桃赤
青赤
彼に恋した瞬間を、僕は一生忘れないだろう。
あれは、中一の夏祭りの夜だった。
「なんでこんな雨の中夏祭り行くん….?」
「いーやんか!珍しい写真撮れるかもしれんし」
「いやいや….さすがに僕もう帰りたい….」
写真部の橙くんに雨の中夏祭りに誘われ、僕はいやいや雨で少し霞む視界の中傘をさしながら屋台の通りを歩いていた。
浴衣の上にカッパをきた人達がよくもまあこんな雨の中騒がしく歩いている。
もちろん僕も橙くんも浴衣は着ていなく普段着だ。
「花火始まるまで!!な!?チョコバナナ奢ったるから!!」
「….のった」
「ちょろすぎん?w」
苦笑する橙くんは見なかったことにする。
「青ー、紫ーくんがすぐ近くまで来てるらしくて、俺達と一緒に花火見たいって言うから連れてくるわ〜」
「りょ〜、僕ここで待ってるね」
「あ、悪いんやけどカメラ持っててくれへん?」
「はいはいw」
橙くんお目当ての花火がよく見えるスポットにたどり着き、僕は橙くんからカメラを預かった。
もうすぐ花火が始まる。
周りにはカップルばかりで少しイラつき、ヤケになって手に持っていた最後の一口のチョコバナナを口にほおりこんだ、
その時だった。
目線をずらした少し遠くに、淡い赤色の浴衣にビニール傘をさした華奢な子の後ろ姿が見えた。
「ぁ….」
その子が何故かこっちに向かってゆっくり振り返った途端、バァンと花火が上がった。
白い肌に映える、ほんのり赤く色付いた頬と唇。
サラサラと緩めにアップされた髪についている、椿の髪飾りが揺れる。
瞬間、その子の大きな綺麗な瞳が花火色に埋まりキラキラと光った。
そしてビニール傘や地面の水溜まりに花火が反射する。
それはまるでこの世のものではないような、天使が舞い降りたかと錯覚させるほど綺麗で儚くて
僕は無意識に橙くんのカメラを構えて、その子に向かってシャッターをきった。
….一目惚れ、だったんだと思う。
心臓をわしずかみにされたような、そんな感覚。
それからずっとその子のことばかり考えて、花火なんて視界に入ってこなかった。
と言ってもその子は桃色の髪の誰かに連れられてどこかにすぐ言ってしまったのだけれど。
「青この子誰なん?すっごい可愛い子やなぁ」
「えっ、いやぁ….」
帰り道。
写真を整理しながら歩いていた橙くんが首を傾げた。
「これトーサツやん。めっちゃよく取れてるけど消さんと」
「ちょっ、まま待ってよ!!」
慌てて橙くんのカメラをひったくると紫ーくんが不思議そうにその写真を覗き込んだ。
「あ〜、これ赤くんじゃん。俺クラス一緒だよ。」
「….あか、くん?」
「そそ、可愛いーよね!確か桃くんの幼馴染みで….あれ、青ちゃんの部のマネージャーじゃなかったっけ?」
“お疲れ様です!”
