「俺のクラスマジでうるさかったでしょ??」
「いや…わからなかったです…、リト先輩の声しか聞こえなくて…」
「アハハ!!マジ!?俺声デカすぎるかもしんねぇ!!」
廊下を歩きながら他愛もない話をしていた。ずっと元気で、にこやかで、リト先輩が笑ってたら、僕まで釣られて笑ってしまう。
「よぉーし、ココらへんでいいか!!人も少ねぇし。」
「あ、あのぉ……話したいことって…?」
さっきの騒がしさが気にならない程、静かな場所に着いた。ぐるぐると回ってた俺の思考が、そこに着いた途端すごく落ち着いた。
何を考えていたかは、…まあ省いてもいいよな……。
「あそうそう!!昨日マジで大丈夫だった?俺の手で怪我したとかなかった??」
「あ、はい!!大丈夫でした…!!その…リト先輩は、手…大丈夫だったんですか…?」
「あー!!全然平気!!むしろ慣れてるくらい!!手見る?傷一つないよ」
ボールを受け止めた手を僕に見せてくれた。もちろん、先輩が言った通り傷一つなかったが…手が異様に格好良く見えて、俺は思わず唾を飲み込んだ。
一言で表すなら…ヒーロー、みたいだった。
「な?傷一つないだろ?」
「…は、はい……」
リト先輩みたいに格好良くなりたい、強くなりたい。
思うだけならすぐに出来ること、でも俺は…優しくて強いリト先輩に憧れた。
「まあ、君が無事でなにより!そう言えば名前聞いてなかったな、名前は?」
「あっ、俺は佐伯イッテツです!!!」
「イッテツ…イッテツ……、じゃあテツって呼ぶな!!!」
名前を呼ばれて、思わず明るい表情をしてしまった…。先輩はそんな俺の顔を見ながら笑ってくれた。
「なになに!!なんでそんな嬉しそうなの??」
「へッ!?い、いや…そのぉ…!!」
俺は焦って目線を逸らしてその話から逃れようとする。
お礼を言いたかっただけなのに、こんなに話せるなんて思ってなかった…。俺と話してていいのかな、俺だけが得しているような気がして、少しだけ苦しい。
「なぁテツ、もし時間あったらまたこっち来てもいいからな?」
「…え??…えぇっ!?!?」
「アハハ!!なんだよその反応!!テツと仲良くなりたいだけだぞ??」
「い、いいんですか…!?っていうか、俺と仲良く!?!?」
仲良くなりたいと言われて、俺は本気でびっくりした。俺と?変な話だけど…最初は夢なんじゃないかと思った。
「だってこんなに反応面白い奴初めてだからさぁ?」
「エェッ!?そんなに……?!」
その後もしばらく、昼休みの終わりギリギリまで喋っていた。嬉しかったし楽しかった。
リト先輩とはとても仲良くなった気がするし、また先輩のクラスに行きたいと思う。
リト先輩から誘われたんだ、行かないほうが失礼だろ!!
俺はこの舞い上がった気持ちを抑えつつ、教室に戻る。
コメント
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イッテツ君とリト君の絡みまじで好き、!!