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私達が最初に名乗り上げたからかこいつらなら倒せると考えている大人たちが続々と名乗り出てくる。あまりにも哀れでしかない。逆に言えば私らを下に見てくれるならそれはそれはありではある。というのもそんななめ腐っていた相手に大人が負けるところを見せれば空気感も変わり危機感を覚えてくれるだろう。確かにこういう危ないことに巻き込みたくないという考え方は分かるがその方法があまりにも不器用すぎる。好きな子に意地悪したくなる子供と同じ思考回路をしているというのだろうか……。なんにせよ私らが力を見せるのにちょうどいい舞台なのは変わりない。誰であろうとサクッと倒してみせる。
「では、最初の試合はこの子達で決まりだが挑戦者はいるか?」
「なら、私らが行こうか」
そういい人込みの中をかき分け現れたのは自分たちよりも少し成長した女の子二人組だった。
「お姉ちゃん、あの二人って確か……。」
「えぇ、私らが嫌われているのはラルドもなんとなく気が付いてるだろうけどその中でもこの二人は特に私らが嫌いな子たちよ……。」
「よくわかってるようね?あんたら二人はいつも通り無関心でよかったのにねぇ?」
「うん。私もその予定だったんだけどラルドが言うことを聞かなくてね。」
「だってだって里内最強ってかっこいいじゃん!」
「ふん。所詮思考回路はおこちゃまね。」
「この子の動機は確かに不純だけど実力はあんたら二人より上よ?」
「イキった発言が後で自分たちの首を絞めないといいわね?」
啖呵を切った後お互い一度準備のため控えに戻る。
「さて、それじゃあさっきの作戦通りあんたも短剣を装備してね。」
「う、うん。お姉ちゃんも弓使うんでしょ?」
「まぁ、あくまでけん制用ではあるけどね。それと、戦いやすいようにこうやって髪も結んでね?私もそうするから。」
「あんまり私は髪を結ぶの好きじゃないんだけどなぁ……。」
「いいから、早く結んでね。」
準備を整えフィールドに立つ。すでに相手は準備を終えていたようだ。装備を見たところ魔法を放つための杖しか両者持っておらずいかに魔法頼りかが見て分かる。対する私らは、両方とも弓と短剣を装備し魔法攻撃を捨てているような構成となっている。こちらは魔法攻撃も防御も相手と比べると劣っているがその分この里のやつらが蔑ろにしてきた道具の扱いが長けているというアドバンテージがある。これをいかにうまく使うかが重要だが、それ以上に必要なのはコンビネーションというところだ。私らは姉妹ではあるが一緒に行動したことはほとんどない。それもそのはず、アクティブな妹とサボり魔の姉だ。平行線を辿るような性格の差でコンビネーションもクソもない。が、私らの強さは『姉妹』というところにある。戦闘に置いてともに行動をしていなくとも家族だからこそ性格を把握しているためそれほど支障はない。この二人には悪いが私らのサンドバックになってもらおう。
「それでは両者準備はよろしいですね?」
「いつでもいいですよ。」
「……試合開始!」
大妖精の合図とともに戦闘が開始される。先に動いたのは変に絡んできた妖精姉妹の二人、片方がけん制の魔法攻撃を放ちもう片方はバフをかけて戦闘を有利に進めようとする。
「おらおらおら!!私らの攻撃に防戦一方じゃねかぁ!?」
「……。はぁ、けん制用の攻撃で私らが押されるわけがないだろうに。」
「どうするお姉ちゃん?もう面倒くさいからさっき話してたやつで仕留める?」
「まだ少し泳がせておこう。とりあえずこちらも魔法で応戦するんだ。」
「わかった!じゃあ飛んでくる火球が邪魔だから吹き飛ばしちゃうね!」
「よしやってやれ。」
瞬間少女たちの前に小さな竜巻を作り出し火球をかき消す。
「さすがにこの程度じゃあ止められないか」
(それにしても彼女たちの年齢でこのレベルの風魔法を使えるのか……。私らの火球をかき消したあれは確かに一番弱い魔法ではある。が、練度が違う。例えるなら同じ条件下での料理を素人に作らせたのとプロに作らせたのとを比べるようなものだ。それをこの子達は幼いながらに私らに並んできている。これだけの才能を持ちながらあの子たちは杖を持ってきていない……。それは使わなくても私らを倒せると高を括っている?なんにせよ血の気の多い妹にはこれを伝えておかないとね)
「『ロム』この子達あまり舐めない方がよさそうよ。」
「『ハウねぇ』は慎重すぎる。こんな奴ら私たちの敵じゃあ……。」
「今放った風魔法の練度、私らと同格なのよ?私らは火力や強化を安定させるために杖を使ってそれでようやく安定してるのに、彼女らはそれを使っていない。この言葉の意味わかるわよね?」
「……。ちっ、分かったよハウねぇ。ハウねぇの助言はいつも確信を付いてるから信用する。でも、戦闘に関しては私がメインでね。これは譲れないよ。」
「えぇ。それは譲るよ。戦闘センスはロムの方が上なの私は理解してるからね。」
(なるほど……。ハウって呼ばれてる妖精は冷静でもう私らの魔法の練度を見切ったわけね。そうなると高火力の魔法同士の衝突もあり得る話になってきたな……。魔法の対処はラルドにそれは一任するか?いや、あの子は弓の扱いに長けている。ならここは私が気張るべきか……。)
「ラルド。少し話がある。」
「ん~?」
「相手は私らの魔法について感づいてる。恐らく魔法同士の衝突もあるだろう。その時は私が受け持つ代わりにあんたはお得意の弓で攻撃を続けてほしい。」
「わかった!お姉ちゃんはそうなった時、本気出すの?」
「相手の使ってきたものによるけどそうねぇ……。初陣を飾るなら派手にするのもいいかもね」
「なら、私もお姉ちゃんに見せたことないやつを見せて本気度を見定めてね!」
「ん?……。あ、あぁ。」