Prologue5 「 好き と 傷 」
「はぁ………」
冷たい息を吐く。同時に、目の前が白くぼやけて、思わず目を細める。
「まさかあのワインが、近くのスーパーにないとはねぇ… 」
先ほどやっと購入することのできたワインを、袋から取り出して、表面をさらりと撫でる。ワイン
の種類や価値はよく知らない。それも中也がよく飲んでいる種類なため、銘柄は覚えていたが、こ
れが、あんな高級品だったとは…。マフィア時代に稼いで、使い道がなく貯金していた資金を使う
羽目になっちゃったじゃないか…。そう思いながら、ワインボトルを軽く動かす。街灯の光が透き
通り、ガラスの中の茜色の液体が、ちゃぷんと音を立てて揺れる。
「それにしても…」
空に目を移す。いつのまにか夜の闇が深くなっており、家々に灯が灯っている。予定外の出来事
に、思わず遠くまで来てしまった。それでも成果は大きい。彼との喧嘩の火種は回収できたのだか
ら。
「さ、早く帰って、鍋を温めて直さないと。」
作り終わったまま放置してきた料理を思い浮かべながら、少し早足になる。もしかしたら、中也は
帰って来ているのではないか、なんて考えていると、丁度、紛れもなく思い浮かんでいた顔が、
横切った。
「あれ… 中也じゃないか…‼︎」
いつ見ても洒落臭い帽子に、肩に羽織った大きめの外套ーこれは決して、外套がでかい訳でなく、
彼が羽織るからこそそう見えるだけであるーを纏った彼が瞳に映る。
自分というものは、どれだけ中也が好きなのだろうか。それを考えさせるほどに、この結果には滅
入ってしまう。彼に話しかけようとして、追いかけた。ワインや家に置いてきた料理などは忘れ
て、ただ自 分に気がついて欲しい一心で追跡した。嗚呼、なんて自分は馬鹿なのか、つくづく眩暈
がする。な んで気が付かなかったのか。これこそ、私は彼を好き過ぎて堪らないことを表している
に違いな い。だって私には、彼しか見えていなかったからだ、
「〜〜」
「〜?♡〜〜!笑」
「……………は?」
彼を追跡するも約20m後の地点で、見知らぬ女性と合流した。私ではなく、彼が。茶髪のロングヘ
アの女性は、慣れたように中也の腕に抱きつく。それに呼応するように、彼も慣れたように頭を撫
でている。
これは明らかに浮気現場だ 。
余りにも明白な事実が目の前にあるというのに、自分の頭の中は混乱していた。
「(なんで中也が他の女の人と…?あれ、なんで腕組んで…。頭もなでて。私にはしてくれたことないのに。しかも夜に。……まるで隠れて交際してるみたい…)」
隠れて交際してるみたい。謂わば浮気。そこまできて、目の前の事実が、自分の脳にしっかりと叩
きつけられ、捩じ込まれた。まるで本当に、頭をレンガなんかで叩かれているみたいに痛い。ガン
ガンと容赦なく事実を捩じ込まれ、痛がって体を捩っても抵抗できない。ずっと、一方的に攻撃さ
れているのだ。そんな自分などお構いなしに、もう10mほど離れてしまった男女は、楽しそうに笑い
合っている。それが更に、自身の心までもを抉った。
「な……んで…」
掠れた声が、ポツリと溢れた。
久しぶりの投稿…!短くてごめんなさい~っ…‼︎😭
モチベがなくて筆が進まなかったんです…👉👈
なにか、モチベを作れるような小説を作ろうかな……。也とか。
コメント欄で也るやつ、一回やってみたかったんですよ~~~‼︎✨✨
どうしてもやりたくなった時に作ります‼︎是非参加してみて下さい…‼︎
次回は長めにするつもりです…‼︎
コメント
2件
中也ァァァ!?それは任務なんだろ、?任務だと言ってくれ!?中也ぁぁぁぁ!?