う。
モトキが息を呑む。
涼架だけが、真っ青な顔で崖の方を見ていた。
「……零号体」
返事はない。
雨だけが降っていた。
静かに。
冷たく。