TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
シェアするシェアする
報告する

ある学校に大和くんと俊くんと夏樹くんがいました。

3人はとても仲が良いです。

3人でバレーボールの習い事をしていました。

私は大和くんと隣の席になりました。

話をすると、途切れることはありませんでした。

とても面白くて、友達になってくれました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ある日、学校の体育の授業で球技をすることになりました。

投票でバレーボールに決まりました。

班ごとに対抗戦することになりました。

私の班は大和くん以外バレーボールが得意な人はいませんでした。

みんなボールを落としてばっかりで、そのたびに大和くんがコツを教えてくれていました。

しだいにイライラしてきたのでしょう。

大和くんの口調もあらっぽくなってきました。

もうしわけなくなってきました。

大和くん一人だけだったら私が迷惑かけることもないのかな、と思いました。

そして、言ってみました。

「一人でやったらいいじゃん」

バレーボールは一人ではできないのは、班ごとになったので見通しはついていました。

わかっていました。

コロナ禍なので大和くんのマスクの下は見えませんでした。

が、

不満げな表情をしているのがひと目で分かりました。

すぐに後悔しました。

そのまま6時間目は終わって、帰りの会になりました。

うかない顔をしていた私に、大和くんが急に話しかけてきました。

「バレーボールがなんでチームでするか知らないでしょ。」

・・・私は何も言えませんでした。

立て続けにこう言ってきました。

「全員にばらすから。」

この一言でぶわぁっと不安が込み上げてきました。

全員に言う?

それで私がみんなからいじめられたらどうしよう。

真っ先に思ったのはそんなことでした。

大和くんと仲直りしたいな。

次にそう思いました。

言葉を言うときはちゃんと相手の気持ちを考えてから言おうと思い直しました。

帰りの挨拶をしたあと、教室のかたすみに大和くんと俊くんと夏樹くんの姿が見えました。

私の方をじーっと見ながら大和くんがやりなげに何やら話していました。

私はその時の視線がすごく痛かったです。


次の日に学校にいきました。

昨日と変わらず大和くんの隣の席に座りました。

大和くんは何くわぬ顔で窓の外の飛行機を見つめていました。

どうやら全員には言ってないようです。

私はほっとしました。

たった3人だけなのですから。

別に俊くんと夏樹くんの私への好感度が下がるだけです。

ただ、大和くんはどうしましょう。

せっかく友達に慣れたのになと思いました。

次の日も、その次の日も、謝ろうと思っていました。

ですが、やはり思うだけではどうにもなりません。

大和くんは、あの日以来、話しかけてきませんでした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

5年生になって、初めて好きな人ができました。

俊くんです。

4年生のことはすっかり忘れて、好きな人のことばかり考えていました。

女の子と楽しそうに笑い合っていると、悲しみ、目があっては喜んでいました。

そんなひそかな思いが、俊くんの耳に届いてしまいました。

そうと知ったのが、放課後でした。

公園で友達と遊んでいると、俊くんと夏樹くんが仲良く遊んでいました。

大和くんは、インフルエンザにかかっていました。

そして、向こうもこちらに気がついた様子でした。

ちらっと私の方を見て、なにかこそこそ話すと、二人で笑い合っていました。

頭が真っ白になりました。

男子にはほぼ知れわたっていました。

女子って怖いです。

人の秘密を秘密としてばらすのですから。

誰にも言わないでねと、言われたのに、「誰にも言わないでね」と言って秘密を教えるのですから。

誰かがラインでばらしたのでしょう。

《5−1グループ》というライングループは最近作られたものです。

その話でクラスはもちきりになっていました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

何日かたって、大和くんが学校に来ました。

と同時に、うわさはすぐ消えていきました。

ですが本人は覚えているようです。

俊くんは夏樹くんを連れてすぐさま大和くんのもとへかけていきました。

なにやらこそこそと、私の方を見ながら大和くんと話していました。

ランドセルを置きに行くふりをして、耳をすましてみました。

やはり私のことでした。

大和くんは白々しい顔をしていました。

私は気づいてしまいました。

大和くんと俊くんと夏樹くんは親友だったのです。

大和くんとの4年生の出来事を思い出しました。

大和くんはそのことを、また話しているに違いありません。

そうだった。

大和くんと俊くんと夏樹くんの私への好感度は下がっていたのです。

こうして私の初恋は告白する前に失恋してしまいました。

あのときの、大和くんと俊くんと夏樹くんのマスクの下の表情は、

・・・どうなっていたのでしょう。

この作品はいかがでしたか?

30

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