彼の笑ってタオルを差し出してくれた事が一瞬フラッシュバックした、と同時にさっき花火を見ていた時に彼の隣に誰かいるのも誰かわからなかったけど今何となくわかった。
「赤….くん、か」
君のあの姿が脳裏に焼き付いて消えないまま、僕は中二になった。
「あの子マジ可愛いよなぁ….」
「なぁお前話しかけてこいよ//」
「いや待てよ、心の準備がっ!!//」
新学期。
顔を赤くさせる男子達の話題の中心は、勿論赤くんだった。
窓の外をボッーと見つめ、サラサラの髪をなびかせる彼はいい意味で一目置かれおり、何故か話しかけにくいオーラを醸し出していた。
「…….僕、話しかけてこよっと」
「お、おい青!!//」
目を丸くさせるクラスメイトに笑いながら彼に近づく。
「ねぇ僕青っていうんだ___、」
話してみると顔の表情をコロコロ変えて、よく笑う子だった。時々ドジなとこをあって、ほんとに優しくて….意外にもノリが良かったり….もっと好きになってしまった。
そして、彼が隣に越してきた時は運命だと思った。
夢でも見てるのかな、なんて思ったし。
夢なら覚めないで、なんて馬鹿みたいなことを願ったりもして。
僕にはこの子しかいないと。
照れくさそうによろしくね、と笑う君が少し悲しそうな顔をして。
どうしたの、なんて聞かなくてもわかった。
だって、君の中は何時でも桃色の彼だったから。
僕の方がこんなに距離が近くなったのに。
物理的に距離が近くても、心の距離は遠い気がして。
僕が桃くんの代わりに、なんて何十回、何千回思った事か。
でも勝てるはず無かった。
過ごしてきた年月が、思い出が僕とじゃ浅すぎて。
悔しかった。悔しくてどうにかなりそうだった。
だけど、君には幸せになって欲しいから
笑っていてほしいから
応援した。
何度も何度抉られる心の傷は見ないふりをして
桃くんの行動1つに悲しい顔をする彼に僕も悲しくなって
友達、という肩書きで一線を置いて
君のそばにいた。
それなのに。
あの時の彼の泣いてる姿を見て耐えきれなくなってしまった。
だって神様は酷い。
僕の恋心はいつも一方通行で。交わることない。
これは桃くんと赤くんが結ばれるストーリー。
僕はモブに過ぎない。そんなこと自分自身が1番分かってる。
なら逆に、足掻いてみてもいいんじゃないか。
少しくらい夢を見てもいいんじゃないか。
“青ちゃんは優しいね”
君が僕だけに笑いかけてくれるのを。
ね、神様。それくらい許してくれるでしょ___??
――――――
桃くんに”大嫌い”
そう言われた日に
青ちゃんに”大好き”を貰った
詳しく言えば、あの日青ちゃんに好きだと告白された。
生暖かい風が髪を揺らして頬にかかって、
少し顔を赤らめて必死に言葉を繋いで、伝えてくれる彼はいつになく真剣で、
傷ついた俺には何だかカッコよく見え….
「赤くん、怪我するよ」
「ぇ、」
今日は青ママが遅くなると言うので、2人で夕ご飯を作っていると、鍋をかき混ぜていた青ちゃんが俺の後ろから包丁を持つ手を添えていた。
「せっかく手、細くて綺麗なのに」
そうして彼はそのまま俺の手を指先で撫で、恋人繋ぎのように握ってくる。
「青ちゃ//」
男にしては小柄な彼だけど、意外と腕や手は血管がうっすら出てたり筋肉質で思わずドキッとしてまう。
告白されてからこうやってスキンシップが多くなったことは気のせいじゃないと思いたい。
「…….もしかして今僕の事考えてくれたりしてた….??」
「へっ!?//」
あぁ、ダメだ。
じわじわと顔が耳まで火照っていくのがわかる。
青ちゃんに握られた手も段々汗ばんできた。
「….図星?………….はぁ//すっごい嬉しい」
ポスンとそのまま俺の肩に顔を埋める彼。
「そのまま僕の事しか考えられなくなればいいのに….//」
「っ….//」
青ちゃんは素直だから….ストレートで困る。
でも分からないんだ。
どうして周りにいつも人がいて誰からも好かれるような青ちゃんが俺の事を好きなのか。
….俺の、どこを好きになってくれたんだろうか。
誰かに想われるのも、想うのも
こんなに苦しいなんて知らなかったよ。
To Be Continued….
大丈夫です皆さん((((これは桃赤です(((
久しぶりの投稿がこれでごめんなさい((
テスト二週間前で投稿頻度落ちるかもなので把握お願いします(´;ω;`)
コメント
18件
はみぃちゃーーーーーーん!久しぶりだね感動(?) てかてか私最近いちご冷めてきちゃってるの💦でも桃赤の沼からは抜け出せないの謎すぎて…!!意味わかんなすぎるよねむり笑
今回も最高でした😭👏✨ はみぃさんの語彙力ほんと天才すぎます…😵💫😵💫 把握です❕テスト応援してます🔥