テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
人々が口々に叫ぶ。黒い渦が、目前まで迫る。それでも、レオンは逃げなかった。ゆっくりと一歩前へ出る。
「まあ」
軽く肩をすくめた。
「そう来るかとは思ってたけどね」
右手に、白金の光が灯る。ユリウスの頼りない光とは、まるで違った。弱く揺らぐ灯火ではない。夜明けそのもののような、澄みきった輝き。広間全体が白く染まるほどの閃光が弾けた。
「な……っ」
ユリウスが、愕然と目を見開いた。レオンはそのまま、暴走する聖魔石へ向けて手を伸ばす。
白金の光が帯のように伸び、黒い煙をまとった魔石を包み込んだ。床を砕いていた巨石が、ぴたりと動きを止める。
荒れ狂っていた黒い瘴気が、焼き払われた。そして、瘴気が消えた途端。広間のすべての燭台に、黄金の火が一斉に灯った。
「みんな、もう大丈夫だよ」
レオンは、何事もなかったかのように微笑んだ。
「これ以上、魔石が暴れることはないから」
広間は、静まり返っていた。誰も、すぐには言葉を発せない。やがて、誰が呟いた。
「今の光は……」
「王太子殿下のものとは、比べものにならない……」
「レオン第二王子殿下こそが、真の王家の光……?」
ざわめきが、貴族たちの間へ広がっていく。賛辞。驚愕。そして、ユリウスへの決定的な疑念。
玉座の傍らで、カサンドラは微笑んでいた。けれど、扇を握る指先が白い。レオンを消し、ユリウスを次期国王として認めさせる。そのための聖灯の儀だった。それなのに、貴族たちは見てしまったのだ。本物の王家の光を。
***
その日の夜。王妃の私室。
カサンドラは、手元のチェス盤へ視線を落とした。白いキングの駒に、指先を添える。そして――。カタン、と。キングの駒を、盤上に倒した。
「邪魔者には、静かに眠っていただきましょう」
コメント
1件
ああ、この展開、すごく良かったですね。レオンの白金の光、「夜明けそのもののような」っていう描写が美しくて、ユリウスの頼りない灯火との対比がはっきり出てる。そしてカサンドラ、表面上は微笑んでるのに扇を持つ指が白くなる…彼女の焦りと怒りがひしひしと伝わってきました。最後のチェスの駒を倒す仕草、何か企んでる予感で続きが気になりますね!
柊トワ
2,494
#ロマンスファンタジー
百はな🍑
658
#ロマンスファンタジー
Jasmine
749
#ギャップ
ひより
1,966