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「ゲホッ、カハッ…はぁ、はぁ…」
「なんや、はよ…たてや……」
そう言って中指を立てて見せれば、クソ親父は諦めたように笑った。
どこか嬉しそうだから気味が悪い。
「な、なんや…」
「…ここまで派手に喧嘩したのは…久しぶりだったからな」
「そーかよ…」
普通に話し始めたクソ親父に毒気を抜かれて、自分もその場にしゃがみ込んだ。
2人の間にはしんみりとした空気が流れていてどこかこそばゆい。
…聞くなら、今しかないんじゃないか。
「なぁ…」
「…なんだ……?」
「……なんでもない」
「…」
き、気まずい……
結局聞きたいこと聞けんかったし…
いや、普通に考えて「俺の事嫌いなんか?」とか無理やろ!?恥ずかしすぎて死ねる!!
ひゅぅ、と風が吹いて、木々が小さく揺れた。
「…きょー、今すぐ蔵に戻れ」
「は?」
「早くしろッ!!」
意味もわからず扉の壊れた蔵の中にぶん投げられる。
咄嗟に受け身を取ろうとしたけど失敗した。ぶっちゃけクソ痛い…!!
「ってて…急に何すんねんクソ親父ッ!!」
「悪かったな!!」
そう叫んだクソ親父は何やら札を地面やら壁やらにペタペタと貼りまくっては水をあたりにぶちまけている。
…何に焦ってるんや?
イライラした様子で時折空を見上げる親父は大きく舌打ちをした。
「こうなるから妖に関わらせたくなかったんだ!!“気付かれるから”!!」
「ど、どういうことや!?気付かれるって…何に!?何が…」
突然、雲ひとつない空に雷鳴が轟いた。
とたん、蔵の周りにどろりとした、気持ちの悪い空気が流れた。
…なんや、これ…なんとも言えん気持ち悪さがする……
「おい、クソ親父!なんなんや!!何が起きてるか教えろ!!」
「アイツが来たんだ!!きょー、絶対にそこから出るなよ!!」
それだけ言うと、壊れて使い物にならない扉を無理矢理閉めてしまった。
「わっちの旦那様はここかえ?」
「残念だが、お引き取り願おう」
やけに古めかしい言葉遣いやな…
声しか聞こえんし…誰と喋っとるんやろ?
「主さんには聞いてありんせん…そもそも、これは主さんのご先祖さんとの約束でありんすよ…?」
「口を挟まずにはいられないと言う事だな…そもそも、昔のおいぼれジジイどもが決めた事なんざ知るか、きょーには関係ねぇ」
扉の隙間から覗くか?
…少しだけならええよな……?
「はぁ…旦那様、返事をしておくんなし…!そうでなくてはわっち……この男を殺してしまうかもしりんせん…」
「!!」
急な言葉に思わず力んで、扉がガタリと音を立てる。
それから一拍置いた、次の瞬間。
「あぁ、そんなところにおりんした…」
「…は……?」
扉が、あの重いことだけが取り柄のような扉が…音もなく前に倒れている。
目の前の、妖によって。
「旦那様、そんなとこおりんせんで、こっちへおいでなすっておくんなし…?」
なんや、あれ…狐??
昔の格好…何、は?旦那様って…え、俺?
体から血の気が引いて、けど心臓はありえないくらいうるさくて。
頭がまともに働かなくて、どうすればいいのかわからない。動けない。
「ぉ、親父…?」
「そこから……でる、な…!」
足を扉に挟まれ呻き声をあげる親父が、ずっと念を推してくる。
そこから出たら、殺されるぞ…と。
「ふむ…旦那様はわっちの言うことを聞いてくださらない……と…」
状況を把握するためにカラカラの喉から声を絞り出した。
「お、お前…の……旦那様って…」
「お前…?」
さっきまでの甘ったるい声とは異なる地を這うような低い声。
…やばいやばいやばい!!地雷踏んだ!!確実にキレてるやん!!
「旦那様、失礼いたしんす…」
バンッ
「カハッ…ァ……?」
何が起きた?
目の前が真っ赤に染まってる。音がよく聞こえない…ぼやけてる……
頭が割れるように痛い。
え?……怖い。すごく怖い。
死ねるなら今すぐ死にたいくらい。
「ゲホッ…う”、ぇ”…」
激痛に涙が出てくる。
蔵にいたら平気なんじゃないのかよ…
「まて…たのむ……」
「主さん…ではわっちらは帰りんす…」
体が浮いた感覚がすると同時に、意識が遠くなる。
カラン、コロン… カラン、コロン……
どうも、チェシャで御座います。
…キャラメルっておいしーですよね(*´꒳`*)
袋のやつ買ったけど一瞬で無くなって悲しみがすごいです。゚(゚´Д`゚)゚。
補足説明ですが、今回やってきた妖は九尾。
大昔にきょーさんのご先祖さま(貴族)が没落しかけました。
そこに声をかけ、力を使って助けたのが九尾です。
自分の家の男児1人を九尾に旦那として捧げ続けることで助ける。
もし破った場合は、呪い殺してやる…と。
このような約束を交わしたそうです。
今回はきょーさんが幼い頃(男児の頃)にきょーさんの父親が猛反対して、九尾に男児を捧げなかったた。
そのために九尾が自ら回収しにきました。
捧げものの使い道。
男児→不老不死の薬を作る材料に。
きょーさんの年齢だと多分美味しくパクりですね、たぶん!!
長々と失礼しました!!
今回はここまでです(*‘▽’*)
٩( ᐛ )وマタネー