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ぅゆ
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生まれた時からずっと、両親から離れる事なんてないと思っていた
こんな腐った街でも僕を愛してくれていた
女一人で外に出るのは自殺行為と分かっていながら、食料や新しい服を買ってきてくれたお母さんも
何時、マフィアに攫われるか分からないのに、毎日出稼ぎに行ってくれていたお父さんも僕には重すぎるくらいの愛をくれた
マフィアに襲われてしまって傷だらけで帰ってきた日もあった
それでも笑顔で僕を抱き締めてくれた
そんな2人の姿が、幼い僕は嫌で嫌で仕方なかった
医学の勉強を始めたのはそれが理由
「俺らのためにこんな勉強して…ほとけは優しい子だなぁ…俺に似たのかぁ?笑」
「まさか、 私に似たよよね〜?ほとけ?笑」
「ん〜、どっちにも似た〜っ!笑」
そうやって、3人で笑い合う時間が大好きだった
必死に勉強して、初めて2人の怪我の手当をしたあの時間が、これからもずっと続くと思っていた
……でも、それが崩れる瞬間は、ある日突然やってくる
日の出から日の入りまでは、いつもと変わらない普通の日だった
この日、僕は初めて、お父さんと一緒に外に出ていた
勿論怖かったけど、美味しいお饅頭やお気に入りの服、装身具を買って上機嫌で家帰った日
お母さんにあげるんだと買ったアンダーリムを片手に、握り玉に手をかけた時、扉の向こうから、「きゃぁっ!」と言う叫び声と鈍い打撃音が聞こえた
「…っ……?」
僕とお父さんはその場に立ち竦んで、震え上がった
嫌な予感が全身を駆け巡って、冷や汗が吹き出た
その時見上げたお父さんの顔は真っ白で、散瞳していた
数秒の間ずっと、動けなかった
「ぉとうさん……」
弱々しくお父さんを呼ぶ
今までぎゅっと強く握られていた手が振りほどかれ、そのまま僕の事を抱き上げる
「ほとけは、この木箱の中にいろ。物音が無くなるまで、動いちゃダメだぞ。 」
そう言って僕を撫でたお父さんの笑顔は、いつもの優しい笑顔ではなかった
齢10歳にして、二人が死ぬ事を悟り、 引き留めようとした
でも、必死に伸ばした手が届くのことも、声が喉を超えることもなく、周りから音が消えた
そこからはずっと独りで暮らした
家事なんかやったこと無かったから、手がぼろぼろになった
10歳の手には大きすぎる包丁で、 指を落としそうになったこともあった
それでも、2人が守ってくれた家だけは捨てたくなくて、必死だった
……あの後、木箱から出て、家に入った瞬間のことはもう思い出したくもないほど、酷いものだった
お父さんとお母さんの体は、頭からつま先まで全身に傷がついていて、血が流れ出していた
「ぉ゛母さん…ッ…と、ぉ゛さん…」
頬を伝う涙を拭いながら、必死に2人を手当した
2人の僕を呼ぶ声も無視して、必死に傷口を縫った
布を当てて、血を止めて、縫って、縫って、縫って
何日も、寝ずに手当を続けた
それでも、2人の体温が戻ることはなかった
そうして、今に至る
家事にも外出にも慣れて、今はもう16歳と、何事もなく成長した
今は月一の食料調達の帰りなのだが…
「…人……死んでるし…」
恐らく、マフィアである青髪の男が家の前で力尽きている
仕方なく食料をその辺に置いて、彼の首元に手を当てる
どくん、と僅かな脈が伝わってくる
常時身につけている救急用の一式を取り出して、彼の傷口を手当する
「……ぅ゛…」
大体全ての手当が終わった後、小さな呻き声を上げて、目が開いた
「…起きた?今銃創塞いでるから動かないでくれる?」
「…だ、れ…ぉまえ……」
誰って…なんなの此奴、失礼過ぎない?
「…唯の通りすがり。はい、終わったけど、暫く動かない方がいいよ。じゃあね。」
そう言い残して立ち去ろうとした刹那、「お前ッ!」と呼び止められた
「救急用品、高いやろ…俺らのとこで礼するから…着いてこいよ」
「ちょ、はぁ…?」
嗚呼、なんて不器用な人なんだろう
でもどうしてか、腕を掴まれて、引っ張られても嫌な感じがしない
…もし、僕にお兄ちゃんがいたら、こんな感じなのかな
久しぶりに感じる人肌に涙を零しながら、僕は彼に着いて行った