初恋(矢巾)
俺は、自分の好きを押し殺して、初恋の人の結婚式に来た。
その人は、とても幸せそうで、美しかった。きっと、俺じゃなかったからこんなに幸せなんだ。そう思わざるおえなくって。今すぐこの場から消え去りたいと思った。だけど、俺はあの人の後輩だから。俺は、気持ちを伝えず、後輩であることを選んだから。だから、ちゃんといなければいけない。祝わなきゃいけない。そうしたのは自分だから。でも…だけど…あの人があんなに他の人の隣で幸せそうにしてるのを、憎らしく思ってる自分は存在してしまうんだ。
祝いたいのに…心から純粋に祝いたいのに…それが出来ない自分が惨めで、嫌いだ。
あの人の結婚式はとてもすばらしいかった。1週間がたった今でも鮮明に思い出せる。制服の色に似た白にエメラルドグリーンの服は本当にあの人似合っていた。そして、あの人の恋人も……。
俺は変わってしまった。この気持ちを隠すために色んな人と関係を持った。昔じゃ考えつかないぐらいに汚れて、あの人の視界にいるのすら恐れ多い程だ。でも、それでいい。もう、あの人と会う機会なんてないんだ。あの人は世界的な選手で、みんなから好かれる、最高の人。1人の部屋でつぶやく。誰にも聞かれることの無い。
俺の告白。
「及川さん、あなたの事が大好きでした。」
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