side京本.
♪〜♫〜…
「♬〜♩〜…」
今日も、ギターを弾いて歌を歌う。
それが俺の生き甲斐であり、仕事であり、趣味だから。
歌を歌うことは、俺にとって難しいことじゃない。
ただ声に身をまかせ、頭の中を空っぽにするだけのこと。
「…」
音に包まれながら、目をそっと閉じる。
すると次々と胸の中に映る。
懐かしい思い出や、あなたとの毎日が。
知ってる?
本当のことは歌の中にあるってことを。
いつもなら照れくさくて言えないことを
歌うたいはつい歌にしてしまうんだ。
『京本さんっ』
『今日はバラードが聴きたい気分です、笑』
「…北斗くん」
それならば喜んで歌おう。
あなたのためだけに作った、あなたのことだけを考えて作った
あの歌を。
〜今日だってあなたを思いながら
歌うたいは唄うよ
ずっと言えなかった言葉がある
短いから聞いておくれ
「愛してる」〜
「Ah…」
『…』
北斗くんは、今の歌を
どう思ったかな…
「…どうだった?」
『とっても素敵な歌です、』
「!」
その言葉だけで、俺は永遠に歌える気がするな、
『でも…』
「…!」
でも、?
『その歌は、僕以外に歌わないでほしいです、』
「…え、」
そう言った彼の顔は真っ赤で。
ラブソングをコンビニの入店音より遥かに多く聞いている俺は
あのミュージシャンのように都合のいい妄想をしてしまう。
小さなスタジオの中に、
少しだけ期待してもいいのか、とギター片手に嬉しくなってしまう俺が確かにいた。
コメント
4件
めっちゃ素敵です! 「歌うたいのバラッド」、歌詞が大好きなんですよね🥹
いやぁぁぁ 、待ってください 、最高ですね 、 、 照れながら言う北斗 、 、かわいいですね😇😇