少し思ったのだが、これは俗に言うところの、「デスゲーム」なのであろうか?
放送が終わって数秒経ってから、もう数秒経った。
俺は、全く状況が掴めずにいる。拉致とか鬼とか仮想現実とか、その通り現実話ではない言葉の羅列に、全く話が入ってこなかった。
依然として焦りはない。
他の者らも、同じ様子に見受けられる。到底当たり前としか言いようがない。放送の内容も理解不能であったし、追いつけなかった。
愈、この部屋の中のざわめきが、形を持って、人間らを散らし始めた。
外側から教室の四方八方へ拡散し、出口に向かって駆けだす者が出る。
それを見て、そろそろ、恐怖心が、左胸の奥からこみ上げて来る。
教室から逃げ駆ける者を見ているからだろう。
逃げたい。
「⋯?」
視界の隅に、何かが過ぎったか。
机の下を見る。
(青い⋯お守り⋯?)
空は天板の裏、視界を埋め尽くす机の脚の雑木林の足元に、青の地に、白い曲線の縁取り模様と、紫色で、何かが綴られた見た目のお守りがあった。
紫は、その下の青と同化して、全体的に、形を追いずらい。
何なのかは、よく読めない___
___空間に圧が響く。
突然、音のようで音でない、面で押すような振動が、鼓膜を、大きく揺らした。
地震かと思った。
あまり急にそんなことが起こるので、吃驚して、鼠のように、勢いよく、自分の元いた場所の近くの机の下へ滑り込む。
両手で机の両脚を掴む。
右手には、先のお守りが入っているので、人差し指、中指と、親指の三本だけで摘む。
ここまで、脊髄反射である。
雑木林の出口から、教室の扉の向こう、廊下を凝視した。
最初に目に入った扉の姿も、まるで俺の記憶とそっくりである。
正方形をした磨り硝子、木で出来ていて、白ペンキで塗られ、持ち手は銀製の小さな溝。
廊下もそのような感じだが、違和感がある。
沢山着いていた銀の壁掛けフックや壁のザラザラとした質感は無く、実験施設の様にのっぺりしている。
色も、全体的に灰色を_______
⋯
青い、筋肉の、太い、太い足。
ボディービルダーでもありえない、塊のような足が見えた。
しかも、青いのである。
唖然とするも束の間、物凄い勢いで、こちらに向かって突っ込んで来た!
驚いて、顔を伏せた。
恐怖で、目が開き、両腕に力が入る。
直後、教室を、体が浮いて跳ねる強さの振動と、轟音、そして、無数の悲鳴が包む。
全身から、一斉に汗が吹き出して来た。
口を固く噤み、机の脚と、手汗を、必死に握る。
そこら中で、机と椅子が、ガタガタと力強い音を鳴らした。
鬼が去る。
最後の振動と共に、揺れる机と、手汗で、手が滑った。
そのまま両手とも離し、床に手を着いてゼエハアと息をする。
無意識に息を止めていたらしかった。
(何が⋯!?)
余韻と混ざり、他の人間の荒い息が聞こえてきた。
何人も居るらしくて、ゼエハアと、orchestraに集合しているようである。
前を見る。
…
白い何かが、落ちているは。
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