コメント
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うわ…なんかこう言う系のお話めっちゃ好きですわ…ありがとうございます!
高校生設定
自傷匂わせ描写アリ
nkkn
地雷ない人向け
本人様とは関係ありません
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腕を切ろうと思っても手が震えて力が入らずカッターを取り落としてしまう
薬をたくさん飲もうと思っても嚥下することができず結局吐き出してしまう
全て、自分を傷つけることへの恐怖で何もうまくいかない
一般的に逃げ道とされる自傷行為は、俺に許されることはなかった
楽になんてなれない、ただずっと苦しい
気を紛らわせるなんてできない、終わりがない
その事実は、着々と俺を蝕んでいた
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苦しい朝だ。また1日が始まる。
だるい体にムチを打ちつつ、登校するためナカムと合流する。
「おはよう」
「きんとき!おはよ」
朝から明るいナカムはすごい。
たまに不機嫌な時もあるけれど、それは人間だから仕方ないとする。
小さく優しい微笑みを俺に向けたナカムは学校への道を歩き始めて、いつも通り他愛もない話をする。
「昨日の月、なんか特別だったらしいよ?」
「へぇ、そうなんだ?」
「1年に1回のやつだったんだって」
「うわー見てないわ、なんかもったいないな」
「それ分かる!俺も今日ネットニュースで知ったからさー、来年見ようぜ」
「…うん」
来年という言葉に息が詰まる。
なにせ来年の今の時期は就職活動や受験勉強に追われているのだ。
ただでさえ苦しいのに
「ーとき、きんとき?」
「ん、ごめん何?」
「いや…こっちこそごめん、先の話して」
「…俺が勝手に悩んでるだけだから」
良いんだよ、と言うとナカムは難しい顔をして唸った。
俺の将来の不安、家族とうまくいかないこと、自分の立場、苦しみをナカムには伝えてある。
自分にも何かできないかといつも考えてくれていて、むしろ申し訳ない気持ちがあるが、優しさとしてありがたく受け取っている。
「最近は大丈夫なの?」
「…まぁ、耐えられないほどじゃないかな」
「無理しないでよ、いつでもいいんだから」
「うん…でもなぁ…申し訳ないよやっぱり」
「俺はうれしいって何回も言ってるでしょ?」
「…そうだけど」
いつでもいい、うれしいとは、ナカムを頼ることだ。
ナカムは何度も頼ってくれと言ってくれるけれど、俺はあまり自分から頼れたことはなかった。
恥ずかしさもあるし、限界が来る頃を見計らってナカムから声をかけてくれるからでもあった。
「前にしたのももう1ヶ月前だよ?苦しさが溢れてからだと遅いし…何より大変なのはきんときだからね」
「…わかってるよ……、でも…やっぱりこんな関係っ」
「俺は、俺以外にきんときを暴かれたくない」
「………ごめん」
「言ったよね、俺のために俺にしてよって」
「……でも」
「今日しよう」
「っえ、」
「家、泊まるよね?」
「……うん」
妖艶な笑顔で俺を見つめたナカムは、俺の返事を聞いて満足そうに足を進めた。
うまく自分を傷つけることができない俺は、身体を売ることを唯一の自傷とした。
それが1年前ナカムにバレてしまって、それからは相手はいつでもナカムだった。
歪で、もうどうしようもないこの関係はナカムが望むもので、俺が望むものではない。
だからこそ行為が己への罰になって、逃げ道になっている。
夜のことを考えると胸がきつく絞まって、早く日が落ちればいいのに、なんて思った。